Brahms 「ハンガリー舞曲」/Dvora'k 「スラヴ舞曲」
(アルフレッド・ブレンデル/ワルター・クリーン/ピアノ連弾)


VOX  SPJ VOX95176 Brahms

ハンガリー舞曲(全曲)

アルフレッド・ブレンデル/ワルター・クリーン(p)(1956年モノラル録音)

ワルツ集 作品39

W.&B.クリーン(p)(1966年ステレオ録音)

Dvora'k

スラヴ舞曲集 作品46/72全曲

アルフレッド・ブレンデル/ワルター・クリーン(p)(1959年)

VOX SPJ VOX95176 2枚組 1,690円

 【♪ KechiKechi Classics ♪】も老舗になっちまった、といえば言い過ぎながら、こんなフツウのサイトというか、個人ホームページをちゃんと更新しているところは希でしょう。次世代の定型であったブログ(WebLog)も時代遅れになったそうで、ツイッターやらFaceBookが主流なんだそうです。ブームは去って定着したと言うべきか、時代の熱はずいぶんと醒めました(反応はほとんどなくなった)。下の記事は未だ20世紀、このサイトを初めて間もない頃、まさかこんなに継続するとは考えておりませんでした。CDという媒体さえそろそろ危うくなってきたし、棚中在庫はずいぶん入れ替わり、そしてどんどん減らしてきているが、このVOXBOX2枚組は現役でした。

 ワルター・クリーンは故人となり、ブレンデルも引退いたしました。ブレンデル25歳、クリーン28歳の記録、将来の巨匠二人が4手のピアノにて愉しげに演奏しております。スラヴ舞曲集はLP時代からの馴染みだけれど、当時はモノラルかステレオかの興味(知識)さえなかったんじゃないか、無垢な精神(ココロ)にて素敵な旋律を堪能していたと思います。ブレンデルもクリーンも演奏者なんて名前も知らぬ、誰のでも良かった。4手も2台ピアノも区別は付かなかった(ちゃんとジャケットに表現されているじゃないか)、今は昔。

 馴染みのハンガリー舞曲始まりました。VOXといえばLP時代劣悪なる盤質も手伝ってか?音質最低との記憶ばかり、こうして再確認(十数年ぶりか)の結果は”けっこうエエ音じゃないの”(一部劣化有/とくに後半戦)。親密かつ瑞々しいタッチ、全21曲快足テンポにて駆け抜ける爽快なる演奏。適度なテンポの揺れは効果的、ほとんど”間”も存在しない、細部ニュアンスに不足はないが、思わせぶり粘着質な表現に非ず。有り余るテクニック駆使+若さの勢いとノリ重視、立派な管弦楽編曲も大好きですよ。でもね、いかにも眼前にて愉しげなスタイルは人懐っこい。これが本来の姿じゃないか。演奏会のありきたりアンコールじゃなくて、大柄立派に演奏しないほうが、作品の本質がよく見える・・・かも。

 第1番ト短調、第5番 嬰ホ短調、第6番 変ニ長調辺りばかり有名でしょ。じつはどれも素敵な名曲揃い、第11番ニ短調辺りの憂愁には、馴染みの鬱陶しいBrahms が色濃く表出されました。第12番ニ短調の緩急も味わい深いなぁ・・・キリがない。

 クリーン夫妻によるワルツ集 作品39もお気に入り作品。ピアノ連弾版の他、ソロ(以下のビレット盤がそう/CD処分済)、一部2台ピアノ版もあるんだそう。ハンガリー舞曲よりずっと洗練され、粋な旋律ばかり。Chopin をイメージすれば少々生真面目ながら、甘美、愛に溢れた短い作品16曲続きます。但し、トラック分けはないのは残念。ブラーシャ・イーデン/アレクサンダー・タミール(p)盤では ”快活で幸せな表情溢れます。ときに憂いと含羞、激情に揺れ、わずか1分ほどの小品が陰影深”い、とコメントしたが、こちらも同様。第15曲 変イ短調にはいつもながら泣かされました。音質はこれが一番よろしい。

 スラヴ舞曲はハンガリー舞曲より、いっそう大好き。CDリブレットには「モノラル録音」とのクレジットあるが、ちゃんとしたステレオ、かなり良好。LP時代の記憶でも、たしかそうだったような・・・?テンポ設定は通常でしょう(全58分ほど)。3年前よりやや落ち着いた風情があって、溌剌ヴィヴィッドな表情付はそのまま、かつニュアンスに充ちて深み+大きさが加わっておりました。テンポ、リズム、陰影が次々と変遷する作品は、管弦楽よりピアノ連弾のほうが自在自然な動きが可能かと思われます。ま、色彩の変化には及ばぬが。

 チェコ、ボヘミヤ、スラヴ地域の快活リズム感が、ハンガリー舞曲とは異なっていて、+これ以上ない!という甘美纏綿なる旋律で聴き手を泣かせます。(第2集第2番ホ短調=10番)管弦楽に於ける艶やかな弦の歌も素敵だけれど、楚々として含羞に充ちたピアノ連弾の魅力にも捨てがたいもの有・・・こうして久々、CD2枚分聴き通したが、気力体力減退甚だしく、十数年前の集中力が戻りません。こうしてサイト更新を、辛くも継続できていることを喜ぶべき再確認のCD2枚となりました。CDでも現役音源のようです。

(2012年1月9日)
 

 1999年3月に、タワーレコードで見かけた久々VOXBOXの新譜。リリースも1999年と明示。発売元の会社の都合もあるでしょうが、このまま順調に行ってくれVOX!

 スラヴ舞曲はLPで持っていました。表紙の絵の感じも似ていて、たしか輸入盤で1,200円だったはず。当時はモノラル録音とは気付きませんでした。音の状態はかなり良いものです。
 いまや、大巨匠のブレンデルと、一時代を築いて既に亡くなったクリーンという素晴らしく豪華な組み合わせ。シューベルトでは、ブレンデルはイヴリン・クロシェと組んでいました。

 4手のピアノ連弾って、楽しそうですよね。一台のピアノに仲良く並んで演奏するんでしょ?ハンガリー舞曲は、有名な旋律がゴロゴロしている名曲揃いですが、抜群に生き生きとして、軽快で、若々しい演奏ぶり。弾むようなリズム、溢れ出る楽しさ。
 速いテンポで、前に出ることを競うように進めています。不自然なテンポの揺れもありません。ピアノの音色も明るくて綺麗です。

 Brahms のワルツ集は名曲中の名曲。悲しくも優しい旋律の宝庫。とくに第15番 変イ長調は安らぎ溢れる屈指の名曲。ポピュラーにもなっていて、歌詞を付けてコマーシャルで流れていましたよ。クリーン夫妻の、しっとりとして瑞々しい音色がたまらなく美しい。

 スラヴ舞曲は「モノラル録音」の表示があるけど、やっぱりどう聴いてもステレオでしょ?
 演奏はハンガリー舞曲とよく似ていて、素敵です。こちらのほうがいっそう肩の力が抜けているようなかんじですね。曲的には、こちらのほうが多彩で好きなので楽しめますね。素直でクセがなくて、ホント聴きやすい演奏なんですよ。懐かしい旋律が、あらわれては消えていく感動の連続。音も悪くないと思います。

 じつは私、LP時代に出ていた、クリーンのBrahms のピアノ作品全集のCD化を待っているんですよ。こうして2作品が復活しましたから、残りももう少し待てば出てくれるのでしょうか。期待しております。(1999年3月20日更新)


おまけ  よく似た選曲のCDを一枚

Brahms

ワルツ集 作品39
ハンガリー舞曲(1〜10番)

ビレット(p)

NAXOS 8.550355 1992年録音 663円で購入

 ビレットはNAXOSで頑張ってくれているので、沢山買っているのですが、個性的なのは良いけれど、クセがありすぎて外すことも多い。

 このCDはちょっと「外れ」かな? かなり奔放で、リズムは粘って重い。軽快な曲では致命的な弱点。テンポが揺れて、濃厚な表現も有。大叩きして、音が濁ったりするところもあります。
 テクニックのない人ではないと思いますが、不自然なテンポの揺れはちょっとヘタクソに聴こえないこともない。

 せっかくの新しい録音も、あまり生かされていません。聴き疲れします。


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written by wabisuke hayashi