Rachmaninov ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18
(ペナリオ(p)/ゴルシュマン/セントルイス交響楽団)


Rachmaninov  ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18(ペナリオ) Rachmaninov

ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18(1954年録音)

Tchaikovsky

交響的幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」作品32
幻想序曲「ロメオとジュリエット」(以上1953年録音)

ペナリオ(p)/ゴルシュマン/セントルイス交響楽団

EMI 7273 5 67315 2 3     500円で購入

Tchaikovsky

ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23(1958年頃録音)

ペナリオ(p)/ラインスドルフ/ロサンゼルス・フィルハーモニー(悲愴交響曲収録)

SERAPHIM CDE 7243 5 69034  670円で購入

 先のBartokと同じシリーズで同時に購入したはず。ついでと言ってはなんだけど、Tchaikovskyのほうは「悲愴聴き比べ(2)」のフィル・アップとして「ペナリオ(p)の相当にノーテンキで、バカ明るい暴力的ピアノ協奏曲が入っていました」と、暴力的なコメントをつけたのみ。反省します。謙虚さの欠片もない。先日、岡山タワーで投げ売りしているのを見掛けて、思い出した在庫CDです。

 知名度もイマイチだし、モノラル録音(Tchaikovskyはステレオですよ)だし、買わんよね、だれも。こんなCD。だいたいアメリカ系の演奏家(とくに1950年代)は日本じゃ人気ないし。では、深い自省を込めてTchaikovskyの再聴を・・・

 「ノーテンキで、バカ明るい暴力的」〜訂正いたしましょう。一部。「暴力的」〜これは違いますね。「バカ明るい」〜バカは余計でした。「ノーテンキで明るい」〜そして元気がよろしい、勢いがある。やや騒々しい。「ノーテンキ」という表現がマズければ、未来の希望に対する確信に満ちた姿勢、と言い直しましょう。

 ワタシは(かつて)受験英語を得意としたが、ガイジンさんとはお話しできませんでした。(怖くて)きっと、息子の世代では自由自在に世界中の人々と楽しく、屈託なく話し合える時代が来るはず〜事実はどうだったでしょう。日本語さえまともに話せない。OA機器はたいへんなる普及だけれど、それに従って人々は幸せになったでしょうか。ああ、良かったと思うのは「ウォシュレット」のみ・・・・(違うかな?)

 陰影に乏しい、そんな指摘はカンタンでしょ?でも、この明朗さは貴重です。指がよく回ること、ワタシが「暴力的」とかつて感じたのは、一歩引いて静かなニュアンスを作り出さないことを指摘したのだと思います。それに元気に満ちた推進力故。オーケストラも上手いでっせ。

 でもね、この曲、これで良いんじゃないでしょうか。「眉間にシワ」的デモーニッシュを好む風潮が日本にはあったかも知れないが、もういいでしょ。タイガースのリーグ優勝を素直に喜ぶように、この恥ずかしげもない真正面なる姿勢を受け入れましょう。(ワタシはライオンズのファンですが)


 Rachmaninov も一緒みたいですね。ワタシはこの作品、リヒテルの(ヴィスロツキでもザンデルリンクでも)がお気に入りだけれど、ずいぶんと味わいが違います。もっと、どよ〜んと曇って空が低い、重くて粘着質で、濃厚な甘さがあったはず。それと「テクニックが立っている」ことが気になる作品だったはず。(あとで確認しましょう)

 ペナリオは、もっと気軽にサラリとした甘さがありました。この作品、超絶技巧作品とは思うが、カタのチカラを抜いて楽しげに弾いているようでもあり、技巧が技巧として目立ちません。リズムも粘らない。Tchaikovskyのような「一発ぶちかまし」的作品ではないので、こちらのほうが素直に楽しめるでしょうか。

 こちらは本場ハリウッド系演奏だから、本家かもね。ハラの底から”人生の懊悩”絞り出すような、重苦しい演奏は21世紀に合わないでしょう。でも、これは1950年代(フィフティーズ)の録音でした。


 「フランチェスカ・ダ・リミニ」は、ロジェストヴェンスキーの劇的演奏でずいぶん感心したものです。「ロメ・ジュリ」とは曲の感じが似ていますね。リズムの切れ味、オーケストラの緻密で勢いあるアンサンブルは当時のセントルイス響の技量を証明します。甘美なサウンドもちゃんと有。迫力と勢いも文句なしでしょ。

 米キャピトルの懐かしい音源だけれど、アメリカの音楽ファン向けのCD復刻かな?日本では人気はなくて、大手CD量販の「処分カゴ」には必ず存在するCDです。バカにせずに買って、ぜひ聴いて下さいね・・・

・・・と、ここまで書き終わって、たまたまアシュケナージ(p)/コンドラシン/モスクワ・フィル(1963年 FIC ANC-166 英DECCA録音)のRachmaninov を取り出しました。その情感に揺れる心象風景のデリカシー、バックは控え目だけれどまさに憂愁とはこのことか、これがロシアとアメリカの違い?陰影の深さはさすがだし、そして無用に重すぎない。なんせ録音が素晴らしい。

 ペナリオはやはり健康的すぎますか・・・ね?(2003年12月5日)


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written by wabisuke hayashi