Khachaturian バレエ音楽「ガイーヌ」
(ロジェストヴェンスキー/レニングラード・フィルハーモニー)


DG  POCG-91032 Khachaturian

バレエ音楽「ガイーヌ」〜8曲

Tchaikovsky

幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」 作品32

ロジェストヴェンスキー/レニングラード・フィルハーモニー(1960年)

Borodin

歌劇「イーゴリ公」より「ダッタン人の踊り」

フレモー/モンテカルロ歌劇場管弦楽団(1963年)

Glinka

歌劇「ルスランとリュドミューラ」序曲

マルケヴィッチ/ラムルー管弦楽団(1960年)

DG POCG-91032  580円(中古)

 小学生の音楽の時間に「剣の舞」を聴きました。音楽室にあったのは、たしかフィードラーだったはず。で、ワタシも母親にレコードを買ってもらいました。グラモフォンのステレット33という17cmLPが550円。ほかのレーベルが600円、RCAには700円だった記憶もあって、当時はインフレだったとはいえ、今思えばずいぶん高価な買い物でした。

 それがロジェストヴェンスキーの演奏で、なんだこっちのほうがずっと良い演奏じゃない、なんて思ったものです。但し記憶では4曲のみの収録だったはず。(*印収録〜だったと思う)

剣の舞*
子守歌*
ヌネーのヴァリアシオン
クルド族の踊り
ガイーヌのアダージョ
クルド族の若者達の踊り
バラを持つ娘たちの踊り*
レズギンカ*

 録音が鮮明なこと(さすがに劣化は感じるが)、剣の舞、レズギンカのテンションの高さ、子守歌や「アダージョ」のしみじみとした味わい、ムラヴィンスキー時代のレニングラード・フィルのアンサンブルの恐るべき集中力、民族舞踊の楽しげな味わいとリズム感〜どれをとっても、これほどの鮮度の高さにはまずお目にかかれない。どちらかというと、都会型洗練方面の演奏でしょうか。

 クルド族の踊り(いまやイラクで有名になりつつある)における強烈な小太鼓の炸裂、クルド族の若者達の踊りで、じょじょにシンプルなリズムが加熱する興奮、バラを持つ娘たちの踊りは、まるで優雅なタンゴのよう。(シロフォンが楽しい)レズギンカは小太鼓の「リムショット」命(これなに?太鼓の縁を叩くこと?凄くカッコ良い)〜でも、これ演奏によって、強調拍が違いますよね。受け売りだけれど、シンバルの音の違いを厳密に表現しようと思ったら「5人必要」とのこと。

 ちなみに手許に作曲者自身/ソヴィエット国立響(1977年ライヴ RUSSIAN DISC  RD CD 11 018)の録音があるけど、全然ちゃいます。ティンパニ?の低音が目立つし、小太鼓は前面に出ない。リムショットのアクセントも少々異なる。但し、金管のド迫力と、快速テンポは熱狂的。アクもタップリ。別の曲みたい。もしかして「版」が違う?

 音楽って出会いなんでしょうか。こうやって少年時代〜少々草臥れた「おっさん世代」になって、音楽を毎日楽しむようになったのも、こんな凄まじい演奏をこども時代に聴いちゃっているからなんですね。ジャケットのバラの花は「バラを持つ娘たちの踊り」を表現していると思うけど、17cmLPと同じ写真を使っていました。懐かしい。

 幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」というのは、実在の物語らしくて、イタリアはグラダーラ城塞にいまでもその舞台になった観光地が存在するとのこと。ま、フランチェスカとパオロ(夫の弟)の悲哀物語ですね。ふたりとも可哀想に殺されちゃったらしい。ダンテの「神曲」に出てくる。重苦しくも劇的・奔放な作品で、引き締まった表現は美しいオーケストラでいっそう引き立ちます。この迫力と、洗練の同居は滅多に見られない。


 あと2曲はDG(ドイツ・グラモフォン)の配慮ある「おまけ」です。演奏者が文句なく渋い!DGの当時の売りは、カラヤンとか、後にスター街道を歩むマゼールでしょ。ああ、ベームもいたか。ヨッフム、クーベリックは地味だったな。この辺りの指揮者は廉価盤音源の覇者としてLP時代頑張っておりました。フリッチャイもそうでした。

 「ダッタン人」は、なんやら曲の開始が中途な感じだけれど、演奏そのものはソフトながら、悪くないでしょ。「ルスラン」は、マルケヴィッチだったら、もっと・・・という期待がある。オーケストラがちょっと薄いというか、シャキッとしないというか。ま、ありがたい音源です。(2003年5月16日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi