クラシック名曲小品集
(アーサー・フィードラー/ボストン・ポップス管弦楽団)


LILY  GL-501(RCAの海賊盤)
Ketelby「ペルシアの市場にて」
Khachaturian 「剣の舞」
Liszt ハンガリー狂詩曲第2番 嬰ハ短調
Wagner 「ヴァルキューレの騎行」
Rimsky-Korsakov  「くまばちは飛ぶ」
Offenbach「ホフマンの舟歌」
Ivanovici 円舞曲「ドナウ川のさざ波」
Waldteufel 「スケーターズ・ワルツ」
Lehar 円舞曲 「金と銀」「メリー・ウィドウ」
Liszt(Herbert編) 「愛の夢」
Vaughan Williams「グリーンスリーヴスによる幻想曲」
Gade「ジェラシー」

アーサー・フィードラー/ボストン・ポップス管弦楽団

LILY GL-501(RCAの海賊盤)1956〜67年録音  250円

 ライト・クラシックとか軽音楽という言葉は死語に近いと思います。だいたい音楽に価値の軽重などあろうはずもなく、この選曲と「フィードラー」という懐かしい名前を聞いただけで涙する人もいるはず。(ワタシがそう)このCD、ホームセンターなんかに「3枚3,000円」などという法外な価格で売っていることも多くて、中古で250円!これがホンマの相場。もっと安くてもOK。ワタシはこのCDを探していたんです、安く出るのを。

 小学校4年生くらいの時に学校で聴いたのが「ペルシアの市場にて」。文部省の音楽選定は何故かもの凄くマニアックで、現在のワタシとて「Ketelby管弦楽曲集」のCDには手が伸びません。当時はこの曲が気に入って、17cmLPを買ってもらったんです。日本グラモフォンのステレット33シリーズ、演奏は(指揮者なしか不明の)モンテカルロ・プロムナード・オーケストラ。こどもだから旋律は鮮明に覚えたが、どうも簡略化か編曲していたみたいで、例の演奏者による「合唱」がありませんでしたね。ん十年ぶりに聴いたけれど、これもの凄い超哲学的作品で、いくらでも深読みできる摩訶不思議中近東方面旋律。こんなん小学生に聴かせるから、ワタシみたいなねじ曲がった音楽愛好家を生んでしまう。

 グリーンスリーヴスは、この演奏で17cmLPを持っておりました。少年のワタシはこれに一発で痺れました。世の中にこれほど美しい旋律があろうか、と。B面(死語)はChabrierの「スペイン」、これも収録して欲しかった。いま聴くと、少々中庸に過ぎる大人しい表現だけど、しみじみと感動してしまうことになんら変わりがない。(思い出せば当時17cmLP600円はクソ高い!)

 「剣の舞」〜これも当時の文部省はマニアックな選曲だなぁ。「レズギンガ」のド派手なドラミングをこどもたちに聴かせたい。こども時代はロジェストヴェンスキー/レニングラード・フィルで所有していたけれど、学校の授業で使われていたのがフィードラー盤だったはず。これは想像以上に楽しく、オーケストラの響きが厚いんです。

 ハンガリー狂詩曲、「ヴァルキューレの騎行」はオーケストラの上手さが光るし、「くまばちは飛ぶ」(「グリーン・ホーネット」のテーマ曲。ブルース・リーも出てました)の技量もたいしたものです。「ドナウ川のさざ波」「スケーターズ・ワルツ」(カルピスの宣伝〜うぅ、古い!)なんて、何年ぶりに聴いたでしょうか。やっぱり、小学生時代以来かも知れません。これが記憶よりずっと名曲〜哀愁に満ちた旋律〜で驚愕。演奏水準のチカラもあるのでしょうか。

 Leharは文句なしの魅力的なワルツ2曲。なんとゴージャスで夢見るような演奏なんでしょう。聴き慣れたウィーン風の演奏より、少々真面目っぽいのも嬉しい。「愛の夢」はこの編曲で有名になったんです。VICTER HERBERTは誰でも知っているでしょう。チェロが大活躍するんですよ。ラストをタンゴで飾るのも一興。


 1970年代くらいまで、こういった有名で美しい旋律、肩の凝らないクラシック音楽を聴くことが「教養」となっておりました。いまは難しい時代になっちゃたかな?流行歌も含めて、少々マニアックに専門化しすぎているかも知れません。フィードラーのオーソドックス、かつ豪勢な演奏で「原点」に帰ったような気持ちになりました。

(2002年4月12日)


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written by wabisuke hayashi