Mozart 交響曲第32番ト長調K.318/第33番 変ロ長調K.319/第35番ニ長調K.385「ハフナー」/
第36番ハ長調K.425「リンツ」(ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィル)
Mozart
交響曲第32番ト長調K.318(1977年)
交響曲第33番 変ロ長調K.319(1965年)
交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」(1976年)
交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」(1977年)
ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー
DG 00289 477 8005
この38枚組を英国より輸入したのが、2009年4月。5,182円也。あまり好んでは聴かぬカラヤンだけれど、好き嫌いを越え、世評高き音源を気軽に拝聴できる価格に至った感慨がありました。Mozart の交響曲はほんのこども時代(小学生)よりの馴染みだし、LP時代はカール・ベーム、CD時代に至ってラインスドルフ全集の出現に驚喜した記憶も想い出(既に処分済)、これが【♪ KechiKechi Classics ♪】 の第1回更新だったんじゃないか?(記憶曖昧/後修正加筆有)。かつてヨーゼフ・クリップス辺りが(自らの)標準だったんだけれど、最近、作品そのものを聴く機会激減。あれほど大好きな作品だったのに・・・(今でも好きですよ)
やがて幾星霜、徒に馬齢を重ね、ヤープ・テル・リンデン(古楽器)、ハンス・グラーフ、チャールズ・マッケラス、三つの立派な全集を棚中に揃える(似非金満中年)身分に至ったけれど、肝心の聴き手が疲労気味では意味ないじゃないか・・・ここは一発、御大カラヤンで逆療法だな。それにしても、上記名を挙げた指揮者はほとんど鬼籍に入ってしまったんだな。リンデン、グラーフは現役か。
カラヤンは立派な指揮者だったらしいが、残された録音を聴く限り、どんな作品も似たような”カラヤン節”というか、豪華優雅なレガートで染め上げられております。さすがにMozart はなぁ、なんて考えていたけれど、こうしてボックスをオトナ買いすると、ちゃんと聴く機会も出るもの。結果、予想外に悪くないな、と自らの嗜好の変遷ぶりに呆れるばかり。根がエエ加減ですから。
交響曲第32番ト長調K.318は、所謂(急緩急連続の短い)シンフォニア。オペラの序曲として作られたらしい。しっとりとしたベルリン・フィルの厚みが充実しております。華やか立派であり、やや重く、もっさりしていると言えぬこともないが、別に不満も感じません。交響曲第33番 変ロ長調K.319のみは、このCD中10年以上遡った録音(音質にそう違和感なし)。カラヤンにしては(といった前提付きながら)溌剌躍動して、勢いも余裕もある〜なんせ天下のベルリン・フィルでしょ。艶々に洗練された響きはゴージャスそのもの、おそらく編成はいつもより小さいのでしょう。第1楽章に「ジュピター音型」出てくるんですよね。陰影もメリハリも、ニュアンスの変化もある。さすがに第3楽章「メヌエット」は立派すぎて少々ゆるゆるな違和感ありました。終楽章も流線型なる違和感表現が、嗚呼やっぱりカラヤン!と嘆息させて下さいました。
千度サイト上で言及したが、ワタシはスリムスマートな古楽器派、しかし散々いろいろと聴いてきて、一回りしたのかな。たまにはグラマラス厚化粧の美人も良いかも。
交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」は、個人的にMozart 交響曲との出会いであります。流石に作品そのものが華やかだし、カラヤンは大きなスケール、重低音、厚みを以て第1楽章冒頭よりぶちかまします。やや重いが推進力に不満はない。サウンドはゾクゾクするほど磨き上げられて、耳当たりの良さ抜群。厚化粧のノリ良好。こんな演奏に慣れたら、昨今の古楽器系なんてビンボー臭くって聴いてられないんじゃないか。第2楽章「アンダンテ」のイヤらしいほどのニュアンス、第3楽章「メヌエット」は堂々たる貫禄の歩み、終楽章は超・快速にてベルリン・フィルの技量を見せつけました。
交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」は、ハ長調という構えの大きい調性から考えて、カラヤン向きの作品と想像しておりました。第1楽章序奏より物々しい雰囲気満載。これがMozart ?主部に入ると溌剌と勢いもあるが、どーも立派すぎる感触有。この厚みが好き!という人はいるでしょうねぇ。第2楽章「アンダンテ」は(前曲同様)の磨き上げられた洗練と細部描き込み、第3楽章「メヌエット」は重過ぎ(Beethoven 交響曲第8番ヘ長調/第3楽章でも同様の印象であった記憶有)。終楽章は(これまた)重量級でありながら、快速な馬力演奏でありました。 (2011年8月7日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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