Wagner 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲/Elgar 「エニグマ」変奏曲
/Ravel 「マ・メール・ロワ」/Puccini 歌劇「蝶々夫人」抜粋(ジョン・バルビローリ)
Wagner
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲(ロンドン交響楽団/1969年)
Elgar
「エニグマ」変奏曲(ハレ管弦楽団/1956年)
Ravel
「マ・メール・ロワ」(ハレ管弦楽団/1957年)
Puccini
歌劇「蝶々夫人」第1幕抜粋(ローマ歌劇場管弦楽団/合唱団/スコット/ベルゴンツィ/1966年)
ジョン・バルビローリ
IMG Artists 7243 5 75100 2 8 2枚組@1,490で購入
シュトゥットガルト放送交響楽団とのMahler 交響曲第2番ハ短調「復活」(1970年ライヴ)と同時収録された2枚組続編(落ち穂拾い)です。この「GREAT CONDUCTORS OF THE 20TH CENCURY」は、2002年に発売された良心的復刻シリーズでして、あわてて数セット購入したら売れ残り1,000円で処分されて少々後悔した記憶もあります。いずれ、たっぷり愉しめば文句はない。1970年に亡くなった英国の名匠ジョン・バルビローリへの嗜好はますます、日々高まるばかり・・・
「マイスタージンガー」前奏曲は、最晩年「英雄の生涯」のセッション時(余った時間で)同時録音されたそう。LP時代は収録時間的に中途半端で、たしか「追悼盤」にのみ収録された記憶があります。味わいとしては「英雄の生涯」とまったく同様の、じっくり腰を割った遅いテンポ、激昂せず悠々と歌うスケールが魅力。バルビローリがWagnerのオペラ演奏の機会があったのかどうか知らぬが、演奏会用ピースとして個性タップリの価値を確信いたしました。別途、ハレ管弦楽団との1945年録音に「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第3幕による管弦楽組曲あって、ラストで第1幕前奏曲が原曲に沿って抑制を以て表現されておりました。(「第3幕前奏曲」→「徒弟達の踊り」→「親方衆の登場」)
ゆったりと纏綿、横流れの歌が文句ない感銘を呼ぶ「エニグマ」〜バルビローリにはいったい何種の録音があるのでしょうか。収集癖はないけれど、手許棚中にはハレ管弦楽団(1947年/2種)、フィルハーモニア管弦楽団(1962年)の録音が存在します。それとは別の、ちゃんとしたステレオ録音(英PYE録音かな?)となります。これが凄い。お気に入り作品だから、いったい何種のCDを購入したのか?カウントしたこともないが、これほど切なく、詠嘆の色濃い節回し+スケールの雄大なる歌は稀有なる体験。ハレ管のマジック、たしかにここに存在します。「ニムロッド」は全曲中の白眉だけれど、一気に部屋の空気を茜色の黄昏に染めあげました。
「マ・メール・ロワ」も、いじらしいほどの繊細さに間違いない魅力。(やはりハレ管のマジック!だ)でも、ワタシはバルビローリのフランスものを全面賞賛しておりません。著名なるパリ管弦楽団とのDebussy「海」「夜想曲」(1968年)は粘着質なる表現が爆発し(過ぎ)て違和感ばりばり〜一回聴いて処分を決意(済)。バルビローリのフランスものには他に怪しげEVEREST音源があって、それに関して貴重なる情報をいただいたものです。
連弾組曲をそのまま編曲した管弦楽組曲版であって、そっと息を潜めるような美しい演奏です。
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歌劇「蝶々夫人」第1幕抜粋はわずか13分。レナータ・スコット(蝶々さん)/カルロ・ベルゴンツィ(ピンカートン)一世一代の名唱、ふだんオペラには縁の薄いワタシでさえ、壮絶華麗なる甘美な歌声に痺れました。(思わず手持ちチャールズ・ローゼクランス/ハンガリー国立歌劇場1995年録音全曲盤を拝聴確認したもの) |