Schubert 交響曲第9番ハ長調
(ラファエル・クーベリック/ロイヤル・フィル)
Schubert
交響曲第9番ハ長調「ザ・グレート」D.994(1958年録音)
ラファエル・クーベリック/ロイヤル・フィルハーモニー
ロザムンデ序曲D.644
フェアラブラス序曲D.796
イタリア風序曲ニ長調D.590
R.シュワルツ/ボーンマス交響楽団(1979年録音)
ROYAL CLASSICS RY701222 890円
2005年再聴です。少年時代、フルトヴェングラー/ベルリン・フィル(1951年)のLPで出会って以来のお気に入りの作品だったはずが、ここ数年「なんかこの曲、冗漫じゃない?」なんていう不遜な考えに囚われ、(聴くことを)ご遠慮申し上げておりました。(なんと罰当たりな!)このCDに関してはサイト開設当初にコメント載せたものそのままでして、こうして音に鳴らすのも5年ぶりか。
音質的には1958年という初期ステレオとして、出色の水準だと思います。やや乾き気味ではあるが、音の分離や奥行き感も悪くない。クーベリック44歳壮年時の演奏。全体としてロイヤル・フィルの明るく、ややカルく爽やかな響きが若々しいテンションで生かされていると思います。テンポは中庸〜やや速めか、テンポの動きに恣意的なところはないが、第1楽章序奏からスピードを上げていくところは、充分効果的なエンジンの掛かり方でした。
第2楽章こそ、一歩間違えれば「冗漫かも?」という印象を与えかねない楽章でしょう。引き締まったテンポ感があって、途中わずかなテンポアップも自然で効果的。木管楽器の内声部に初めて聴くような旋律があって、新鮮です。ガサツではもちろんないが、優美ではない。溌剌とした躍動感でアンダンテを聴かせます。「溌剌とした躍動感」といえば第3楽章のカッチリした「スケルツォ」が楽しいこと。軽快で、流れの良いアンサンブルは、まるで楽しく踊るようでもあります。重くない。濃厚でもない。
終楽章の傾向も変わらないが、やや抑制気味で走りすぎないようにしているのでしょうか。それでもちゃんと熱気にノリが上乗せされて、全曲、とても気持ちよく聴き通せました。ロイヤル・フィルは優秀な団員が揃っているはずだけれど、各パート個々の音色は淡彩で、色濃い個性は表出していない(というか、それが個性なんでしょう)と思います。同じコンビのBartok「管弦楽のための協奏曲」など、再度確認したくなりました。
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ルドルフ・シュワルツ(シュヴァルツ)も少々忘れ去られ気味の指揮者でしょうか。(ワタシはLP時代からお気に入りでした。み・・・下にはマラ5なんてエラそうに書いてある)1979年の録音は、厚み奥行きで上記録音より勝るが、響きが少々濁る(全体として録音水準は落ちる)んです。(特にティンパニ)これはオーケストラの個性ですか?やや叙情が勝った表現で、柔らかい表情。
収録的には配慮のある内容だけれど、クーベリックとは音質、オーケストラの響き、表現とも少々違和感がありました。最近、音楽に集中していると気分の切り替えが上手く行かないんです。(2005年1月7日)
もちろん、颯爽とした壮年時代のクーベリックの「グレート」がメインでしょうが、R.シュワルツの1978年の録音にも惹かれて買ったCD。ディスキー・コミュニケーションによるEMI音源からのCD化は、1960年前後の音源の宝庫。
ルドルフ・シュワルツは、1959年録音の「Mahler 交響曲第5番」しか知らなかったので、こんな時期まで健在であったとは意外。60・70年代、きっとイギリスで活躍していたのでしょうね。渋い選曲ですが「マラ5」の印象とまったく同じで、やさしく厚い響きでよく歌う演奏。
ボーンマス響のアンサンブルは力強いのですが、やや濁りがあって洗練されないのが弱点でしょうか。美しい旋律を、引きずるようにゆったりめのテンポで表現しています。穏健で、オーソドックスで、しっとり。とくにイタリア風序曲ニ長調は聴きもの。たしか、ほかにスラヴ舞曲(ハンガリー舞曲だったかな?)のCDが出ていたはず。録音が少なかったのが不思議なくらいの立派な演奏でした。
クーベリックの「グレート」。いかにも彼にピッタリといった曲だけれど、たしかこの後の録音はなかったはず。この曲はシューベルトに典型の、息の長い、牧歌的・歌謡的な旋律が延々と続く名曲。名演奏も多いと思います。(手元に計12種のCDが!溜まってしまった)
1959年といえば、まだビーチャムの色濃いRPO。冒頭のホルンから爽やかな音色で洗練されたオーケストラの響き。クーベリックは小細工を労さず、大きな流れを作るような演奏に仕上げています。テンポの揺れも最低限。若々しく軽やかなリズム。響きがきりっとしていて、音色が明るいのも好感が持てます。
第1楽章における速いテンポで畳み込むような熱気、第2楽章のすっきりとして淡々としながらも繊細な響き、第3楽章スケルツォでの軽快かつ知的に抑制した歌、第4楽章フィナーレは力みもなく、軽快に勢いよく走ったもので、どの楽章も細部のていねいな仕上げはいつも通り。
録音は、潤いがもう少しほしいところ。クーベリックの意図なのか、初めて聴くような内声部の旋律もあります。各パートの分離はかなりいい線いってますが、広がりはあまりなくて年代相応といったところでしょう。
ほかの「グレート」の廉価盤CD
●バルビローリ/ハレ管
●シューリヒト/シュトゥットガルト放送響
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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