Schubert 交響曲第9番ハ長調(バルビローリ/ハレ管弦楽団)


EMI(新星堂) SAN2 Schubert

交響曲第9番ハ長調 D944「ザ・グレイト」

ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団

EMI(新星堂) SAN2 1966年録音 1,000円(1990年購入)

 2003年再聴です・・・というか、ここ最近、この曲が苦手になって、全然聴いていない。購入したままで開封していないCDが記憶にあるだけで、4種あるような状態(いや5種か)なんです。以下は1999年頃書いた文書かな?そうへんじゃないけど、ま、一応ちゃんともう一回聴いて、それなりにコメントしましょうか。

 まず録音が(あのEMIにしちゃ)出色にヨロシいこと。響きの濁りもなく、自然な奥行き、広がりもあります。演奏は、じつにバランスが良い感じ。リキみがなくて、淡々として、ムリムリなテンポの設定とか、見栄とかそ、熱狂的なノリとか、爆発とか、そういうのとは縁がない、いつものようにまったり進めていくパターン。

 ハレ管はいつになく瑞々しい響きだけれど、取り立てて魅力的な、目を見張るようなパートは見当たらないでしょう。アンサンブルは悪くない。但し、切迫感はないんです。重量感も存在しない。全曲で53分くらいの長大なる作品でしょ?この「しっとりまったり」世界に、ココロ安らかに没入できる人だけが楽しめる世界か。ちょっと繰り返しがしつこい作品だから。(ほんまに全部繰り返したら、CD一枚で収まらないらしいが)

 Schubert 特有の、人が歌うような美しい旋律が溢れるでしょ。その旋律を大切に、じっくりていねいに、扱った演奏なんです。ワタシは正直、ちょっと最終盤疲れてしまいました。気の長い人、トコトンこの旋律につき合うぞ、と、決意した人にはたまらない演奏かも。この作品、中学生の時にフルトヴェングラーのスタジオ録音盤で初めて出会って、その燃えるような演奏に痺れました。その思いは今でも変わりません。

 それとは対極に存在する演奏なのでしょうか。(2003年1月3日。以下は1999年頃?)


 バルビローリは1970年に亡くなっているから、晩年の録音。音の状態はまぁまぁ。シューベルト晩年の作品は、この曲にせよピアノ・ソナタにせよ、室内楽にせよ、あふれ出る美しい旋律を際限なく書き連ねて、長大に至ってしまうことが多かったみたいですね。その辺りが、いかにもバルビローリにピッタリと予測していましたが「ビンゴ!」。

 ハレ管は絶好調。目隠しテストしたら、イギリスの地方オケとはわからないはず。冒頭のホルンから、もう感じ入ってシミジミと吹いていて気持ちいいんですよ。旋律が、いかにもバルビ好みの横流れの蕩々としたもので、例の一楽章導入のテンポ・アップは劇的な燃焼ぶり。いつになくアクセントもきかせて、旋律をひとつひとつたしかめるような入魂の演奏。ノリ。

 第2楽章は、木管の途方に暮れたような静かな旋律と、弦の力強い対比をどう表現するか。バルビローリはもっと、しつこく、クドい表現かと思ったのですが、意外とストレートで淡々とした(彼にしては)演奏ぶり。むしろ明快にアクセントをつけた部分と、優しい部分の対比が明快で冗長的になりません。こみ上げる激情。

 第3楽章は、あわてず騒がず、三拍子のリズムの揺れが気持ちよろしい。力みがなくて、やや抑えた(抜いた?)演奏。

 終楽章は、中庸からやや遅めのテンポでむしろ冷静に、旋律をたしかめながら進めています。「終楽章だから、ここは一発キメてやろう」というノリではなく、むしろ視野を広く持って見通しをしっかりつけている感じ。

 後半がややおとなしい。スケール感もあって、迫力もあるのですが、重量感に欠けるのはいつも通り。オケも磨き上げられた、機能的な響きではありません。この曲、どうしても最初に聴いたフルトヴェングラー(最晩年のスタジオ録音)の印象があって、デモーニッシュで魔術のような集中力が脳裏に焼き付いています。バルビローリはもっと優しくて、暖かくて、これはこれで堪能できる立派な演奏でしょう。


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written by wabisuke hayashi