Mahler 歌曲集「子供の魔法の角笛」
フェリックス・プロハスカ/ウィーン・フェスティヴァル交響楽団/フォレスター/レーフス


VANGUARD   VNC 7531
Mahler

歌曲集「子供の魔法の角笛」(全13曲)

フェリックス・プロハスカ/ウィーン・フェスティヴァル交響楽団/モーリン・フォレスター(con)/ハインツ・レーフス(bbr)

VANGUARD VNC 7531  1963年録音  中古にて500円で入手

 「歌ものはようワカラん」〜というのは、ひとつは言語の問題であり、大部分は「馴染みかたが足りない」せいだと思います。以下はサイト初期かなり以前のコメントだけれど、ジョージ・セル/ロンドン交響楽団/シュヴァルツコップ(p)/フィッシャー・ディースカウ(br)(1968年)盤への言及(賞賛)もありますね。なんどか聴き比べて、その個性が理解できるようになると「歌もの」だって楽しめるように〜数年ぶりの再聴であります。

 その後、録音は1963年と判明したので、”1967年ウィーン音楽週間の流れで録音”説は吹っ飛びました。考えてみれば、ウィーンに於けるMahler の演奏頻度はそれ以降高まったとはいえ、戦後からのモノラル時代にけっこうな量の録音残ってますもんね。上記、セル盤に比べ、いかにも地味な存在だけれど、聴き込むに連れ、これも悪くないな、と感じるようになりました。

 シュヴァルツコップ/フィッシャー・ディースカウは手練手管を駆使して、変幻自在なる表情の彩りをタップリ楽しませて下さいました。こちら、レーフスはちょっと渋くてオーソドックスな無頼と、精気たっぷりな表情+ユーモアを感じさせるし、フォレスターはしっとりと落ち着いて端正ではあるけれど、濃厚なる脂粉は存在しない。プロハスカのオーケストラは、ジョージ・セルほど厳しい集中力とキレとはいかないが、充分に甘い味わい深く、色彩感有〜もちろん繊細なアンサンブルに不足はないでしょ。ウィーン交響楽団?(←おそらくは契約が厳しかった当時の制約名じゃないか)トーンキュンストラー管?いずれ、奥行きと躍動感存分であります。

 全体として落ち着いた雰囲気+ていねいな表情付けはちゃんとあって、日常、時に取り出してジワジワ愉しむには充分なる存在でしょう。なんといってもこちら、ラストに「原光」が収録され、「復活」交響曲の壮大なる全貌を連想させつつ、全体を締め括って下さるのが嬉しい。録音は極上ですよ。

 購入十数年経過。転居が決まってこのCDを購入した大阪に戻っていくけれど、貯まりすぎた在庫を処分する日々〜こんな長いお付き合いになって下さったCDに深く感謝。歌い手は著名だけれど、指揮者も名人だけれど、知名度押し出し少々弱い〜それでも音楽とは出会いであります。出会ったら虚心に耳を傾ける、といったワタシの原点的音源であります。

(2007年2月23日)


 歌曲はよくわからんのですわ。言葉の理解問題もありますしね。だから、ちゃんとしたコメントも書けなくてなさけない。

 でも、Mahler の歌曲はわりと好きで、しかも懐かしのプロハスカでしょ?ウィーンのヴェテラン指揮者で、日本ではLP時代の廉価盤でばかり出会っていたけど、1987年まで存命だったひと。フォレスターって、大阪万博のとき来日した記憶があるし、たしかカナダ議会の議長も務めたひとのはず。(ライナーとの録音もありました・・・「大地の歌」)レーフス(読み方違うか)も、きっと往年の有名な人なんじゃないかな。

 きっとこの録音の時期は、まだ現在ほどMahler 受容が進んでいなかったころでしょう。オケは、ウィーン交響楽団の変名と想像されます。(立派なアンサンブル。メール情報によればトーン・キュンストラー管かもしれないとのこと)録音時期不明ながら(p)1968となっているところをみると、1967年のウィーン芸術週間(Mahler のほぼ全作品が集中して演奏された)の流れで録音されたのもかもしれません。(演奏会ではプレートル/VSO)

 専門家が指摘するように、交響曲との密接な関係があって、知っている旋律がたくさん出てきます。「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」「原光」は、「復活」交響曲そのまま。第1交響曲のフレーズも頻出するし、初めて聴いても馴染みを感じさせます。

 でも、やはり歌詞のことはもっと知りたい。残念ながら手元に和訳はないし、だいたい仮に持っていたとしても、中世以降のドイツ民謡詩集の意味合い、ひとつひとつの歴史的な背景は良く理解できない。題名だけ見ていても、なんかけっこう意味深長ですものね。

 レーフスのバス・バリトンは貫禄たっぷりで、なんとなく歴史的録音時代の雰囲気を残しています。「大地の歌」の旧い録音(例えば、ワルター盤におけるパツァーク)を聴いても同じなのですが、最近の人にはない「無頼」を感じさせます。

 フォレスターのコントラルトも、ややヴィヴラートが現代風ではないけれど、表情が肌理細かい美声。それでも古臭い感じがないのは、わりと録音が鮮明でプロハスカの軽快なリズム感と、繊細なアンサンブルの力でしょうか。木管の旋律の絡み合いも出色。意外な拾いものでした。

 で、これはこれで満足して楽しんでいたんですが、名盤として名高いセル/LSO/シュヴァルツコップ/フィッシャー・ディースカウの演奏(ワタシはAV Japan AC-3050  1,000円の海賊盤で所有)を聴き比べで取り出したら、仰け反りました。

 まだ若かったディースカウの表現の豊かなこと、シュヴァルツコップの一種独特のクセのあるヴィヴラートの強烈な説得力、なによりセルのオケの集中力が凄い。こいつぁあ、滅多に聴けないなぁ。プロハスカ盤がダメ、というんじゃなくて、凄すぎる演奏なんですねぇ。困ったもの。(2000年更新)


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