Mahler 交響曲第9番ニ長調
(ヘルマン・シェルヘン/ウィーン交響楽団1950年ライヴ)


FIC (オルフェオ海賊盤) ANC42→処分済 Mahler

交響曲第 9番ニ長調

ヘルマン・シェルヘン/ウィーン交響楽団

FIC (オルフェオ海賊盤) ANC42(電気屋さんにて680円で購入)→処分済/ネットよりパブリック・ドメイン音源にて拝聴可能 
1950年 ウィーン楽友協会ホール・ライヴ 

 21世紀も10年を経ると、それなり知名度のある(音質も良好なる)Mahler 全集は3,000円程で入手可能な時代となりました。わざわざノイズにまみれた歴史的音源にて聴くべき作品ではない・・・とは思うが、ネットにてパブリック・ドメイン音源を発見したため、再び自主CD化して拝聴の機会を得ました。記憶はエエ加減なものだけれど、処分した駅売海賊盤より音質がややクリアに、奥行きを感じるようになった?(.mp3→.wav変換自主CDでも)と感じます。ちなみにシェルヘンのBeethoven 交響曲全集も(オークションにて)処分済。個性は尊重したいが、異形なる爆演を称揚する趣味はございません。人様の嗜好はそれぞれ。

 2004年の再コメントは素っ気ないですねぇ・・・反省。大好きな作品だけれど、これといったお気に入りが見つけられないのも事実。カラヤンの旧録音(1979/80年)にはまったく共感できず、バーンスタイン/ベルリン・フィルのライヴ(1979年)は聴く機会を得ません。種々様々全集中に聴く演奏は、どれも拝聴すべき個性に溢れ、美しく感じたものです。LP時代FMにて拝聴したワルター/コロムビア交響楽団(1961年)を別格にすれば、このシェルヘン盤こそ本格的この作品と出会いだったんじゃないか。初心者が出会うべき音源ではないでしょう。音質的に整い、オーソドックスな表現で馴染んでから云々すべき”異形なる爆演”也。

 久々の拝聴は”テンションの高さ”、”せき込むように速いテンポ”、”前のめりで、熱気をはらんだ演奏”に間違いないが、けっして仕上げが雑とは思えない(アンサンブルが緻密とは言えぬが)。集中して拝聴すると、揺れ動くテンポの中から、あちこち甘美な節回しを感じ取ること可能。ウィーン交響楽団はヤワで地味なサウンド印象があるけれど、これほど煽られ、緊張を維持して疾走しているのもライヴ故の感興なのでしょう。第2楽章のレントラーは優雅かつリノリはあるが、ノンビリとして穏やかではない。不安げに揺れ動き、途中「きわめて粗野に」の指示通り狂乱の爆発が待っておりました。アッチェランドに走って、その切迫感が素晴らしい〜アンサンブルを犠牲にしても。

 第3楽章「ロンド・ブルレスケ」〜この荒々しい楽章はシェルヘンの個性に似合っているでしょう。アンサンブルは乱れ、各パートがばらばらになりつつ疾走は止まらない、そんな風情であります。表面を整えることより、粗野な勢い、爆裂、流れを重視したいということでしょう。ラスト相当な、モウレツ快速。オケの技量は優秀とはいえない。ほぼ乱れ放し。

 終楽章「アダージョ」。終楽章を消え入るように締め括るのは大地の歌、交響曲第3番のパターンであって、後者とテイストがとても似ております。粛々纏綿と艶々美しい弦の聴かせどころ〜ながら、ウィーン交響楽団にそれは期待できないでしょう。当時まだ戦後の混乱期ですし、ザラついた音質上の問題もある。ざっくりと急いて、挙げ句、時代掛かったポルタメントも頻出、ヴァイオリン・ソロだって怪しさたっぷり。それはそれで(ちょっと苦しい感じで)クライマックスはやってくるんです。

 万人に勧めるべき耳辺りの良さではないが、時代の熱気みたいなものはダイレクトに伝わるでしょう。仕事疲れには聴取を避けたほうがよろしいかと。”美しい”演奏ではないので。

(2010年7月10日)

 


 一部の好事家に話題のシェルヘンだし、人気作品だから正規再発されているかと思ったが、その後出ていないみたいですね。(2004年現在)音質が相当に厳しいし、なによりこの作品特有の「危うい甘さ」みたいなものが消し飛んでいる演奏だから敬遠されているのかな?ワタシは時々聴いてましたが、音楽日誌で少々コメントをしたことを再掲。

上手い、とか、アンサンブルの水準とか、色彩が、などとは無縁の、勢いと切迫感のみの表現か。箒のような極太筆で一気に書き上げた前衛書道みたいなものでして、あれは書かれた「字」を読むものではないでしょ?あんな感じです。とにかくアツい。
 こうしてみるとBeethoven のライヴなんかと同一方向なんだな。(第2/7番第5/6番)これも爆演系トンデモ演奏の類か?時代の証言的雰囲気は楽しめるが、この作品の神髄を伝える代表的演奏、とは言い切れないと思います。いずれにせよ一度は聴いてみな、的一枚。お粗末な一文ご容赦。(2004年10月27日)


  これはオルフェオからかつて発売されたCDの海賊盤。個性派シェルヘンの面目躍如たる1枚。まだマーラー受容が広がる以前の、この曲が充分前衛性を持っていた頃の録音。そしてウィーンではまだ戦争の荒廃が残っていたはず。

 会場ノイズもあって、芳しい録音ではありませんが・・・熱気は凄い。むしろ雑音が、おどろおどろしい雰囲気を盛り上げます。

 冒頭からものすごいテンションの高さで、せき込むように速いテンポ。前のめりで、熱気をはらんだ演奏です。細部には拘泥せずに激しい勢いで聴かせ、「間」もなにもなくて、オケのゆうゆうとした「歌」もない。
 第1楽章の後半戦でじょじょにテンポを落としていき、2楽章以上はわりとふつうのテンポで落ち着きますが、「熱」だけは続いて疾走します。長大なこの曲もあっという間に終わります。

   日常いつも楽しむ演奏ではないと思いますが、なんともいえない異様な雰囲気が聴き手の集中力を強制します。よく知っているはずのこの曲もイメージ一新。(良いほうにか?悪いほうにか?)

 VSOは指揮者に引きずり回されて、洗練された音を出すような状態ではなく、弦も濁るし、管だってちっとも合わない。テンポは大きく揺れる。オケは力一杯弾いているのが目に浮かぶよう。全曲で69分、あっという間に終わります。酔うような演奏です。

   VSOというオケは不思議な存在で、ときどきとんでもない録音を残してくれて、目が離せません。ベストではないが、凡百では語りきれない魅力あり。

 だいたい、この手の海賊CDは「いかにも」っていう感じの有名どころの録音が多いのですが、これは思いっきりマニアックですよね。FICの企画者がコッソリと自分の趣味を混ぜ込んだのか、たまたまCD1枚に収まる音源を探したのか、は不明です。(1998年)


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written by wabisuke hayashi