評価


 ワタシが子供の頃(1960-70年代)には”クラシック音楽の定番”が定まっておりました。それはLPが高価(一枚2,000円以上)であり、市井の民にはそうそう何枚も買えなかったし、選択肢も少なかったということですよね。究極の一枚選びが大切な時代。評論家の存在感は大きくて、宣伝(=消費)にも大きく関与しておりました。まだ、評論というのは確立していなくて時に”大御所の一言!”みたいな印象でしたね。吉田秀和さんは別格、そういえば服部幸三さんとか皆川達夫さん、三浦 淳史さんとか痺れるほど立派な先生はいらっしゃいましたよ。今は昔。

 【♪ KechiKechi Classics ♪】をぼちぼち始めたのは1998年(初年度のアクセス数1,500ほど)、その頃って未だCD高かったですよ。その後、転落の21世紀へ。音源は激安!いくらでも入手可能となって、幅広く聴かれるようになり、評論のあり方もぐっと理論的に、切り口も演奏史的俯瞰を以て、嗜好は嗜好としてちゃんと言及するようになってきました。つまり”宣伝(=消費)”とは別物になったということででしょう。閑話休題(それはさておき)

 自分の文書についてはいつも悩んでいて、つまりはシロウトの雑談であり、自分の印象のメモみたいなもの。だから聴く度、どんどん印象は変わります。勝手に書いているだけ。それは自分のため、子供の頃から馴染んできた音楽をよりいっそう楽しむため。だから自分の嗜好にさえ合えば良いんです。人様と意見が合わぬのはあたりまえ。そんな違いをアツくネット上で語り合う!ような時代も過ぎ去り、沈静化いたしました。新しければ良い、というものでもないが、かつて日の目を見なかった往年の歴史的音源もネットで公開されるようになって、聴取時間の幅はそちらに偏りがちです。

 時代は音源データ化に進んでいるが、聴き手の耳は今も昔もアナログでっせ。世評と自分の嗜好と大きく離れていることは日常茶飯事。昨日〜本日拝聴したR.Strauss 喜歌劇「こうもり」〜カルロス・クライバー/バイエルン州立歌劇場(1975年)は鉄板評価!偶然最近入手したもの、出会いもなにかのご縁、お正月にしっかり聴いて・・・愕然としました。歌い手の声質やら、第2幕の舞踏会の雰囲気がぜんぜん気に喰わない。貧しくて廉価盤しか買えなかったからNAXOSのヴィルトナー盤が棚中在庫、比較再聴したらそちらのほうがずっと良い感じ。これがド・シロウトの嗜好也。(「音楽日誌」述懐済)

 MESSIAN トゥーランガリラ交響曲〜アンドレ・プレヴィン/ロンドン交響楽団(1977年)・・・この度SACD化される優秀録音、なんだそうです。大好きな作品でして、ちゃんと生演奏も聴いております。久々確認したら、なるほどぉエエ音でんな。演奏もまったりして、なかなか穏健派の表現ながら華やか、オケも上手い。ところでこの作品をとことん聴いていらっしゃる人がありまして、そこでの評価はぼろぼろなんすよ。曰く

”うーん、全体的にイマイチ荒い。部分的には妙に丁寧な箇所もあるのだけれど…。小澤盤などに較べるとその完成度の差は歴然で、明らかにオケへの意思伝達や、アンサンブルの仕上げが不充分であることが分かってしまう。プレヴィンならもっと素晴らしい演奏ができたに違いないのだけれど…”
 ・・・荒いねぇ。粗いと違うのかな?意思伝達云々ともかく、アンサンブルの仕上げは立派だと思うんだけどなぁ。ワシの評価基準がユルいのか、甘いのか。

 同じサイトにて、Mahler 交響曲第10番 嬰ヘ長調の徹底聴きが掲載され、ま、ワタシも大好きな作品故、けっこう掲載音源は聴いているんです。これがけっこうツボ。ジョージ・セル(1958年録音/クルシェネク版)の評判が悪いのは知っていて、ここでも「感情の表出にはそれほど神経を使っていない、といったところか。客観的な演奏」〜これも世評と一致します。ワタシのサイトにも言及があって、別な切り口評価となって概ね言っていることは同じ、それが逆に嗜好に合っているということです。

 フィーラー版1966年第4稿1997年改訂版(ロバート・オルソン/ポーランド国立放送交響楽団)〜この言及もあって

編曲がヘン。第二楽章のハーモニーが何か非常に違和感を覚えるし、クック版なら何とも皮肉たっぷりの、斜に構えた感じに聴こえる第四楽章冒頭が、ウィーラー版ではまるで子供のオモチャのように未熟でチャチに聴こえてしまう。ところどころ、特に主題が切り替わる箇所で、マーラーらしからぬダサい曲想が顔を覗かせるのもいただけない。まるで素人だ。第四楽章と第五楽章のつなぎも何ともヘン。あの不気味さが全然出ていない
 ・・・さすがちゃんと聴くべきものはちゃんと聴いていらっしゃる。ワタシのへろコメントなど戯言の水準也。でもね

 今更、クサい言い訳しても仕方がない。いろいろ訳ワカランこと書いてあるけれど、ようはするにけっこうよかった!ということでっせ。8年を経て再拝聴したら、やはり感動したのもたしか。こちらド・シロウトはなんとなく弱いかな?程度の感想ですけど。自分が楽しめばそれで良いんです(と、開き直り)。

(2013年1月3日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi