Brahms ハンガリー舞曲集(ドミトリー・キタエンコ/モスクワ・フィル)


YEDANGCLASSICS YCC-0117
Brahms

ハンガリー舞曲集
第1/2/3/5/6/7/10/17/18/19/20/21番

ドミトリー・キタエンコ/モスクワ・フィル(1982年)

Sarasate

カルメンの主題による幻想曲 作品25

ヴィクトール・ピカイゼン(v)/マンスロフ/ソヴィエット国立放送大交響楽団(1972年)

WIENIAWSKY

モスクワの想い出 作品6

ヴィクトール・ピカイゼン(v)/ドミトリーエフ/ソヴィエット国立放送大交響楽団(1988年)

YEDANGCLASSICS YCC-0068  10枚組3,990円

 米PIPELINE原盤によるロシア秘蔵音源を集めた韓国「YEDANGCLASSICS」より。CD製品としての作りは立派(過剰包装?)だけれど、コンピレーションが滅茶苦茶でして、これも題名が「Viktor Pikaisen」となっているが、メインはキタエンコの「ハンガリー舞曲集」となります。趣旨は「ジプシー音楽つながり」か?閑話休題(それはさておき)、作品演奏音質とも楽しめる一枚也。ことし2008年、このシリーズはかなり大量にオークション出品したが、意外と人気がなくて捌けるのに時間が(うんと)掛かったり、売れ残ったり〜状態。露西亜演奏家ものは、一部を除いて好事家向けなのかな?

 「ハンガリー舞曲集」は音楽愛好家にとっての座右に揃えておくべき作品と思います。ところが収納棚もたわむほどにCDを貯めてしまったワタシは、このキタエンコ盤が唯一のまとまった音源であって、全曲盤は入手しておりません(正確には匿名演奏家廉価盤/ちょっと聴くのがツラいような演奏だった〜を処分済)。類似といっちゃなんだけど、同趣向のDvora'k「スラヴ舞曲」は全曲2種もあるのにね。【♪ KechiKechi Classics ♪】向け激安の出会いがなかった、というか、録音そのものが意外なほど少ないのか。

 ドミトリー・キタエンコ(1940年〜)はヴェテランであり、西側に出たコンドラシンの後を襲ってモスクワ・フィルのシェフを長く務めた(1976-1996年)が、人気いまいちというか、その後不遇のような気がしますね。おそらくは相当大量の録音が母国に眠っているはずだけれど、日の目を見る機会は少ないでしょう。

 ハンガリー舞曲は現在でも「通俗名曲」(死語?)なのでしょうか。先日、2003年の「ニュー・イヤー・コンサート」(アーノンクール)を聴いていたら、第5/6番が演奏されていて、リズムのキレと適度なルバートにすっかり魅了されました。キタエンコはやや生真面目というか、特異な個性を表出させず手堅く立派な演奏。サイト内検索すると「悪くない味だけれど、中途半端な浪漫性というか余裕というか、欧州の田舎風演奏です。これだったら硬派露西亜風爆発風でいって欲しかった」との失礼なる(自らの/購入当時2005年の)コメント発見・・・

 おそらく期待は「硬派露西亜風爆発風」(異形なる金属臭キツい金管ヴィヴラートとか!)だったのでしょう。久々の聴取は音質も悪くないし(ライヴ?放送用セッションかも)、アーノンクールの”舞曲としてのキレの徹底”という点で今ひとつだけれど、全12曲、変化に富んでメリハリもあって充分愉しめました。オケも意外と洗練されて上手いもんですよ。これだったら時に取り出して確認すべき価値充分に有。

 ヴィクトール・ピカイゼンは1933年生まれの大ヴェテランで、来日もしております。知名度的には少々弱い(録音があまり出なかっただけ)実力派。ここでの演奏はもの凄い超絶テクニックでして、しかもコクがあって、味わいが適度に濃厚で「ロボット的技巧」じゃないんです。他の古典的な演奏も拝聴したいものですな〜とは購入当時の感想です。

 「カルメン幻想曲」といえばWaxmanによる壮絶な作品(ハイフェッツやコーガンの演奏も凄かった)を連想するが、Sarasateだって負けない超絶技巧要求作品也。ちょっと粗野で濃厚な表情、変幻自在なる表現+神経質でキレのある音色に乗せて、馴染みの旋律を魅力的に聴かせて下さいました。

 「モスクワの想い出」はこの演奏以外は聴いたことはないはず。やや大仰で纏綿たる出足から、流麗なる技巧を誇って、やがて懐かしい、どこかで聴いたようなシンプルな旋律が複雑に、テンポも含め変奏されていく美しい作品。ピカイゼンは繊細かつ自在です。

 通して聴くと違和感ない一枚なのかな?(この原稿執筆後、棚中よりハンガリー舞曲集10曲ほど収録したヨネル・ペルレア/バンベルク交響楽団盤出現しました)

(2008年6月6日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi