フランス音楽集(ピエール・デルヴォー/コンセール・コロンヌ)
Dukas
交響詩「魔法使いの弟子」
Chabrier
狂詩曲「スペイン」
Debussy
牧神の午後への前奏曲
Ravel
ボレロ
Saint-Sae"ns
交響詩「死の舞踏」
Berlioz
「ファウストの劫罰」より3曲
「ロメオとジュリエット」より「マブ女王または夢の妖精」
ピエール・デルヴォー/コンセール・コロンヌ
EMI 7243 5 85216 2 7 2枚組 1960/61年録音 1,390円で購入したウチの一枚
これは待望のCD復刻であって、ピエール・デルヴォー(1917-1992)という少々地味なフランス指揮者の得難い遺産であります。ワタシのLP時代からお気に入りでした。同世代である安田さんも同様の嗜好を示されておりました。だいたい「コンセール・コロンヌ」って現役なのか?と、調べたらちゃんと存在してますね(読めん)。いずれ、録音が最近あまりない、ということでしょう。
「魔法使いの弟子」は、テンポは揺れ動き、ラフで尻が落ち着かないようなカルさがあって、本来このような姿が正しい演奏だと思います。がっしり、しっかり真面目に演奏していただいては困る。けっこう大仰なタメもあって、華やかな(響き薄い)演奏であります。「スペイン」だって、賑々しい勢いが”命”なのであって、やや前のめりの落ち着かないリズムこそ、この作品には相応しい。元気良くて、これ見よがしなる”タメ”も”間”もあって、爽快でした。
「牧神」は、淡彩だけれど明るく、(以前にも書いたけれど)サウンドが”お仏蘭西”してるんです。腰のない気怠いフルート、薄っぺらいオーボエ、とことん妖しいヴィヴラートのホルン(最高!)。ふわふわ流れるようなリズム感も、この作品には全く相応しい。アンサンブルが細部怪しいのも、デルヴォーだったら許しましょう。雰囲気とノリで聴かせてます。これでエエんです。
「ボレロ」は大好きな作品なんです。たいていの演奏に感動するが、機能的を極めると別種の音楽に至る〜ことは最近気付きました。リズムは重く粘らない。ここではアンサンブルにラフなところは見受けられず、やや遅めのテンポでじっくり歌った演奏です。各パートの個性は先ほど言及したとおり・・・淡彩だけれど明るく、ジミではない。けっこう自己主張しております。(弦は美しいとは言いかねるが・・・)シンプルなリズムは徐々に熱気を加えて、飽きさせません。
ラストの大団円に向けての盛り上がりも、独墺系の充実した響きとは違うんです。やや乱れたトランペットの叫び(ヴィヴラート付)も妖しく、華々しいお祭り騒ぎ的賑やかさであります。エエですね。
「死の舞踏」は、他の作品と異なって厳格集中アンサンブルだって似合う作品なんです。ソロ・ヴァイオリンが、やや崩し気味でセクシーですね。これもぐいぐい前のめりの推進力(+揺れ)があって、精密緻密なアンサンブルとは言い難い・・・が、それを凌駕して余りあるアツき勢い+爆発があります。やはりこれは得難き個性だったんです。
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残り2作品(Berlioz)はLP時代収録されず、初耳となります。(1961年録音で、音質はこちらの方が上)きっと、まだほかにも録音は残っているんでしょう(全曲残ってないのか?)。慌てず、盤石の構えで管弦楽も良く鳴っております。華やかさそのままに、アンサンブルの集中は後半の方が上でしょうか。
(2007年1月5日)