爆演系リスナー火星人氏との対話
2004年8月、珍しくお仕事が忙しい。いえいえ、連日血の出るような残業!壮絶なトラブル処理に追われ、お客からは絶望的に叱咤され・・・ということではなく、我がチームの体制変更とか、なんとか回復基調をガッチリ年末に向けて固めてやろう・・・というド・スケベ根性満杯で、あちこち調整・客まわりであっぷあっぷ・・・試練だなぁ。盆休みも取れん!って「日常の仕事ぶりが盆休み風」とのウワサもあり、もう11日間もタップリ休んだじゃない・・・閑話休題(それはさておき)。
このクッソ暑い盆時(いちおう休みの日)に徳島行き(お客の都合)でっせ。朝一番にしましょう、と。「徳島・お盆」ったら「阿波踊り」でっせ、前泊するにもホテルなんてあるはずないじゃないの!・・・で、徳島在住の火星人さん、よろしくね、と甘えちゃいました。(要らぬ前振りか) ま、サイト上でのお付き合いも5年を経て情報交換しているし、かなりの比率でワタシと同じCD(昨今のHistory、BRILLIANT音源など)を所有していらっしゃいます。でも、有名無名のオペラが圧倒的!それとMozart 前後(含むマンハイム楽派)の珍しい音源が多いこと。(ワタシも好きだけれど、量的に比較にならない)更に爆演系音源完備!スヴェトラーノフ、ケーゲル・・・どころからでもかかってきなさい!メンゲンルベルク蒐集はライフワークなので「全部買う」とのこと。(フルトヴェングラーも多い) TELDECのBach 全集、リリンクのカンタータ全集には少々驚くが、DGとかSONYとか、いわゆる有名どころカラヤン/ベーム/バーンスタイン/小澤なんかが少ないのには驚きました。人様のコレクションを眺めるのは楽しいものだけれど、各々趣味だから羨ましいとは思いませんよ。意外と「コレ欲しい!」とか「聴いてみたい!」とか思わないものです。 ●「爆演系」って呼び名、誰が言い出した?あんたちゃうんか?(火星人さん談) ああ、そうかも。帰宅してから考えたが「爆演系」ってなんだろう?異様に燃え萌えノリノリ、炸裂する金管!叩き付ける打楽器!異形なるテンポ設定(速すぎ!遅すぎ!変化しすぎ!)クッサいフレーズの節回し、デフォルメ、信じられない重量感、大音量・・・火星人さんは「爆演系」を愛し、「脱力ヘロ系」演奏を蛇蝎の如く憎み(ティントナーの「英雄」を聴かせて下さって「どう思う?」→ワタシ「良いんじゃないの、こんなのも」と返答)・・・しかし、彼は 未知の曲、私は大好きね。過去に数多の作曲家が、それこそ星の数ほど作曲しているでしょうから、多少なりともそれらに接してゆくべきであると思います。限られて名曲ばかり聴いていると、それこそ重箱の隅をつついて、爆演あるいは名演ばかりを追っかけなくてはならないでしょうから。(BBS書き込み)と一方で明言されております。 ●ワタシは安いCDならたいてい買うから、自然と音楽を聴く幅が広がっているんです(ワタシ談) 「爆演は一回聴いたらいい」(火星人さん談)・・・な〜んだ、同じこと考えているじゃない。ワタシ、爆演系も地味渋系も、脱力ヘロ系も各々好き好きだと思います。問題は「これ以外は要らない」「価値はない」と断言されることです。ワタシはここ最近「地味渋系」に急速に移行しているが、将来「脱力ヘロ系」の涅槃境地に至る可能性も否定せず! 爆演系評価の高い物をすべて聴いている訳じゃないので、なんとも確信はないが、ああ、こりゃ数年で消えちゃうな、と予感させる音源はあって、やはり、ほとんどその通りになっておりますね。Beethoven とかBrahms 、Bruckner辺りの交響曲を狭い範囲で聴いちゃうから「重箱の隅をつついて、爆演あるいは名演ばかりを追っかけなくてはならない」ことになるんです。
●「これしか出ていない」という作品があるから、その演奏に文句付けようがない。ありがたい。(火星人さん談) Mozart 前後(含むマンハイム楽派)の珍しい音源のことでして、LP時代に比べ、NAXOS、ARTE-NOVA辺りが熱心にCD出して下さって、これはめでたい。火星人さんの蒐集量はワタシの比ではないが、好みは似ておりました。ところがさ、この類はサイト文書にはしにくいんだよね、Mozart に(が)似ている・・・くらいで終わっちゃう。「Dimmler、Winter、Tauschのクラリネット音楽」←このコメントも恥ずかしい・・・ 音楽を謙虚に、楽しく聴き続けるためには「未知なる音楽への興味」を失っちゃいけない、ということです。ワタシも時に現代に近い、やや難解な音楽を好んで聴くこともあります。BBB交響曲ばかり聴いていると「究極の名演!何処?」「爆演を極めろ」みたいなタコ壺に陥るのかも知れません。でも、歴史の波風に曝され、生き残ってきた「名曲」には敬意を表さないと。ワタシの好みに合わない「名曲」は、きっと「名曲を名曲たらしめる演奏」がきっと存在する、いつか出会えるはずと信じております。 録音機会の少ない作品は、たまたまその演奏者の技量で、評価が決まっている可能性もあるんです。
●LP時代は音楽を大切に、ていねいに聴いていたなぁ。レコードを取り出してプレーヤーに掛ける作業そのものが儀式だった。(ワタシ談) これはオーディオ問題とも絡んでおりまして、火星人さんもワタシも「普及タイプ・オーディオ装置」なんです。ま、高いカネ出してオーディオを買うんだったら音楽(CD)をもっと聴きたい!ということです。「ウチの装置では『火の鳥』の重低音は出ない」とか、NAXOSサイトから落とした膨大なWMP音源を「それほど悪くないだろう?」とか話題にしつつ、ま、だいたい録音の水準は理解できる、というか類推付くもんです。(てなこというと、オーディオ派の人に叱られるんだろうな、きっと) ディスクマン、カーステレオ、自宅コンポ(複数台あればそれぞれ)で同一音源を確認すると意外と印象変わるもんです。それは認めます。「オーディオにカネを掛けるくらいなら、まず音楽を聴け」と言ったのは、稀代のオーディオ・マニアだった五味康祐さんでした。彼は「オーディオで印象が変わる音楽は所詮それだけの音楽でしかない」とも書いておりますが。(これは少々哲学的か)
●(Beethoven 交響曲第5番ハ短調〜シェルヘン/スイス・イタリア語放送管 1965年ライヴ)を聴いていただきながら「これは爆演ですか?」との問いに (2004年8月14日)
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