Sibelius ヴァイオリン協奏曲ニ短調 /
ユモレスク/Josephson 天空の旅 (フェネラ・ハンフリーズ(v)/
ジョージ・ヴァス/BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団)


Resonus RES10277 Sibelius

ヴァイオリン協奏曲ニ短調
ユモレスク 作品87(第1番ニ短調/第2番ニ長調)
ユモレスク 作品89(第3番ト短調/第4番ト短調/第5番変ホ長調/第6番ト短調)

Josephson

天空の旅 (2019)

フェネラ・ハンフリーズ(v)/ジョージ・ヴァス/BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団

Resonus RES10277 2020年録音

 Sibeliusは大好きな作曲家、浪漫の情熱溢れるヴァイオリン協奏曲との出会いはLP時代クリチャン・フェラス(1964年)の演奏でした。ちょっと線の細い、神経質なソロとカラヤンのゴージャスなバックの組み合わせが立派な演奏だった記憶が・・・しばらく聴いておりません。ハイフェッツの快速演奏は彼の個性前面(1959年)ミリアム・フリードの演奏は正直なところ、ちょっと”弱い”印象があったもの。そろそろ往年のオイストラフやらアイザック・スターン辺り、豊満なヴァイオリンで聴き直そうかなぁ・・・なんて、グズグズしているうちに出会ったのがこの新しい録音でした。しっとり瑞々しい音質が文句なく素晴らしい。

 Fenella Humphreysは英国の若手とのこと。George Vassも詳細情報がわかりません。BBC National Orchestra of Walesは、尾高忠明が1987-1995年迄首席指揮者を務めたカーディフの名門オケ。

 この作品はやや難解かと。出会ったのがこども時代だったから旋律細部ノーミソに刻み込まれてたっぷり愉しめます。第1楽章「 Allegro moderato - Allegro molto - Moderato assai - Allegro moderato - Allegro molto vivace」かすかなヴァイオリンの囁きに乗ってソロが第1主題を切々と歌い出す冒頭、往年の巨匠たちのように朗々と雄弁に非ず、しっとりと誠実に刻むハンフリーズ。神経質に線は細過ぎない、繊細入念な歌に溢れます。9分辺りから始まる延々と続く、ラプソディックなカデンツァにもムリはない余裕の技巧。ヴァス率いるオケもベルリン・フィルやフィラデルフィア管弦楽団のようなパワフルな厚みとは無縁、地味渋なテイストがSibeliusの鬱蒼とした浪漫風情によく似合います。この人、伴奏には得意な才能があるんじゃないの?(16:35)

 冒頭途方に暮れたような木管が合奏して、瞑想と静謐、雄弁な第2楽章「Adagio di molto」が始まりました。沈思黙考するヴァイオリン・ソロが延々と歌ってハンフリーズは内省的に清潔、デリケートに抑制された美しい音色。劇的な中間部にオケも抑制気味にソロを支えます。バランスの良さ、遠くから深呼吸するように歌う風情に絶品な緩徐楽章。(8:56)

 第3楽章「Allegro ma non troppo」は低弦とティンパニが刻む付点のリズムから、いかにも超難題なヴァイリン・ソロにも力みはない、しっとり風情継続。ヴァス率いるオケとのバランスが絶妙、大音量で攻めるオケに小声で応えるソロ、そんなやり取りにも余裕を感じさせるもの。前楽章との対比に力が入りすぎたり、走りすぎたり、疲れが出たり、そんな演奏はけっこうありますよ。全曲のまとまりもよろしく終楽章に至って、聴き疲れしない落ち着いた完成度でした。(8:17)

 「ユモレスク」は個性豊かな短い珠玉の旋律連続。3年ほど前ドンスク・カンの演奏を愉しんでおりました。humoresqueとは「気まぐれでユーモアのある器楽曲」そう書いております。録音も意外と少ないのはアンコール・ピース的存在に+弦楽伴奏が必要だからでしょう。第1番(3:47)第2番(2:21)第3番(4:25)第4番(3:33)第5番(3:14)第6番(3:28)安定した技巧にデリケートに落ち着いた風情が延々、儚げに続きました。

 ラスト「天空の旅」は現代亜米利加人作曲家によるもの。保守的な作風に爽快な風情漂う題名イメージ通りの作品でした。(8:57)

(2020年5月29日)

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written by wabisuke hayashi