Sibelius ヴァイオリン協奏曲ニ短調(ミリアム・フリード(v))/
交響詩「フィンランディア」「カレリア組曲」(オッコ・カム/ヘルシンキ・フィル)
Sibelius
ヴァイオリン協奏曲ニ短調
ミリアム・フリード(v)
交響詩「フィンランディア」
「カレリア組曲」
オッコ・カム/ヘルシンキ・フィル
FINLANDIA WPCS-4749 1976年録音
仏蘭西音楽はお仏蘭西のオーケストラで、独逸の音楽は独逸で、というのはそれなり意味があるようでもあり、そうとも言い切れないこともあるでしょう。Sibelius だったら北欧やら英国のオーケストラで、というのは説得力を感じますね。あまり濃厚な響きじゃないほうが似合うかも。オーストラリアとか、日本のオーケストラも意外によろしい。これがベルリン・フィルとかモスクワ放送交響楽団辺りになると”別物”狙い、価値観が異なってくるんじゃないか。音楽はあまり先入感で聴かないようにしているが、この一枚は生粋のフィンランド・チームによるSibelius 〜と、思ったらミリアム・フリード(Miriam Fried)ってルーマニア生まれのイスラエル人だそう。女性ですね。録音はあまり見掛けないが、これを聴く限り、得意な個性を誇って一聴の価値有。
ゆったり慎重なテンポ設定、繊細で細身、やや神経質な美音で進めるヴァイオリン。音質は全体にオフ・マイク過ぎでちょっぴり頼りないけれど、広い会場空間を感じさせます。悪い録音ではないと思うが、我が貧者のオーディオとは相性よろしくない。穏健で清涼なる響きのオーケストラに乗って、静謐感漂う〜かなり劇的浪漫な作品旋律だと思うけど、激情は前面に出さない醒めた表現。ソロは粛々として”弱い”と感じられるかも(技術的な意味に非ず/音量が低いのか)。ヘルシンキ・フィルはけっして朗々と鳴るようなオーケストラじゃないが、しっとりとした柔らかい響きが得難いニュアンスを感じさせます。これほど淡々とした第1楽章は初体験か。
第2楽章「アダージョ」〜沈静化したヴァイオリンが静々と歌って、これはこれで絶品。著名ヴァイオリニストはかなり煽ったりするところだけれど、相変わらずテンポは遅く、美音を強調するわけでもなし、秘めたる激情といったところか。オーケストラは途中俄然存在感を示して、切々と歌い出しました。ヴァイオリン・ソロが戻ると静謐さが戻ります。あまりに歩みは遅すぎて、慎重に過ぎると聴くか、究極のつぶやきと捉えるべきか。終楽章「アレグロ」はリズミカルな躍動を誇るところだけれど、ここでもフリードはしっかりとしたクール(慎重)な歩みを止めません。技術的な不足ではない、バリバリ弾き進むことはもとより念頭にない、といった感じ。仕上げはていねいですよ。でも、”リズミカルな躍動”〜圧巻のクライマックスではない。ノリが足りない。
ヴァリ・ベストとしては推薦ならず。全体として隔靴掻痒状態、ごめんなさい。彼女のBartokはネットで拝聴可能です。
交響詩「フィンランディア」は、ジミ臭いオーケストラの響きがなんとも味わい深く、苦悩の民族!的雰囲気が良く出ております。カラヤン辺りで聴くと”カッコ良い!”作品と感じるが、こちらティンパニもも凄くジミ。遠雷のように控えめであります。テンポ・アップする後半も颯爽とカッコよろしくはない。誠実そのもの。「カレリア組曲」は素朴な民族的旋律横溢!大好きな作品です。序曲のホルンが奥深く、エエ感じで鳴っております。ノンビリとしたリズム感も親密だし、泣ける「バラード」も内省的なテイストがフィットしております。
ラスト「行進曲」の軽妙な足取りにも含羞が感じられて、協奏曲より(たっぷり)愉しめました。 (2011年4月1日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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