R.Strauss 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」/
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」/
交響詩「ドン・ファン」(ジョージ・ショルティ/シカゴ交響楽団)


これは正規CD R.Strauss

交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
交響詩「ドン・ファン」

ジョージ・ショルティ/シカゴ交響楽団

CC-1058(駅売海賊盤) 英DECCA録音1974年

 駅売海賊盤は1990年前後、CDの単価が@2,000〜3,000だった頃、著作隣接権の隙間を縫って@1,000以下で発売されたコピー盤でした。Jasrac(日本音楽著作権協会)の証紙もちゃんと貼ってあります。やがてCDRの値下がりと普及、正規CDの価格下落、そもそもデータ拝聴の時代に至って消滅いたしました。2016年現在、未だBOOK・OFFにて見掛けることは可能。自分は一時けっこう収集して、2006年頃からオークションにてCD在庫整理(オークション出品)しても、駅売海賊盤の扱いには困りましたよ。売るに売れず、それなり愛着のもの残70枚ほど?遠くない将来図書館寄付かな、2007年岡山から転出する時、お世話になった職場ご近所図書館に、けっこうな枚数寄付したこともありました。

 閑話休題(それはさておき)これはおそらく1990年頃、喜んで入手した(たしか)1,000円入手、著作隣接権改定前のものでしょう。別途、ショルティの「春の祭典」(1974年)の駅売海賊盤を入手して、これは昨年正規音源との質の違いに衝撃を受けました。R.Straussもきっとそうなんだろうな、これはこれとしてかなり鮮明だと思いますよ、音質的な不満を覚えぬのは貧者のデーディオ+耳鳴り盛大に弱まった聴き手の受け止め方もあるのでしょう。

一番お付き合いの長いR.Strauss音源かも。前々任フリッツ・ライナー圧巻の説得力に比べ、意外なほど(自分としては)印象の薄い録音となります。サイト内検索を掛けても言及ほとんどなし。音質がよろしい、といったことくらいか。世評高いのですね、オーケストラの技量の高さ、輝かしいサウンド、力強いメリハリ、音質条件〜すべて揃って、今回拝聴もワタシにはぴん!と来なかった。華麗なるサウンドが表層を流れるばかり。好みの人じゃないし、さほどに量を聴いていないから云々する資格ないのは前提、サウンドの生理的快感を求めることに徹底せぬと受け止められぬのかも。Mahler にも似たような印象を得ておりました。(「音楽日誌」2014年4月より)
 フリッツ・ライナー(1953-1962)ジャン・マルティノン(1963-1968)のシカゴ交響楽団には心躍るような快感があるのに、世評高いショルティはどれを聴いても?嗜好にフィットしません。フリッツ・ライナーによる「英雄の生涯」/「ツァラトゥストラはかく語りき」(1954年)既に60年前の記録には仰け反りました。金管の輝かしさ、ドライな切れ味サウンドへの賞賛は惜しまぬけど、ショルティって筋肉もりもりと強引力ずくな表現が気になります。近代管弦楽の華々しい成果であるR.Straussは、ここ最近(ちょっと安易に)ルドルフ・ケンペのドレスデンとか、マゼールのバイエルン放送交響楽団辺り、中欧の暖かい、質実な響きがお気に入り。華麗なる表現+実力ある艶々のオーケストラならカラヤンだって愉しめます。

 「ツァラ」冒頭のオルガンの低音の分離はかつて経験しなかったほどに鮮明、そこにアドルフ・ハーセス(ですよね?)の爽快なトランペットでしょ。あとは次々と馬力充分、輝かしい前のめりの勢い、金管の爆発が続いて・・・どーも落ち着かない。雄弁饒舌な旋律が続くR.Straussの作品に馴染むには時間が掛かって、その要因のひとつが(CDにて最初に入手した)ショルティだったのでしょう。Mahlerの交響曲第8番にも似たような経験をいたしました。なんでしょう、抑制とか陰影か?足りないのは。延々と押し寄せる音響の渦に、空疎な気持ちはいや増すばかり。

 世評高い「アカデミー賞」受賞!それがどーした。

 「ティル」「ドン・ファン」も押し寄せる圧巻のパワー表現に変わりなし。管楽器の細かいところの息の合い方、肌理の細かい抜群の技量に感心して「ツァラ」ほどに反発を感じません。デール・クレヴェンジャーの(これも正確かつ輝かしい+パワー)ホルンに保留条件なし、ハーセスと彼がシカゴ響の音のイメージでしょう。金管の正確なタンギング(というのか、細かい音の切り方)はこれ以上のものは聴いたことはない。凄い!肉体的生理的快感有。しかし、どーも腰が落ち着かない、前のめり表現は強引と感じます。みごとなアンサンブルに感心しても、感動できない。駅売海賊盤を以て云々しても仕方がないか、状態のよろしい正規音源探して再挑戦しましょう。今日はここ迄。お粗末。

(2016年3月5日)

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written by wabisuke hayashi