Beethoven 交響曲第7番イ長調/第8番ヘ長調
(デイヴィッド・ジンマン/チューリヒ・トーンハレ管弦楽団)
Beethoven
交響曲第7番イ長調
交響曲第8番ヘ長調
デイヴィッド・ジンマン/チューリヒ・トーンハレ管弦楽団
ARTE NOVA 74321 56341 2 1997年録音 780円にて購入
眉間に皺、人生の懊悩を独り背負い、前向きに戦いを挑む!1960年代的高度成長の矛盾と勢いを感じさせるBeethoven の音楽(とくに交響曲)は、ほとんど聴く機会を得ません。これはワタシの勝手な思い込みです。デイヴィッド・ジンマンの全集録音はジョナサン・デル・マー校訂稿(ベーレンライター版)ではない!とかなんとか、それがキッカケで少々世評を下げたようだけれど、ド・シロウトにはもとより関係なきこと。自分の感性で、耳でしっかり聴けば良いんです〜って、もうずいぶんと久々。ワルツ堂780円の値札付き、この店とっくに倒産し、店員が新星堂に移り、更にワルティという店を自主再建し、そこも閉店し・・・もう十数年前の入手なんじゃないか。激安廉価盤CD値崩続々21世紀にはこんな贅沢購入できまへん。
第3/4番、第5/6番、第9番の(昔の恥ずかしい)コメント残っております。購入当時はほんまに新鮮な気持ちで拝聴しておりました。この第7/8番に至っては十年くらいのインターバルなんじゃないか。いや増す華麗なる加齢と感性+記憶力の劣化自覚しつつ、どんな風に音楽は耳にこだまするのか。ましてや元気いっぱい(ちょっと激しいくらい)!の2曲でっせ。
交響曲第7番イ長調は”ちょっと激しいくらい”の作品、どっしゃーん!みたいなド迫力ぶちかましみたいな冒頭〜のはずが、序奏からすっきり、さっぱりクリアな響き。旋律の尻尾をストンと落として、詠嘆に節回しを長引かせない。これ、どこもずっとラスト迄同じパターンなんです。速めのテンポでリズム正確かつ軽妙、挙句、オーボエの自由な節回しが入る(この辺りが、硬派Beeやんファンの人々に不興を買っているのか)のが自在で良いではないか。重量感ではない、むしろ軽量軽快なリズムの第一楽章。(繰り返し実行)
第二楽章の速度指示は「アレグレット」。つまり、この作品にはほんまの緩徐楽章がない(どこかの解説で読んだ記憶が?)、ということでしょう。一般にはここ、纏綿とじっくり歌って”いかにも緩徐楽章!”的ノーコーに演るパターンって多くないっすか。こどもの頃〜若いころにはそれも悪くない(好きな楽章)と感じていたけれど、最近はもう勘弁して!久々、颯爽と足取り軽い演奏に出会いました。これぞ「アレグレット」(やや快速に)也。
ここ迄聴いて、弦が薄い(かなりノン・ヴィヴラート)、木管が明るく素っ気ない、金管に迫力が足りない・・・そう聴くことも可能でしょう。ま、サウンド個性は好みですから。19世紀浪漫の厚着を脱ぎ捨てた、とワタシは見たい。それに、とても優秀なアンサンブルと思います。
第3楽章「スケルツォ」。これもノリノリの軽快さ、終楽章も含め、やたらと騒ぎすぎるイメージだったんだけれど、軽妙に、そして”旋律の尻尾をストンと落と”すパターンは健在です。新時代のスリム、明るいBeethoven 、良いじゃないですか。
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交響曲第8番ヘ長調は革新的な作品と思います。苦手系ながら全集中、この作品が一番のお気に入り。快速、活力+緊張感溢れ、アンサンブルの縦線はピタリと合う。お見事な合奏力也。彼(か)の哲学的第2楽章「アレグレット・スケルツァンド」の、その正確さはほとんどディジタル、無機的なリズムの刻みがポイントなんです。第3楽章「メヌエット」はカラヤンの優雅な演奏の刷り込みがあるんだけれど、まるでスキップするようなうきうき速めのテンポとノリの良さ。
終楽章も超・快速(軽妙)であって、その見事なアンサンブルの集中力に舌を巻くばかり。最高。
細部、いろいろ楽譜上の問題はあるのかも知れぬが、スッキリしたサウンドを(ド・シロウトはたっぷり)堪能いたしました。他の作品も久々再聴しなくては。 (2011年10月28日)
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