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岡山交響楽団 第42回定期演奏会


2005年11月20日(日)PM 2:30〜岡山シンフォニー・ホール

Beethoven 交響曲第1番ハ長調
Mahler 交響曲第1番ニ長調

指揮 牧村邦彦

 いつもは団員であり、名ホルンニストである杉本さんが指揮をされるが、オペラなどで広く活躍される牧村さんを迎えて、岡響がどんな演奏をするか注目の演奏会でした。いつもの「児島の体操服屋の若旦那」改め「児島の体操服屋の旦那」(つまり代替わり済)同行。お互い、なにかと心身共に落ち着かない日々ではあるが、せめて地元のアマオケは休みつぶしても、応援、&楽しまないのとね。

 Beethoven 始まりました。ワタシはふだん(この系統の)名曲を楽しめないバカものだけれど、ナマだったらちゃんと拝聴したい。記憶がエエ加減だけれど、「第1番はナマ初体験!」と思ったら、今年聴いてますね。←それに「第4番未聴」というのもウソでして、ちゃんと2001年に聴いております。残るは第8番だ!閑話休題(それはさておき)・・・

 これは後半のMahler でも感じたが、杉本さんの正統真正面生真面目表現も魅力的だけれど、実演経験豊富な牧村さんの指揮で、オーケストラの響きが変わる、ということであります。管楽器のチカラ強い豊かな響き(少々荒々しくとも)に比して、時にやや物足りなさを感じさせることもある弦が、表情たっぷりに味付けされ、アンサンブルにより集中力が生まれます。例えば、ヴィオラがとても良く聞こえる。

 牧村さんの棒はリラックスしているようであり、かなり大まかなように見えて、全体をまとめ上げて見事。古典的であり、端正で”よく鳴る”演奏、といった印象。メカニック的にも文句なし。

 「Mahler の第1番は聴きすぎで、ちょっと飽きたかな?」なんて、休憩中にバカ話ししてました。この作品は、岡山大学交響楽団でもナマで感動していた記憶もあります。結果的に全曲、身じろぎもせず鮮烈なる経験に打たれ放しでしたね。たかだか、マンションの一室安物オーディオでぐだぐだ三昧のバカ者(=ワタシ)の戯れ言を、一掃するに充分なる説得力頻出連続ワザ出現。

 冒頭、舞台裏のトランペット隊も、第2楽章木管楽器群のベル・アップも、最終楽章のホルン(合計9人!)起立演奏も、すべて前回経験済み。ティンパニが二人もいる!ことも知ってます。冒頭、弦のフラジオレット〜沸き上がるクラリネット低音の木管に誘われて目覚める春・・・空気は澄み、鳴り渡る管弦楽〜弦の表情付けが肌理細かく、まろやかに、甘く歌います。おそらくは、これほど”鳴る”岡響は初体験かも。

 伊豆丸さんのトランペットはどこでも存在は鮮明であって、フルートは雄弁、ファゴットは甘く歌い、チューバ、ホルンの派手派手しい活躍は言うまでもない・・・テンポはどこも余裕があって、適切、不自然さの欠片もない。M女史のティンパニって、なんと適切なリズム感のキレなんでしょうか。しかも、最終楽章で絡むもう一人が(やはり馴染みの)”一見フツウの主婦風”名人A女史であって、その掛け合いの息をのむ緊張感+ニュアンスの刻々変化。

 Mahler に於ける打楽器の活躍は、ナマでしか理解できないんです。(ワタシのようなド・シロウトは)「ど〜ん」と響く超低音は大太鼓(2種あったな)なんですね。シンバル(これも数種あったような・・・)、トライアングル、ドラ・・・ここぞという時のメリハリ強烈。第3楽章コントラバス・ソロは適度にたどたどしく(これはまったく正しい)、ハープの妖しげ低音はMahler ならではの魅力を振りまきます。コン・ミスのソロも初めて気付いたような気もしました。

 最終楽章。CDだと「ちょっとうるさいんじゃないの」なんて思ったりするが、ナマの説得力・カタルシス(浄化)は比類なきものでした。ワタシはいっそうMahler が好きになりました。どこかで第3番やりませんか?

(2005年11月20日)


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written by wabisuke hayashi