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岡大響 第49回定期演奏会


2002年12月8日(土)PM4:00〜岡山シンフォニー・ホール


Beethoven 「エグモント」序曲
秋山 隆 指揮

Faure 組曲「ドリー」作品56

Mahler 交響曲第1番ニ長調「巨人」

保科 洋/岡山大学交響楽団  いつもご招待いただき、ありがとうございます。

 ことしは(おそらく)この演奏会でラスト。風邪ひいちゃって、まだ咳が残って時々演奏中咳き込んでいたふつつか者はワタシでした。すみません。1500人くらいかな、タップリ入っておりました。先日の教訓から舞台向かって左上バルコニー席に。結論的に言って、これほど楽しんで、感動した演奏は初めてですね。とくにかく凄い。いやはや、一年の締めくくりに良いものを見せていただきました、てな気持ですよ。

 で、まずエグモント序曲。お馴染み(保科アカデミーの痩身長身ダンディ)秋山さん登場。ちょっとね、技術的には粗いところもあるんですよ。まず音楽は思いっきり、チカラ強く、勢いがあること。これ絶対条件で、ドキドキするような緊張感が溢れます。

 ご自分のオーケストラのときは存分なる「ワザ」を仕掛けられる秋山さん、ここでも聴き慣れた旋律に相当細やかなニュアンス(細かい強弱)を付けられて、学生はんのオーケストラとはいえ手抜きがありません。開始良好です。

 さて、白髪の保科先生に交代で「ドリー」です。あれ?これRABAUD編曲で、CD持っていたかしら?ピアノ連弾のは何度も聴いて好きな曲なんですけど。Faureの曲って、はっきり言ってもの凄く難しい。ホルン・ソロ、フルート、とても上手い、弦だって雰囲気タップリ、でもね、なんか全体としてはピタリとしていないかんじ。

 ラスト「スペイン舞曲」はタンバリンも入って、これが楽しいですね。解説にもあるがCAHBIRIERに似ている、素敵な曲。


 Mahler がナマで聴けるなんて!それだけで幸せなんですよ。(以前岡大響OB管で第6番を聴いた)今回はOB7人+賛助(ハープ)一人でしょ。ほとんど自前でこの曲演るなんてほんとうに偉い!120人以上?「A」の弦が静かに鳴り出します。トランペットのファンファーレが遠くから聞こえてくるが、音はすれども姿は見えず。どこ?なんて、舞台上を凝視するがわからない。バス・クラリネットが地の底から湧き出るような旋律を奏でると背筋がゾクゾクするほど感動します。

 クラリネットが「4度のカッコウ」を歌い出すでしょ。そして柔らかくチェロが主旋律を奏でる(第1楽章でずいぶんとポルタメントを多用していたのは楽譜?)「姿見えずトランペット3人組」登場〜舞台裏で吹いていたのね。なんという美しいフルート、クラリネット、トランペット、そしてホルン。提示部繰り返し(ありがとう)。全2曲とは水準の異なるアンサンブルの優秀さ、集中力。厚み。

 Mahler って、例えばハープのストローク一発でガラリと曲調を暗→明に変えるでしょ?シンバルの強烈な一発とか。大太鼓の静かな重低音も、もの凄く効果的で注目。

 第2楽章スケルツォ。ウワサに聞いていましたよ、オーボエ、クラリネット+ホルンのベルアップ〜楽器を高く掲げて演奏、これも楽譜の指定なんでしょ?さっきの「舞台裏トランペット」にしても、Mahler ってホンマ凝り性で見た目も楽しませてくれますね。

 途中、優雅なレントラーになるでしょ?オーボエのお姉さんがカラダを揺らせながら〜そう、ちょうどレントラーを踊るようにカラダでリズムを取りながら〜朗々と気持ちよさそうに吹いてくださる。

 第3楽章の冒頭コントラバス・ソロ〜これはタドタドしく弾くべきものなんです。(だから、オーマンディ盤のチェロのようなソロは失格)もう、理想的な不気味さが漂っていて、雰囲気たっぷり。葬送行進曲の途中で、テンポアップするでしょ?ここはもっと対比を付けて欲しかったが、保科さんの明快な表現も実に気持がよろしい。

 終楽章。ティンパニ二人登場ですよ。大太鼓にシンバル、トライアングルでしょ?CDで聴くとやや空虚だけれど、ナマは凄い。打楽器は空気の振動そのもので、オーディオ如きで再現不能なんです。隣で熟睡していた「イケ面アルマーニ男」も(大騒音に)思わず目覚めました。終楽章は金管大活躍だけれど、チューバも上手い、ファゴット・ソロのお姉さんもまったく素晴らしい。ヴァイオリンにポルタメントが使用されたのは楽譜ですか?

 さ、出ました。管楽器ベル・アップ大作戦。音楽が盛り上がると、これダメ押しです。いよいよオーラス、ホルン起立!文句ない!「イケ面アルマーニ男」も頬紅潮させ、やや閉口気味!会場の熱気、いやが上にも最高潮〜ついにワタシ禁断の「最後の一手」繰り出し。

 「ブラーヴォ!」(「ラ」にアクセント有。低音で)ナマMahler 第1番初体験だけれど、どんな優秀CDをも凌駕するアツき演奏でした。コレ学生はんでしょ?驚き。最高。おそらく今年聴いたウチでもっともアツい演奏でした。間違いなし。アンコールはルロイ・アンダースン「クリスマス・フェスティヴァル」をMahler サイズ・オーケストラで。

 今年は良い年でした。幸せでした。

  


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi