Weber 交響曲第1番ハ長調/第2番ハ長調
(ネヴィル・マリナー/ジ・アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)


BRILLIANT 99935 Weber

交響曲第1番ハ長調 作品19
交響曲第2番ハ長調

ネヴィル・マリナー/ジ・アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

BRILLIANT 99935(3枚組)ASV原盤 1982年録音 1,290円

 10年以上前、もしかして20世紀中?Weber(1786- 1826)とか(ってBeethoven 1770-1827と同時代)マンハイム楽派辺り、大好きでした。当時CDは高かったし、それでもけっこういろいろ苦労して集めておりました。ピアノ協奏曲とかクラリネット5重奏曲もう一種)、種々の協奏曲も素敵でした。他、いろいろ載せてますね、このサイトに。

 すっかり忘れておりました。思い出したのは、ウィレム・ヴァン・オッテルロー7枚組の7枚目。第2番ハ長調(ハーグ・フィル1956年)が収録されていたため。嗚呼、こりゃ素朴でエエ旋律サウンドやなぁ・・・棚中在庫はなにがあったっけ?

 というワケで、ネヴィル・マリナー盤出てきました。NAXOS盤処分してこれに一本化したんだっけ。第1番ハ長調交響曲始まりました。ハ長調という大柄なる調性、第1楽章Allegro con fuocoは溌剌として明るい出足、やさしい風情から喜びが吹き出して、”Mozart の交響曲第31番 ニ長調 K.297 (300a) の影響を受けている”という説に一理も二理も有、陰影のある転調もそれを連想させるでしょう。マリナーは軽快、ニュアンスを以て華やか、バランスも抜群。例のシンプル素朴なリズムもWeberの魅力満開であります。ラスト、一気にアッチェランドして締めくくりました。

 第2楽章Andanteは、寂しげな雰囲気が支配して、重苦しい深刻な表情に至らないのはマリナーの手腕でしょう。木管がしっとり優雅、爽やかに歌い交わします。中間部は近刊も伴って華やかな盛り上がりも有、やがてWeber得意のホルンの深々とした重奏も効果的に広がりを加えます。第3楽章Scherzo(Presto)-Trio。時代は既にメヌエットではなく、スケルツォなんですね。弾むような軽妙なる舞踏はユーモラスであります。作品の作りとしてはやや四角四面だけれど、こんな独欧田舎風情がWeberのテイストですから。

 第4楽章Finaleホルンの剽軽に上下する旋律出足から、彼(か)の個性満載です。ときどき木管の合いの手が息抜き、堂々たるフィナーレは時に暗転して、見事な締め括り…って、やはり若書き(20歳)の作品は風格より、爽やかさが先行しているようでした。全25分ほど。

 第2番ハ長調交響曲も同時期、20歳の作品だそう。こちらはいっそう素朴、ユーモラスでしょう。第1楽章Allegroは表情豊か、途中(例の如し)達者なホルン(牧歌的旋律はファゴットに受け継がれる)が登場して、この賑々しい軽快なリズム感は”オペラの序曲みたい”って、どこかに書いてあったっけ。第2楽章Adagio ma non troppoはチェロのソロが印象的に優雅であり、それがオーボエに引き渡されて、纏綿と歌います。(先の)オッテルロー盤も、ここが白眉。愛すべき可憐な旋律が暗転しつつ纏綿と歌います。ここもホルンの使い方が上手い。

 第3楽章Menuetto and Trioはなかなか劇的なリズム。途中に挟まるオーボエはパウゼがユーモラスだな、と思ったら、あっという間に終楽章に突入しました。第4楽章Finale: Scherzo prestoにも哀愁の旋律奏でるホルン大活躍〜華やかな劇的なフィナーレへと至る・・・かな?なんか尻切れとんぼのように終わってしまいました。

 音質云々はワタシの縄張り外ながら、もうディジタル時代なんだから、もうちょっと潤いある収録できたのでは?と、贅沢な感想ちょっぴり。このオーケストラはあまり固有の個性を強調しない、バランス・サウンドでした。

written by wabisuke hayashi