Weber クラリネット五重奏曲 変ロ長調 作品34
(カールマン・ベルケーシュ(cl)/アウアー弦楽四重奏団)
Weber
クラリネット五重奏曲 変ロ長調 作品34
クラリネットと弦楽4重奏のための序奏、主題と変奏(遺作)
クラリネットとピアノのための「グラン・デュオ・コンチェルタント」変ホ長調 作品48
ジルヴァーナからの主題による7つの変奏曲 変ロ長調 作品33
カールマン・ベルケーシュ(cl)/アウアー弦楽四重奏団/イェネ・ヤンドー(p)
NOXOS 8.553122 1994年録音 800円で購入。
ここ最近、お仕事疲れ色濃く、しかも猛暑に攻められて音楽に集中できません。ま、呑み過ぎ遊び過ぎ、太り気味ということもあるんだけれど・・・ここ数日急に涼しい風が吹き出して快いものです。音楽を楽しむべき秋が近い。華やかなるMahler ばかり最近聴いていたけれど、こんな楽しげなる室内楽も季節にお似合いでしょう。Mozart もBrahms も大傑作に間違いないが、Weberのクラリネット五重奏曲はずいぶん以前からのお気に入りでした。
透明なる諦念を感じさせるMozart 、憂愁の寂寥溢れるBrahms に対して、我らがWeberはなんとウキウキ、幸せな世界なのでしょう。これは室内楽に限らず、彼のどんな作品にも共通する味わいなんです。ハンガリーの名手・ベルケーシュはいかにもモダーンな、切れ味のある音色とテクニックで全曲どれも、たっぷり聴かせて下さいます。クラリネットには一種牧歌的な雰囲気があるけれど、そんな先入観からは外れますね(ワタシの嗜好からはちょっと外れるが)。残響たっぷりな録音も悪くないでしょう。いずれも当時の名手・ベールマンのために書かれたとの説ある作品となります。
クラリネット五重奏曲 変ロ長調は、颯爽と弾むような旋律で自在に開始されます。陰影緩急に富んだ旋律だけれど、基本は素朴なドイツ舞曲風に展開されます。第2楽章「アダージョ」のほの暗いシミジミとした味わい、第3楽章「スケルツォ」はユーモラスに躍動して、めまぐるしいソロが大活躍!(相当な技巧必要でしょう)終楽章は、まるで「軽騎兵」のようなノリノリのリズムで、快速に走り抜けます。なんとも楽しげなる25分間也。
「序奏、主題と変奏」は懐かしく、楽しかった昔をゆったり振り返るように開始されました(序奏)。主題は一点の曇りないシンプルで明るいもの。それが微笑みを以て、少しずつ細かい音型に変奏され、リズムが躍動していく愉悦。ヴァイオリンとの絡みもお見事であり、お約束の”暗転”ではたっぷりテンポを落として優雅に歌ってくださいました。名曲。8分少々。
以上がアウワー弦楽四重奏との競演であって、ワタシに室内楽演奏の善し悪しなどわかろうはずもないが、ベルケーシュとの息はぴったりでした。ネット検索を掛けてみたけれど、他の録音は見あたらないみたい。
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次は(これまた)ハンガリーの名手・ヤンドーとの二重奏となります。「グラン・デュオ・コンチェルタント」は題名が少々大仰だけれど、素朴・躍動・愉悦の世界は何ら変わらない22分ほどの作品。ユーモラスであり、時に決然たる表情の対比は魅力たっぷりであります。ヤンドーは抜群の安定感であって、クラリネットとは対等以上の効果を上げていると思います。第2楽章「アンダンテ」は葬送行進曲風、終楽章「ロンド」は優雅で、流麗な旋律がたっぷり堪能可能。
「7つの変奏曲」は「ジルヴァーナ」の意味がわからない。オペラらしい(メヒティフデが歌うアリアの旋律とのこと?)少々硬派で、いかにも歌謡的な旋律がスケール大きく7回変奏されます。ここでもヤンドーの入念なるサポートが印象的。
最後まで多彩で平易な旋律が飽きさせない、魅惑の一枚。推薦です。 (2008年8月29日)
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