Wagner 「ジークフリート牧歌」/Vaughan Williams 「トマス・タリスの主題による幻想曲」/
Scho"nberg 「浄められた夜」(ストコフスキー/シンフォニー・オブ・ジ・エア1960年ライヴ)
Wagner
ジークフリート牧歌
Vaughan Williams
トマス・タリスの主題による幻想曲
Scho"nberg
浄められた夜
レオポルド・ストコフスキー/シンフォニー・オブ・ジ・エア
Bridge 9074 600円 アメリカ合衆国議会図書館 1960年ライヴ
2009年初頭、歴史的録音CDを大量に(所有中の7割方)処分いたしました。旧い録音をすべて否定しているわけでもなくて、聴く頻度が少ない作品は
できるだけ良い音質条件で、そしてほんまに聴くべき価値のある音源を厳選するといった趣旨であります。じつはこのCDも処分対象だったのは、1960年にしては少々音質が厳しい・・・この時期、けっこう優秀なMERCURYやRCA録音が登場しておりましたから。これはモノラル録音なんです。
作品はどれもお気に入り、でもストコフスキーの「浄められた夜」(別録音)には少々失望していたんです。(あちらは、少なくともステレオ収録だし)ところがねぇ、ちゃんと集中して聴いたらエエ感じでした。音質水準だって、聴き進むほどに気にならなくなる・・・「ジークフリート牧歌」は速めのテンポ、”牧歌”的ではなく、颯爽とカッコ良い。旧NBC交響楽団であるこのオーケストラ(1963年解散)は上手いもんですよ。ホルンやフルートの朗々とした歌、ライヴとは思えぬ整ったアンサンブル+ライヴならでは熱気が両立しておりました。
「タリス幻想曲」は、英国穏健の深々とした弦楽のみによる旋律だけれど、ナマで聴くといっそう興味深い(舞台に向かって右上に控えるバンダ(別働隊)。ヴィオラを先頭に弦楽四重奏が絡む、複雑な幻想曲)。これはニュアンス豊かな表情付けが細部迄行き渡って、噎せ返るような浪漫に溢れます。英国紳士の端正なる演奏ではなく、揺れ動いて濃厚な表情、アンサンブルの集中も凄い。
”噎せ返るような浪漫”だったら「浄められた夜」でしょう。ここ最近、ブーレーズとかホリガー辺り、硬派ですっきりとした演奏ばかり聴いていたので、爛熟した後期浪漫の行き着く果てに相応しい、”クサい”演奏なんです。1957年旧(ステレオ)録音では、その”クサさ”は、あまり上質でないアンサンブルで散漫な印象となりした。こちら、オーケストラの威力が違う。入念に細部味付けされた弦は陰影深く、恐るべき効果を上げておりました。
ラスト、聴衆の暖かい拍手でようやくライヴであることに気付きます。そのくらい、アンサンブルには傷がない。 (2009年4月10日)
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