Scho"nberg「浄められた夜」/Bartok「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」/
Debussy「牧神の午後への前奏曲」(ストコフスキー)


Scho Scho"nberg

室内楽のための音詩「浄められた夜」

Bartok

弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽

Debussy

牧神の午後への前奏曲

ストコフスキー/管弦楽団/ジュリアス・ベーカー(fl)

EMI(新星堂) 1957/58年(ニューヨーク)録音 SAN-39 1,000円

 このCDは1992年に発売されたものだけれど、その時に購入したのか、後年中古で購入したのか記憶にございません。終生録音にこだわったストコフスキーだけれど(SP時代はともかく)ステレオ時代の録音は一般に不自然で、あまり好ましいと感じたことはありません。この米CAPITAL録音も、肌理が粗くてそんな感じです。ジュリアス・ベーカーは(当時)ニューヨーク・フィルの主席だけれど、オケがそうなのかは微妙です。もしかしたら、ニューヨークの録音用オケかも。この収録がオリジナルかどうかは知らないが、よくできた選曲でしょう。

 Scho"nberg「浄められた夜」は、濃厚甘美な官能があってエエ作品ですね。Wagnerみたい。「トリスタン」木霊してませんか。元々弦楽六重奏の作品だけれど、突然ヴァイオリン・ソロが浮き出てくるところなど(不自然なる)録音のマジック也。”いかにも”風の詠嘆とアクの強い節回しに充ちているが、誇りっぽい響きに少々集中力を欠きます。雰囲気に走って、アンサンブルが緩いと感じるのは、録音の印象もあるのでしょうか。

 ま、こんなグラマラスでエッチな作品、ストコフスキーに似合っているじゃないですか。たっぷり楽しみましょう。

 Bartok「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」は、恐ろしい作品です。彼の音楽に駄作は存在しなくて、安易な聴き手の心臓を貫くような厳しさを(いつも)感じます。冷酷なるリズムが透徹して、耳当たりのよい旋律に駄さない。きらきらと表層を多彩に飾らない、シンプルな音楽・・・であることを考えると、ストコフスキーは”それらしい雰囲気”漂わせつつ、リズムのノリが(途中)徹底しない。ちょっとユルく、縦の線も合わない。細部の磨き上げが不足して、アンサンブルの集中力を今一段高めていただきたいところ。(前提としてブーレーズ/BBC交響楽団1967年の刷り込み有)

 同時期の録音だろうが、広がりを意識した音作りであって、それは成功しております。音が、旋律があちこちから飛び込んでくる感じ。文句ばかり付けたが、わかりやすさ抜群だし、聴いていて失望するような、そんな意味じゃないんです。馴染みの恐怖映画音楽みたいで、これも誉め言葉のつもり。

 「牧神」はたしか、LP時代には収録されなかったはずで、別録音かも知れません。ジュリアス・ベーカー(fl)は朗々と骨太な味わい濃さがあって、いかにもニューヨーク・フィル、といったサウンドですね。官能や禁欲でもなく、豊かな明るさがあって、しかも録音の加減でフルート(+木管)が前面に出ているのもストコフスキーらしい。全体の雰囲気もゴージャスで抑制とかエレガンスとは縁遠い、明快なものだけれど”陰影”には欠けるでしょう。

 だからダメ、ということではないんです。ストコフスキーを聴きたくて購(あがなう)うCDでしょうから。これで良いんです。

(2007年11月23日)


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written by wabisuke hayashi