●「コンサートへ行こう」へ

「アンサンブル・ヴィオ神戸」第8回 定期演奏会


2008年5月18日(日) 14:30開演〜伊丹アイフォニックホール 無料

パッヘルベル "Pachelbel, Johann (1653-1706)"
カノンとジーグ ニ長調

J.S.バッハ "Bach , Johann Sebastian (1685-1750)"
2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV.1043
ブランデンブルク協奏曲 第6番 変ロ長調 BWV.1051

(休憩後)
R.ヴォーン=ウィリアムズ "Ralph Vaughan Williams (1872-1958)"
トマス・タリスの主題による幻想曲

B.ブリテン "Britten, Benjamin (1913-1976)"
シンプルシンフォニー 作品4

佐伯浩二/アンサンブル・ヴィオ神戸

 ナマ演奏は貴重なる機会だから、ちゃんと大枚払ってプロの演奏を聴くべき、という筋の通った助言をいただいております。それはそうなんだけど・・・お仕事の時間調整とか、出掛けるのがメンドーだったり・・・ワタシは土日のマチネー、しかもご近所が希望です。無精なんだな。更に言えば、いえ、もっとも重要なのは演目なんです。どーしてBeeやんとかTchaikovskyばかりなんだろう?

 女房誘って出掛けた理由は「タリス幻想曲」。この名曲は滅多にナマ演奏されないし、ナマで、実際自分の目で見る価値がある作品なんです。アイフォニックホールは500人収容、残響抜群のエエ小ホールでした。

 著名なる「カノン」は、初心者向けなんですね。こういったシンプルな作品は、逆に演じ手の腕をモロに表出してしまうんです(とくに通奏低音)。まだアンサンブルのエンジンは暖まっていない感じ。「ジーグ」までや演って下さって、但しこの団体は速いテンポ、リズミカルなところでの弱点があるようです。チェンバロは秋山麻子さん。この団体はけっこう編成が大きいんです。全体で40名ほどか。

 Bach に入りました。ソロはコンマスの玉置さんと青木さんかな。玉置さん、非常に安定して美音ですね。バックは意外とシンプルみたいで、ソロの活躍を支えます。アマオケに於ける協奏曲ソロは、時に聴き手を不安にさせるものだけれど緊張感ある名旋律を美しく再現して下さいました。

 ブランデンブルク協奏曲はお気に入りの作品だけれど、ナマ体験はなかなかできんもんです。ましてやヴァイオリンを編成に欠くめずらしいもの。大編成ヴィオラ群(二部)にはコンマス・玉置さんも参加されておりました。二群のチェロ+コントラバスも含めて、いったい楽譜はどうなっているの?この団体は、リズムが必要なところでは少々苦しいんです。ヴィオラのアンサンブルはバラバラでちょっと厳しいですね。でも、ナマ体験に満足。

 休憩後、Vaunghan Williamsの「タリス」となります。舞台に向かって右上に控えるバンダ(別働隊)。ヴィオラを先頭に弦楽四重奏が絡む、複雑な幻想曲であります。これぞナマ体験希有な作品でしょう。天井からの繊細なるエコーはCDでは理解できません。驚くべき繊細なアンサンブルと、厚みのある響き。ヴィオラのピッチが少々怪しいが、弦楽四重奏も盤石であります。

 感動したっ!(前総理風)この作品体験だけで、すべてOK。

 「シンプル・シンフォニー」だって、意外とナマ演目には出ないもんです。第1楽章は、アンサンブルもリズムもガタガタ。第2楽章は全編ピツィカートで親密な響きを作り出し、第3楽章の詠嘆の表情濃厚であり、最終楽章はノリノリのうちに終了しました。エエ演奏会だった。

 アンコールは「ロンドンデリーの歌」。素晴らしく充実したアンサンブルでありました。

written by wabisuke hayashi