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Debussy 交響的素描「海」〜アンセルメ/ヲタク咄


 正確には「ヲタク」でもなくて、もっと、よりいっそうマイナーな怪しげ音源+駅売海賊盤の話題です。名曲・「海」は、子供時代には(日本での通例に従い)独墺系音楽中心の嗜好だったので、作品的に違和感があったんです。やがて人生の幾山川を越え、仏蘭西系音楽への嗜好高まる一方の今日この頃、エルネスト・アンセルメ(1883-1969年)の音源にいろいろ疑問が出て参りました。演奏の質問題じゃなくて、いったいいつの録音なのか?それはワタシのCD収集に問題があるんです。

 アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団(+他団体)による「海」には数種の録音が存在するとされていて

● 1948年(LYSのCDが出ていた)
● 1951年(英DECCA旧録音)
● 1957年(ベルリン・フィルとのライヴ)
● 1957年(英DECCAステレオ録音)
● 1964年(NHK交響楽団ライヴ/画像で出ている)
● 1964年(英DECCAステレオ再録音)

 で、ワタシも”安かったら買う”(最近はCDが貯まりすぎて、安くても買わない、こともある)という性癖のため、ちゃんとしたまともな情報が揃っていることは希なんです。だから徐々に混乱の度は深まるばかり・・・

PIGEON GX270まず●1964年(英DECCAステレオ再録音)から。これは怪しげ海賊盤の裏面を信じて「1964年(10月)」としたが、1957年録音未聴なのでなんとも言えない・・・国内盤では1957年の音源が使われていることも多くて、音源流用(LP板起こし?)時に情報混乱することもあり得ますから。久々に確認してみたけれど、最近モノラル旧録音ばかり聴いていたせいもあって、華やかででカルい響き、怪しいアンサンブル(トランペットなどあまり上手くない)を堪能いたしました。

 これはほんまに「1964年」録音なのか。1990年当初、1,000円で購入(当時は激安!現在あるべき中古相場100円でっせ)して、たっぷり楽しんだCDだから文句ないが。

 HISTORY 204558-308いっそう問題あるのは●1948年/1951年でして、ワタシ所有のHISTORY 204558-308(「20世紀のマエストロ」40枚組に収録される)には「1947年、ジュネーヴ・スイス・ロマンド放送」と明記されます。ネット上で調べたディスコグラフィでは「1948年」だから、いきなり怪しいし、かなり良好な音質であるというのも当時の放送録音で可能なのか?という疑念も(ちょっとだけ)ありました。

  DOCUMENTS/HOM1905 これは購入していないHISTORY(現DOCUMENTS?)レーベルは、同じ音源をあちこち使い回しするから、ダブり所有が出るんです。ワタシは購入しなかったが「Ansermet Maestro Avanzato」10枚組には、Debussy「海」が含まれます。これも(情報によると)「1947年」だから同じものか。

 CENTURIONCLASSICS IECC10006 10枚組 1,990円この10枚組は入手しなかった(きっと店頭売価が3,000円後半だったのでしょう)が、似たような(ほとんど同じ収録)の10枚組は購入しました。(CENTURIONCLASSICS IECC10006 10枚組 1,990円)海賊盤の(更に)海賊盤なのか?それとも衣装を替えて音源流用の責任逃れを一時的にしたものか。編集そうとうエエ加減で、本来つながるべき音楽でトラック分けがあると自動的に「間」が空いちゃうんです。録音情報もちろん、トラック時間表示もない・・・

 おそらくは「海」も同じ音源(1947年?)のはずだけれど、第3楽章が10秒ほど短いんです。音の感じもちょっとだけ違う〜いずれ想像よりずっと良好だけれど。そもそもこの10枚組分音源はもともと「LYS」で単発発売(高かった!店頭でいっぱい売れ残り処分していた記憶有)されていたものの流用のはずで、その「LYS」の情報そのものが正しかったんだろうか?1948年(1947年?)音源って、もともと1951年の英DECCA旧録音と同じだったんでは?(ずいぶんと良好な音質だから、と類推)という疑念もあります。

 つまりはワタシ所有の「アンセルメの『海』」は、どれひとつとして由緒正しい情報を伴っていない・・・という結論です。ま、音楽はそんなことを知らぬでもちゃんと楽しめるんですが。正確な情報をお持ちの方、どなたかご教授下さい。

(2007年5月18日)


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written by wabisuke hayashi