Sibelius 交響曲第2番ニ長調/第7番ハ長調/
交響詩「フィンランディア」(アルヴォ・ヴォルメル/アデレード交響楽団)


ABC 4766167 Sibelius

交響曲第2番ニ長調
交響曲第7番ハ長調
交響詩「フィンランディア」

アルヴォ・ヴォルメル/アデレード交響楽団

ABC 4766167 2007年録音

 南オーストラリアのアデレードは100万人の大都市みたいですね。エストニア1962年生まれのアルヴォ・ヴォルメルは次世代を担う俊英、アデレード響のコンミスは吉本奈津子さんだそう。知名度の低い(これから著名になるべき)演奏家を拝聴していくことは、愛する音楽に緊張感を以て接するのに必須な行為であります。いつまでもカラヤン!じゃマズいでしょう。バルビローリ辺りは大切に拝聴し続けたいけれど。

 音楽スタイルへの嗜好は日々変遷していて、かつて感銘深かったものがツラくなっちゃう〜例えば、Sibelius 交響曲第2番ニ長調〜ジョージ・セル/コンセルトヘボウ管弦楽団(1965年/PHILIPS正規盤入手済)・・・お恥ずかしい話しだけれど、息詰まるような集中力+音質への不満が気になるように(Beethoven の交響曲第5番ハ短調と組み合わされている、というのもいっそうツラい)。バルビローリだったらロイヤル・フィルとの1962年録音(これもCD入手済)に感銘深く、著名なるハレ管との1966年録音にはアンサンブルの緩さが耳に付くようになりました。贅沢病か。

 棚中CD在庫は6年ほど掛けて半分ほどに減らしたが、オークション対応の手間暇が苦痛で中断、時々思い出したように処分再開しております。つまり、嗜好から外れたものを整理していて、生活の断捨離は基本哲学だけれど、新しい情報や切り口も必要ということですよ。ヴォルメル/アデレード響の爽やか素直な響きにすっかり心奪われました。全集へのユーザーレビューも好意的だけれど、”音色もドイツみたいな音はしません”って、Sibelius が独逸しちゃマズいでしょうが。アデレード響のサウンドには(おそらく)Beeやん、Brahms は似合わない。整ったアンサンブルだけれど、強力な爆発、熱気!とは個性方向が違うと言うことですよ。

 清々しい冷涼とした風景を連想させる第1楽章「アレグレット」弦の出足。呼応するホルン、そして管楽器群にも深みがあって”響き薄い”オケではありません。ヴォルメルの指示は入念を極めるが、テンポの揺れ、間の取り方、テンポ設定(やや速めか)にはムリがなく、流れに不自然さは感じられない。粘着質ではない、サラリ颯爽としたサウンド。第2楽章「アンダンテ」は不気味に静謐なるティンパニ〜弦のピツィカートで開始され、暗鬱なるファゴットが呻くような楽想に引き継がれます。やがて昂揚を迎えるが、ヴォルメルはここでやたらと急がない、タメを作らない、力まない。トランペットのファンファーレにも抑制が感じられます。それでも盛り上がり、スケールの大きな歌に不足はないんです。寂寥な部分が際立ちます。

 第3楽章「ヴィヴァーチシモ」。ここには弦の一糸乱れぬ統率力が必須、それこそがジョージ・セル盤の価値だったのでしょう。吉本奈津子さん率いる弦のアンサンブルは驚異的な集中力(スピード)であります。技術がすべてとは思わぬが、南半球地方都市オケの技量向上に驚かされました。木管楽器(これも上手い)の牧歌的な第2主題に呼応する、弦の厚みに不足はない〜濃厚というのではないが。颯爽とした推進力を維持したまま終楽章へ・・・

 ここは朗々勇壮とした旋律が、いくらでも雄弁粘着質な表現(タメ)を呼びそうな場面。ヴォルメルはここでも颯爽とモダーン、重苦しい響き、リズムではない、若々しい流れ、自然な姿勢を崩しませんでした。馴染みの作品は21世紀に、こんなスッキリとして威圧感のない(眉間に皺、とは無縁な)世界に至るのだな、と感心しきり。ほとんどヴェリ・ベスト。

 交響曲第7番ハ長調は難物でっせぇ、つかみどころのない幻想曲というところ。子供の頃から大好きな作品だったんですよ(ロリン・マゼール/ウィーン・フィル1966年/現在の耳で聴けばどうなるのか?不安)この作品こそ荒涼とした厳しい雪氷が眼前に浮かぶような名曲!先の第2番以上にニュアンスの徹底、抑制バランスが重要でしょう。アデレード響は淡彩サウンド、テンポの揺れに粘性を感じさせない(設定はやや速め)。不気味な嵐みたいな部分にも劇性を強調しない、どちらかというと淡々とした流れ、その完成度は見事であります。

 特別に言及しなかったが、適度なホールトーン(Adelaide Town Hall)と残響が生かされた優秀録音。「フィンランディア」は颯爽として、ティンパニの強弱設定が上手い。弦は良く歌うが、演歌みたいな前時代的テイストに非ず。リズム感の良さ、推進力は時代の流れでしょう。

(2011年11月20日)

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written by wabisuke hayashi