Sibelius 交響曲第2番ニ長調
(ピエール・モントゥー/ロンドン交響楽団1958年)


DECCA 475 7798/5,019円 Sibelius

交響曲第2番ニ長調

Elgar

エニグマ変奏曲

ピエール・モントゥー/ロンドン交響楽団

1958年録音 DECCA 475 7798(7枚組)5,019円にて購入

 ピエール・モントゥーはお気に入りでして、既存入手分数枚オークションにて処分しつつ、この贅沢なるボックスセットを購入したのが昨年2007年夏のこと。「春の祭典」と、このSibelius が(とくに)聴きたかった。LP時代の愛聴盤だったんです。明るく、緑萌えるような前向き演奏だった記憶がありました。十数年ぶりの再開か。音質的にザラつきと劣化が(かなり)感じられたが、失望するような水準ではない(と信じたい)。

 これは北欧の清涼ではなく、独墺風ガッチリ構成感でもない、もちろん米国物量派豊満なるスタイルとも異なる、個性的な演奏です。この時期のロンドン交響楽団はまったく充実していて、モントゥーの棒のもとヴィヴィッドなアンサンブルが鳴りきっております。基本”明るい”〜が、例えばバーンスタイン(ニューヨーク時代の旧録音)辺りの”明るさ”とは方向が異なります。もっと軽妙洒脱、メリハリがあってノリノリ、そして粋でセクシー。

 旋律の謡わせ方、ふくらませかたが独特でして、聴き馴染んだ旋律があちこち驚くほどふくよかに変貌するんです。ニュアンスの配慮は神経質な作り物ではなくて、もっと即興的な感触でざっくりと、朗々と響き渡りました。暗鬱な雰囲気皆無だから、これは好みの世界だろうな。”幸福(しあわせ)のSibelius ”とでも呼びたいくらい、まさに「緑萌える」実り豊かな演奏です。ワタシは大好き。

 終楽章はテンションと体温を上げつつ、テンポアップ〜こんな演奏には出会ったことはない。鳴りきった金管の絶叫は南欧の太陽か(見たことないけど)。

 「エニグマ」は、その後ワタシのお気に入りとなって(記憶ある限り)棚中10種以上を数える在庫となりました。(たまたま、偶然です。以前所有していたCDは処分済)←以前のコメントは赤面の至りだけれど、曰んとしていることは理解できる・・・この曲は強靱に、立派に演奏しちゃお仕舞いなんでしょう。(ショルティ/シカゴ交響楽団1974年録音には違和感に耐えきれず処分済)

 これは上記Sibelius とまったく同様の世界であります。含羞と抑制、紳士然たる黄昏演奏ではない、もっと節回しがチャーミングに歌うんです。メリハリ抜群で、元気良く、表情豊かに楽しい演奏。以前のワタシは、それが少々気恥ずかしかった(・・・現在でも少々)。まるで春の薫風が漂うような、ぽかぽかと暖かい世界が広がります。「ニムロッド」の詠嘆は決まりすぎ!まるで熟練の演歌節回しの至芸です。続く「ドラベルラ」の楚々とした抑制の粋なこと。そして金管の断固とした爆発、低弦の豊かな歌・・・嗚呼、賞賛にキリがない。

 こんな華やかなる「エニグマ」はマズいかな?けっこう雄弁でもあります。ラスト、少々喧しいくらい。

 CD一枚の組み合わせとしては悪くないと思います。

(2008年3月7日)


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written by wabisuke hayashi