Shostakovich ピアノ協奏曲第1番(ユージン・リスト)
交響曲第1番ヘ短調(ミッチェル/ワシントン・ナショナル交響楽団)


MCA	MCAD2-9823A Shostakovich

ピアノ協奏曲第1番ハ長調 作品35

ユージン・リスト(p)/ゲオルグ・ルートヴィヒ・ヨッフム/ベルリン歌劇場管弦楽団/ヴェゼニック(tp)

1960年ステレオ録音(ウィーン録音)

交響曲第 1番ヘ短調 作品10
バレエ組曲「黄金時代」作品22

ハワード・ミッチェル/ワシントン・ナショナル交響楽団
1950年代の録音(モノラル録音)

MCA MCAD2-9823A 2枚組2,000円

 このCDを購入したのは1990年頃であって、遙か昔のような気もいたします。数件”CD劣化・アウト”事件を経験したが、@1,000という価格は当時は出色に安かったし、こうして長持ちして下されば良い買い物であった、ということでしょう。相変わらず自分にとって、Shostakovichは得意な作曲家へと変貌しきってはいないが、それでも徐々に聴く機会は増えているようです。ヤブロンスキー盤にはずいぶんと感心した記憶があるし、キーシン盤だったらそれはもう、息を飲むような鮮烈なる世界。

 3年程前の再コメントは相変わらず素っ気ないものだけれど、久々の再聴は大きな成果でありました。まず、ピアノ協奏曲の録音が意外とよろしいこと。ヨッフム弟のバックは少々薄味(Berlin OPERA ORCHESTRAって?)だけれど、ユージン・リスト(1918-1985)は技巧派の名に恥じないリリカルな推進力を誇って,存分に華々しい。”少々野暮に”という(数年前の)感想の所以はリズムの洗練と、ノリ問題であります。

 つまり、ヤブロンスキー、キーシン等とは世代も時代も違っていて、現代では”よく演奏されまっせ”的気軽なレパートリーに至っていて、1960年当時には(おそらく)作曲者の自演しか、録音は存在しなかったのではないかな?ヨッフム弟だって独墺系がレパートリーの中心だったろうし、モダーンで乾いた情感を徹底できていない(もたつきぎみの前半)・・・が、終楽章に向けての熱気とトランペットの技量、熱気はいや増すばかり。(第2番は同時期に、ヴィクトール・デザルツェンス/ウィーン国立歌劇場管弦楽団の録音有)

 交響曲+「黄金時代」はハワード・ミッチェルの珍しい録音となります。↓以前のコメントはなにがなんやら・・・的エエ加減ほにゃらら風だけれど、ようはするに録音いまいち(モノラルとしてはまあまあか)、それなりにまとまっていて、若書きの才気を感じさせるが、オモろない演奏ちゅうことですな。散々(別演奏も含め)聴き慣れた耳には、”もっと楽しい作品でしょうが”と思えるし、ワシントン・ナショナル交響楽団のアンサンブルは、それなりちゃんとしたものだけれど、少々味が足りません。

 ピアノの活躍が楽しくて、小味で、才気走った作品ですよね。それは「黄金時代」も同様でして、こちらいかにも変幻自在なるリズムのコントロールが甘い。つまり、あまり上手いオケではないのか。ハワード・ハンソンって器用な人じゃなかったのか。サーカスのジンタに爆発が足りず、アダージョには、いまひとつ遣る瀬ない甘ったるさが不足ぎみ・・・

 やはり”出会い”というのは大切でして、それなりの音質も含め、「!」という演奏で出会うべきなのでしょうね。「云々と比べ」というのは禁じ手なのかも知れないが、テオドール・クチャル/ウクライナ国立交響楽団(2001年)による「黄金時代」の”洗練”(!?)に少々驚いたものです。けっして器用な団体じゃないと思うが、なにより音質が良好なのと、馴染みというか、(良い意味での)慣れと消化を感じさせました。

 先の協奏曲も含め、未だShostakovichが前衛であった時代の記録か。あまり万人にお勧めできません。

(2007年2月16日)


 (ピアノ協奏曲第1番のみ再聴)何々と比べて〜というのは禁じ手なんだけど、ヤブロンスキー盤を聴いてしまうと、正直ユージン・リストは少々野暮に思えました。この人はたいへんなテクニシャンだけれど、リズムが重くて軽快なノリに欠けます。これは世代問題ですか?おそらく浪漫派辺りの作品と同じ感覚で弾いていて、Shostakovich演奏に求めたい、複雑な心象風景表現にやや遠い感じ。第2楽章はもっと美しいはず。バックだってきっとこの作品には慣れていないでしょ?(正直、さほどのアンサンブルでもない。以前のワタシの評価は甘いでっせ↓)

 ワタシはこの演奏でこの作品と出会ったから、「こんなもんかな?」と思っておりました。やっぱりこれは珍しい録音なのであって、日常座右に置くべき演奏じゃないのかもね。第3楽章〜終楽章も味付けすぎかな?ラスト快速疾走に至ってようやく溜飲を下げました。(2004年4月14日)


 

 昔から有名な「ロジンスキーの革命」と合わせて、2枚組で出ていたもの。1990年代の前半に2枚で2,000円で買ったはず。(ロジンスキーは再発されたけど、「黄金時代」は日の目を見ず)「マーラーの次はショスタコだ!」と云われつつ、バブル崩壊もあってブームにならなかったShostakovichを、今年(1999年)はちょっと聴いてみようかなぁ、と思って取り出したCD。

 Shostakovichの曲はどれも今一つ人気が出ないけれど、このピアノ協奏曲もそのうちのひとつ。LP時代はプレヴィン(p)/バーンスタインの演奏で楽しんでいました。現在はNAXOSのヒューストン盤が手に入りやすいかな?(元気のない演奏ですけど)トランペットが活躍する、リリカルで無感情な旋律が味わい深い名曲・難曲と思います。

 この演奏は、テクニシャンとして有名だったリスト(名前もいかにもそれらしい。VOXにもたくさん録音がある)と、ステレオ録音は貴重なG.L.ヨッフム(弟のほう)の競演。定位は不自然ながら、意外と鮮明な録音。

 リストのピアノは音色が輝いていて、勢いのあるテクニックが唸るような迫力。コクもあります。リリカルで気紛れな旋律を、流れよく堪能させてくれます。この曲は、一見無感情な旋律を、ほんとうに無感情で弾いてしまうと、詰まらなくなるんですよ。かといって、感情移入しすぎもダメ。「自ずから湧き出る味わい」が必要な難曲なんです。

 「ベルリン・オペラ・オーケストラ」というのが、怪しそうで最高。ウィーン録音というのも不思議。ドイツ・オペラ?コミシェ・オーパー?シュターツカペレ?とにかく、そんなにへんな演奏じゃありません。トランペットも上手ですよ。(2番はロジンスキーの「革命」とセット。また、別の機会に)

 交響曲と「黄金時代」は、1988年になくなったUSAの指揮者ミッチェルの指揮で、日本では全く知られていません。NSOではドラティの前任で1949年〜69年まで20年間も音楽監督を務めていました。

 交響曲第1番は、「モーツァルトの再来」と評されたショスタコ若き日の傑作。一種独特の感情の起伏のない旋律に、ユーモアさえ感じさせます。「黄金時代」も、サーカスの安っぽいジンタを連想させるような楽しい曲。

 ミッチェルは、アンサンブルもまあまあで録音当時としては意欲的な選曲をこなしていますが、オケがイマイチ上手くなく、緊張感も少々ゆるみがち。モッサリとした演奏です。音的には、ピアノがつぶれたりしますが、モノながら聴きやすい。
 ロストロやスラットキン時代のNSOとは、ひと味違った当時のオケの状態(いまでもあまり上手くないか)を確認するのも一興。

 選曲としては意欲的でなかなか楽しい一枚と思います。


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written by wabisuke hayashi