Schumann 交響曲第4番ニ短調(ニューヨーク・フィル)
/Brahms ヴァイオリン協奏曲ニ長調(フリッツ・クライスラー(v))
バルビローリ指揮
Schumann
交響曲第4番ニ短調
ニューヨーク・フィルハーモニック(1937年)
Brahms
ヴァイオリン協奏曲ニ長調
フリッツ・クライスラー(v)/ロンドン・フィルハーモニー(1936年)
ジョン・バルビローリ指揮
XXCM(HISTORY) 205638-303 10枚組2,286円で購入したウチの一枚
「BARBIROLLI MAESTRO GENTILE」10枚組ボックスより。(別番号で現役)既にニューヨーク・フィル時代(1936〜1943年)の録音を一枚コメントしておりました。やや珍妙なる組み合わせの一枚であり、後者は著名な存在だけれど、前者は珍しいレパートリーかも。あちこちネットで探してみたけれど、この演奏への言及は少ないようです。ま、音質あまり芳しくないと感じたが、あくまでこのCD復刻での印象ですから。ここ最近、”音質”が気になって時々柄にもない言及することがあるけれど、歴史的録音は割り切っているせいか、あまり気になりません。勝手だけれど。
個人の嗜好として得意とは言いかねるSchumannの交響曲、なんとラストに拍手が入っているからライヴなんですね。やや頼りなくヒスっぽい音質から、明るい骨太なサウンドを聴き取ることは可能です。(この作品に限らないが)Schumannは難曲でして、全4楽章30分一気呵成に聴かせて全体の構成をまとめていただきたいもの。かなり熱のこもった演奏であり、馴染みの切迫感のないズルズル横流れとは少々印象は異なります。腰が定まらないというか、カルい感じがあって、前のめりの落ちつかなさがありました。
楽章切れ目なく、”一気呵成”に演奏するのが通常のスタイルだろうが、第2楽章「ロマンツェ」前にやや間が空くのはCD編集上の問題でしょうか。少なくとも第1楽章との対比はかなり明確で、しっとり静かな世界に誘います。終楽章に向けテンポ・アップし、熱狂のテンションを上げていくが、少々空回り印象か。バルビローリ30歳代の若さが出たのか。
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Brahms のほうは評価が定まった録音となります。レオ・ブレッヒとの旧録音のほうが評価高いらしい。かなり以前にFMエア・チェックからのコメントが残っておりました。この作品、ナマで聴いたことがあるけれど、いかにもソロに相当の負担を掛ける難曲みたいです。(Beethoven のシンプルさとは、やはり時代が違う)正確な復刻音質云々は、なんせこの価格でしょ、もとより期待しておりません。ヒスっぽさはないが、少々頼りない感じ。FMエア・チェックのほうが聴きやすかった記憶有。
クライスラー61歳、技巧の衰え云々するような年齢じゃないと思うが、これは個人差がありますね。細部弾き崩したり、悲惨なる衰えみたいなものは感じさせないが、バリバリ切れ味系ではなく、味わい深い”甘美”がウリだと思います。ゆらゆらと揺れるヴィヴラートの美しさ、これは後の世代には期待できないものでしょう。ちょっと音程甘く、ポルタメントも出現します。強靱ではなく、粋な鼻歌のような・・・音質云々はいつしか忘れます。
バルビローリのバックには特筆すべき個性は伺えないでしょう。SP時代の録音では”伴奏専門”的イメージがあったそう。ソロを引き立てることに徹しているのかも知れません。第2楽章「アダージョ」に彼らしい歌心の片鱗を伺うことは可能です。
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蛇足です。同じ「TIM The international」のセットに「Masters of the Strings」(205692/10枚組)があり、そこにも同一音源(クライスラー)が含まれます。(衣替えして再発なったはずだけれど、ネットで探せません)これが音質がかなり異なって、もっと芯がちゃんとあるというか、低音と奥行きが強化されております。針音もしっかり残っている。印象としては表情いっそう豊かになった感じ。
(2008年3月21日)
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