Immortal Artist FRITZ Kreisler


Immortal Artist  FRITZ  Kreisler Beethoven ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61〜第1楽章(1926年録音)
Brahms ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品77〜第3楽章(1927年録音)
Mendelssohn  ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64〜第1楽章(1926年録音)

クライスラー(v)/ブレッヒ/ベルリン国立歌劇場管弦楽団

Kreisler
「愛の悲しみ」「愛の喜び」ラムソン(p)1926年
「ウィーン奇想曲」ルップ(p)1936年
「才たけた貴婦人」「ルイ13世の歌とパヴァーヌ」「シューマンのロマンス イ長調」「グラズノフ スペインのセレナード」「ロドンデリー・エア」ラウハイゼン(p)1927年
「メンデルゾーン 五月のそよ風」サンドル(p)1926年

以上 クライスラー(v)

FIC ANC-1004C  500円で購入

 1936年録音のBeethoven /Brahms ヴァイオリン協奏曲(エアチェック・テープ)を聴いて、聴き比べで取り出したCD。この10年ほど旧い録音の方が世評高いもの。
 一部楽章のみの抜粋とは云え、500円でこういうCDが買えてしまうと、わざわざエア・チェックの労(FM番組の探索-タイマーのセット-カセットのセット・・・・・ラベルの印刷etc・・・・)は取りたくなくなるのはムリ無し〜贅沢に堕したワタシでした。

 海賊盤なんでしょうが、この時代となるとまったく「著作隣接権」フリーで、ま、合法的。いかに良心的にCD化されるかがポイントになるでしょう。
 Beethoven はいかにもSP復刻、という感じのノイズも入り、逆にその分ヴァイオリンの音はけっこう生々しい。これなら充分鑑賞に耐える立派な音。

 甘く、良く歌うヴァイオリンに変わりはないが、バルビローリ盤とはテンションの高さが違いますね。技術的にはやはりこちらのほうがしっかりしていて、懐古的に楽しむのではなくて、ちゃんとした現代の演奏に比肩する個性です。

 Brahms 、Mendelssohnは、SPノイズを取り除こうとしたらしく、その分ヴァイオリンの音色も少々曇りがち。低音も弱い。そのせいかBeethovenほどバルビローリ盤との違いは感じません。(どちらも同じくらい良い)
 Mendelssohnは初耳の演奏で、いかにも甘い旋律が、甘いヴァイオリンの音色で歌われる最高の組み合わせ。ポルタメントはこのような曲に相応しい。

 小品集は、「悲」「喜」の音の状態がよく、(ルップとの協演より)ヴァイオリンが溌剌として若々しい印象有。1927年のラウハイゼンとの録音は、信じられないほどヴァイオリンの音色が美しく録られていて、ワタシが聴いた範囲の中ではクライスラーの真価がもっとも分かりやすい。

 全曲75分。できれば2枚分で全曲収録を望みたかったところ。でも、500円ですから。

 結論。

 新旧録音とも、味わい深く、安らかな歌を楽しめます。
 おそらく、私のテープはちゃんとしたCDに比べると音質が落ちるのでしょう。1920年代のCD復刻と比べて、あまり変わらない水準でしたから。
 技術的に苦しくなると、ソリストの個性がいっそうナマのかたちで表出しますね。そういった意味では、バルビローリ盤のほうがうんと個性的なのはたしか。ブレッヒ盤のほうが、演奏芸術としては水準は高いのも事実でしょう。


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written by wabisuke hayashi