Beethoven /Brahms ヴァイオリン協奏曲
(クライスラー1936年)

甘美な歌に陶酔します。

Beethoven
ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61

Brahms
ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品77

+「ウィーン奇想曲」「愛の悲しみ」「愛の喜び」

クライスラー(v) /バルビローリ/ロンドン・フィルハーモニー/ルップ(p)
1936年録音

 カセットの音質は少々落ちますが(とくに私は安いテープを愛用していた)、歴史的録音は最初っから音質は覚悟の上、沢山FMから録音していました。

 この2曲は、ヴァイオリン協奏曲中の黄金お宝名曲。CDを買うときは、ほんとうに厳選して、悩んでハイフェッツ(ナント2,000円)にしたくらい。FMのエア・チェックは無料ですからね、こうして貴重な歴史的録音も聴くことができて嬉しい限り。

 この録音は、ブレッヒ盤に比べると「クライスラーの技術が落ちる」とやや評判の悪い演奏。そうですか?わたしゃ、はなっからクライスラーに「技術」なんぞ求めていませんし、バルビローリの伴奏というのも楽しみ。

 まずBeethoven 。
 最近の若手に比べれば、あきらかにテクニックは劣ります。不安定な音程。でも適度なポルタメントも最高で、この演奏にはウットリとした歌があります。

 「精神性」なんて云うとヤバいけど、とにかく聴き続けて飽きがこないのはたしか。穏健で、甘美で、テンポはやや遅めなのかな、44分(快速ハイフェッツは37分)しみじみと楽しめます。第3楽章カデンツァなんかはかなりヨレヨレですが、味わいがあるなぁ。ヴァイオリンの音色が美しい。
 こういう懐古的な聴き方はまずいでしょうか。

 Brahms は、いっそう激しさが求められる曲だけに、クライスラーの陶酔の世界が際だちますね。やはり音程が少々ヨロヨロと・・・・・・でも、絶妙の抜いた節回しがたまらない。そして思わぬところのポルタメントの劇的な効果。
 「切れ味」とは別世界ですね。第1楽章カデンツァはかなり苦しい演奏ですが、その後に主旋律が静かに戻ってくるところの対比の美しいこと。

 アダージョのコブシは、名人芸。古臭くって、大時代的で、もう最高!もうこんな演奏は最近出ませんもんね。
 フィナーレのどっしりとしたリズム感も決まっていて、朗々とうたうヴァイオリンのスケールの大きいこと。

 当時、バルビローリは「伴奏指揮者」のような印象だったそうですね。(ルービンシュタインのショパンでもバックを務めていたはず)私は後年となんら変わらない、しっとりとした立派なバックだと思いますね。ブラームスの第2楽章冒頭の美しさは、さすが。

 1970年代学生時代にに買ったC90のノーマル・テープ、しかも20回以上は重ね録音しているので、音がどうのと云えた立場ではありません。
 そんなに悪い音じゃありません。ちゃんとした復刻盤ではもっと聴きやすいのでしょうが、これでも満足です。ドライブのおともにピッタリ。

 クライスラーの小品集が余白に録音してあって、なんど聴いても、いつ聴いても大好き。とくに「愛の悲しみ」は、私が今まで聴いた中でもっとも感動的な旋律のひとつでしょう。


じゃ、ブレッヒ盤でのクライスラーはいかがなもんでしょうか?


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written by wabisuke hayashi