Rimsky-Korsakov 交響組曲「シェエラザード」(コンドラシン)


Rimsky-Korsakov

交響組曲「シェエラザード」作品35

コンドラシン/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団/クレバース(v)
PHILIPS MP-126 1979年録音  中古で350円


 1999年頃かな、とにかくサイトのコンテンツ蓄積に精を出していて、主張が曖昧な文書も多かったはず。数年掛かって、修正したり削除したりしたが、この「シェエラザード」は(恥ずかしいことに)そのままになっておりました。ほんま、この曲、演奏に対して愛情の欠片も感じられない。(シルヴェストリ盤に対するコメントも一緒)

 じつはこの曲、ワタシにとって苦手方面かも知れません。昔から知っている曲のハズなのに、LP時代の記憶がほとんどない。モントゥーはあったかなぁ・・・・・閑話休題、最近、岡山交響楽団演奏会で「スペイン狂詩曲」を聴きまして、Rimsky-Korsakov の、手の込んだ管弦楽技法の素晴らしさにやや目覚めました。

 この曲になにを求めるかによって、聴き方も変わるでしょう。1999年の「名曲名盤300NEW」によると、ロストロポーヴィチの第1位、ヤンソンスの第7位を別とすれば、非ロシア系の演奏が評価されております。1995年の「リーダーズ・チョイス」だと、デユトワが第1位で、これにストコフスキー/LSO盤が肉薄する。アンセルメ、マゼールも強いし、このコンドラシン盤も続きます。

 人の評価などどうでもよろしいが、録音がしっかりとしていて、オケが洗練された美しい演奏指向、といったところでしょうか。・・・・じつは、以下の文書執筆時は、シルヴェストリ盤、マタチッチ盤などという、少々お下品で、濃厚系演奏ばかり聴いていた影響があったと思います。

 一時、ゴロワーノフなんかも騒がれたでしょ。かなり違うが、ロストロポーヴィチもかなりアクの強い演奏かも知れません。今になってこのコンドラシン盤を聴くと、センスとして洗練されているし、迫力や骨太さでも不足はない。 彼のロシア時代の録音を聴いてみると、ものによっては録音状況やオケの個性がかなり「ロシア・ロシア」しているものもありました。しかし、ここでは抜群のバランス感覚と、オケの抜群の上手さに感心するばかり。

 「よ〜く聴くと、アンサンブルの乱れなんかも散見されなくはない」なんて、大ウソでなにを勘違いしていたのか?名手クレバースのソロ・ヴァイオリンの線は細いが、繊細です。録音も理想的なPHILIPS録音のパターンで、中低音に重心があって、高音が上品。オケの厚み存分で、細部はオケに任せ、大きな流れはコンドラシンが、といった分担でしょうか。

 リキまず、自然体だけれど、この深呼吸するようなスケール感は筆舌に尽くしがたい。オケの暖かく、ふくよかな響きと見事に反応して、ワタシにはひとつの理想に思えました。終楽章に至っては、圧倒的感銘有。(2002年5月17日)以下は、1999年頃の文書かな?


 なんかの全集ものの一枚と思います。日本製の正規盤ですが、解説等なにも付いていません。コンセルトヘボウはともかく、若い人にはコンドラシンなんて縁遠くなっているのかも知れません。350円でっせ。それでも喜んで買うのはワタシくらい。

 コンドラシンは、ロシア時代はモスクワ・フィルを拠点として、世界初のショスタコヴィッチ交響曲全集録音や、マーラーなどもはやくから意欲的に取り上げて、異色の存在でした。(たしか第7番の日本初演はこの人だったはず?記憶違いかな?)1959年には、クライバーンの凱旋公演にアメリカまで同行したのは有名な話し。いくつか録音も残っています。

 でも、1979年に西側に亡命して、録音が増えてきて、バイエルン放響へ就任直前の1981年、あっけなく亡くなってしまいました。ちょうどデジタル録音が本格的に始まる直前じゃないですか。亡くなる直前に、けっこうたくさんCD(主にライヴ)が出ていたのに、いまじゃすっかり影が薄く・・・・。運がないんだなぁ。あと5年頑張ってくれればもっと評価も違ったと思うんですけどね。

 で、肝心の演奏ですが、これが意外とおとなしいというか、普通というか。コンドラシンはロシア系の指揮者の中では、わりと洗練された感性の持ち主とは思っていましたが、ショスタコヴィッチとか、アメリカで録音したロシア音楽の印象が強くて、骨太で力強いイメージがありました。

 「シェエラザード」も、シルヴェストリとかマタチッチとか、アクの強い演奏ばかり馴染んでいたせいもあって、えげつなくもクドい演奏じゃないと満足できないカラダに・・・・・・・・(デュトワなんて、きれいすぎて・・・・)。

 録音のせいもあるのかな?悪い録音じゃないと思うけれど、音量のレベルが低くって、それだけでも静かな印象になる。コンドラシンに期待される豪快さが感じられず、ひじょうにていねいで、細部まで配慮が行き届いた、冷静な演奏ぶりが意外といえば意外。名手クレバースのヴァイオリンは、美しいが線が細く、神経質すぎ。とにかく「?」状態で、面白みが足りない、かな?と。

 でも、数回聴くウチになんか見えてきましたね。これは、たしかライヴ録音のはずで(拍手は入っていない)、よ〜く聴くと、アンサンブルの乱れなんかも散見されなくはない、が、一つひとつの旋律がけっこう熱くて、リキが入っているんですね。→メールでYanagisawa様に指摘されました。これはライヴではない、スタジオ録音であると。手持ちのカタログを調べてみると、たしかに(L)とはなっていない。ちゃんと調べずにHPに掲載してすみません。訂正します。

 オーバーな節回し、極端なテンポの揺れや、強弱はそれほどないし、オケの音色が洗練されているから一見おとなしそうに思える。もしかして、これは熱演なんじゃないか。

 聴いた後の満足感が出色。曲が曲だけに、やや飽きやすい旋律かも知れませんが、この演奏なら意外と聴き飽きしない。また、聴きたくなる演奏。聴けば聴ほくとコンドラシンの集中力が見えてくる。ジワジワとエンジンが暖まってくる。

 ようはするに、コンドラシンの入魂はこの録音ではほとんど捉えられていないのでは?集中力と、推理力をフル動員すると、演奏のアラも見えてくるが、味わいもぐっと深まる・・・・・・という、今回は禅問答のような感じの文章でした。悪しからず!


 英グラモフォン誌では、この録音が「シェエラザード」No.1の評価なんですね。日本では、もう売ってもいないのに、なんという違い。


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written by wabisuke hayashi