ロシア管弦楽曲集(コンドラシン/RCAヴィクター交響楽団)


ロシア管弦楽曲集(コンドラシン/RCAヴィクター交響楽団) Tchaikovsky

イタリア奇想曲 作品45

Rimsky-Korsakov

スペイン奇想曲 作品34

Kabalevsky

組曲「道化師」作品26

Khachaturian

組曲「仮面舞踏会」

コンドラシン/RCAヴィクター交響楽団/シュムスキー(v)

RCA(新星堂) ARC8 1958年録音  1,000円

 2004年再聴。このCDは現役です。「音の状態は、やや繊細さに欠けるもののしっかりとした優秀録音」(かなり以前のワタシの感想)〜いえいえ、ここまでの鮮明なる生々しい録音は滅多に出会いません。例えば「スペイン奇想曲」のカスタネット、トライアングルの位置関係の明確さ聴いてちょうだい。全体として「大爆発連続」の演奏だけれど、響きが濁ったりしないんです。

 「イタリア奇想曲」って、ドラティ/ロンドン交響楽団(1955年録音!)の目が覚めるのような演奏を聴いても思うけど、演奏・録音とも「進歩」ってなんなんの?という疑念ムクムク状態へ。いやぁ、なんたる鮮度。圧倒的ド迫力。オケが骨太、明るくコクのある響き(これは木管に強く感じる)、そして集中したアンサンブルは非常に優秀です。絶好調時のニューヨーク・フィルによく似ている。金管の咆哮はもちろんだけれど、弦の繊細な味わいにも欠けておりません。

 選曲が凝ってますよね。アメリカ合衆国では「ロシアもの」は人気だそうで、「ソヴィエット(当時)の実力派・コンドラシンはんなら、こんな曲演ったら受けまっせぇ」的素晴らしき狙いピタリ・ど真ん中。「イタリア奇想曲」「スペイン奇想曲」も「ロシアもの」定番有名曲だし、押し出し立派だけれど、オケの個性でしょうか、毒々しいほどの金属的エグい「ロシア系爆演」ではありません。センスとしては「チカラ一杯の西欧系」〜ちょっとリミッター外してみました、方面演奏だと思います。バランス感覚に支えられた爆発か。

 で、幼稚園・保育所・小学校低学年運動会定番の「道化師」でしょ?バカにしちゃいけないよ、的多彩な、楽しい作品です。だいたいほかに録音が存在するのだろうか?ネット検索してもコンドラシン盤しか出てこないけど。「仮面舞踏会」のワルツっていいですよね。帝政ロシアって、西欧フランス文化の影響モロだったらしいけど、こりゃ「哀愁のジンタ」でっせ。日本人にはこちらのほうが体質に合うかも。で、ラスト「ギャロップ」のニギニギしい大騒ぎ(途中けっ躓いて変拍子リズムになっちゃう)〜しっとり黄昏るかな・・・なんて油断させつつ、やっぱり前進全速で終了。

 演る側も、聴く側も、けっこう体力勝負的作品であり、演奏です。(2004年5月14日)

   


 ワタシにとって、LP時代からの廉価盤でお馴染みの録音なのですが、4曲揃ってCD化されているのは珍しいようですね。(1999年始めにオリジナルCD化)おそらく、クライバーンがチャイコフスキー・コンクールで優勝し、凱旋公演に同行したコンドラシンがニューヨークで録音したものでしょう。

 オケは録音用の優秀なオケだそうで、シュムスキーがコンマスを務めているもの。「スペイン奇想曲」のヴァイオリン・ソロを勤めています。(立派!)音の状態は、やや繊細さに欠けるもののしっかりとした優秀録音。

 カバレフスキーとハチャトゥリアンが珍しい曲でしょう。「道化師」は保育所や小学校の運動会でよく使われる楽しい曲。ハチャトゥリアンの曲は親しみやすく、濃厚でもの悲しく、美しい名曲です。お楽しみ小品集なのですが、けっこう演奏も難しそうで、こういう曲はオケは上手くないと楽しくありません。

 オケはものすごく上手く、骨太で、明るい音色。 コンドラシンはロシア風の泥臭さとはちょっと違うけれど、スケールも大きく、オケを目一杯鳴らして爽快。全体としてにぎにぎしい曲ばかりで、濃い墨で一気に太字で仕上げたような演奏。ぴったりハマるとはこんなことを指すのでしょうか。

 「イタリア」「スペイン」なんかは、これだけ迫力と勢いのある演奏は滅多にないはず。冒頭のトランペットの音のつぶれ方〜音質が劣化しているんじゃなくて、往年の名演歌歌手がサビでドスをきかせる感じ〜から、もうなまなましくてたまりません。節回しが、固有のコブシが決まっていて、もの悲しさが半端じゃない。もう、こんな熱い、コクのある演奏は最近聴けなくなりました。

 怒濤のニギニギしさに圧倒されます。ここまでくると、時代の違いというか、失われてしまった情熱というか、たいへんなものが残されていた、とか、感慨深い。

 経過や背景が良く理解できませんが、60年代には「録音用オケ」が活躍していて、このオケのほかにも「RCA交響楽団」「RCAイタリア交響楽団」、CBSの「コロムビア交響楽団」(ロスとニューヨークにあったとか)、最近でも録音が出ている「ナショナル・フィル」、LP時代にときどき見かけた「セント・ソリ管弦楽団」なんてのもありました。

 もしかしたら、じつは聴いたことのある団体が「録音用であった」ということがあるかもしれません。(フィルハーモニア・スラヴォニカ?)「ストコフスキー指揮の彼の管弦楽団」なんてのもその系統でしょうか。マイナー好きなワタシとしては、なんとなくネーミング的にいかがわしい雰囲気がして興味があります。

(2000年7月15日更新)


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written by wabisuke hayashi