Vaughan Williams「トーマス・タリスの主題による幻想曲」
「グリーンスリーヴスによる幻想曲」/Elgar 「エニグマ」変奏曲(ジョン・バルビローリ)


SERAPHIM TOCE-8921 1962年録音 Vaughan Williams

トーマス・タリスの主題による幻想曲
グリーンスリーヴスによる幻想曲

シンフォニア・オブ・ロンドン

Elgar

「エニグマ」変奏曲
「威風堂々」第1番

ジョン・バルビローリ/フィルハーモニア管弦楽団

SERAPHIM TOCE-8921 1962年録音 (中古)315円

 2006年11月13日、東京にて待望の入手を果たしたもの。少々の出費を厭わなければどこでも買えそうなものだけれど、この価格はワタシを待っていて下さった、と確信を得るのに充分な説得力がありました。「タリス」「グリーンスリーヴス」はLP時代の愛聴盤であり、オケはロンドンの録音専用団体らしい。録音があまり鮮明ではないことは、LP時代から気付いておりました。それがどうしたっ!

 「グリーンスリーヴス」との出会いは小学生の時、アーサー・フィードラー/ボストン・ポップス管弦楽団(17cmLP)の演奏でした。おそらくは、ワタシの英国音楽嗜好を方向付けた衝撃だったのでしょう。「タリス」のほうはその魅力をそのまま拡大延長して、タップリ楽しませて下さる音楽なんです。いったい棚中に何種の録音が存在するのか・・・数えたことさえないお気に入り。

 編成が凄くて、大規模弦楽合奏+9名の小アンサンブル+弦楽四重奏という凝りに凝った、複雑なもの。響きは淡彩であり、激しいリズムも存在しないが、噎せ返るような浪漫に充ちて、”Mahler !?”を連想させるのは、バルビローリの纏綿甘美な”泣き”の表現故でしょうか。たっぷり横流れの粘着質+ゆるゆるな歌は、まさに”バルビローリ節”と呼ぶに相応しい。万葉集に於ける長歌ですな。それを要約してちょっと色付け(フルートとハープ)し、シンプルに仕上げた短歌が「グリーンスリーヴス」と勝手に理解しております。

 シンフォニア・オブ・ロンドン起用の理由はわかりません。ふだんお付き合いしている、ロンドンのオケのメンバーがけっこう参加しているのかも。特別な固有の個性ではなく、バルビローリ一色に染まっております。どんな演奏でも(よほど酷くない限り)文句なく感動できる音楽だけれど、これは別格なる”クサい”存在〜文句あるか。(ない)蛇足だけれど、バルビローリには「グリーンスリーヴス」(1948年)/「タリス」(1946年)いずれもハレ管弦楽団による旧録音が存在します。(DUTTON CDSJB 1022)

 「エニグマ」のCDも最近貯まってまいりました。その十数種では納まらない。個性が違っていて各々愉しめるものです。バルビローリはいつものように、切迫感のないズルズルと引きずった表現であり、とことん甘く、切なく、たっぷりと(クサい)歌は誰にもマネできぬ個性でしょう。それが作品に似合うか、聴衆の好みにフィットするか、一発博打の世界。ほとんど陶酔の世界であって、ワタシは切なくも酔いしれました。ボウルトだって大好きだけれど、バルビローリ円熟の表現である「ニムロッド」こそ英国黄昏の茜色の夕空表現なんです。

 音質は前2曲より少々改善されております・・・が、先日、ダイニングのエエ加減コンポでぼんやり聴いていたら、あまり推奨できぬ音質であったことに気付きました。

 ラスト「威風堂々」は収録なくても良いくらいだけれど、「英国音楽の一夜」コンサートのアンコール!ブラーヴォ!な賑々しさであります。ワタシにとって「無人島の一枚」也。

(2008年3月14日)


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written by wabisuke hayashi