Russian Orchestral Fireworks
(アーサー・フィードラー/ボストン・ポップス管弦楽団)


RCA BVCC 37465 Borodin

交響詩「中央アジアの草原にて」

Rimsky-Korsakov

「ロシアの復活祭」序曲

Borodin

歌劇「イーゴリ公」より 序曲/ダッタン人の踊り (以上1957年録音)

Khachaturian

バレエ音楽「ガイーヌ」より 子守唄 /レズギンカ /バラの娘たちの踊り /クルド人たちの踊り /剣の舞い

Rimsky-Korsakov

くまばちは飛ぶ (歌劇「皇帝サルタンの物語」より)

Tchaikovsky

歌劇「エフゲニー・オネーギン」より ポロネーズ (以上1958年録音)
バレエ音楽「眠れる森の美女」より ワルツ

Khachaturian

組曲「仮面舞踏会」より ギャロップ (以上1959年録音)

アーサー・フィードラー/ボストン・ポップス管弦楽団

RCA BVCC 37465

 My声楽ブーム継続して”音楽には歌がないと!”〜言葉の意味を直接理解できなくても、人の声の温もりというか存在感が恋しい今日このごろ。寒々しい雨模様用を抜け、ようやく春らしい陽気になった週末、【♪ KechiKechi Classics ♪】定例更新は(ほんの些細な趣味とは云え)自分なりのケジメ、生活のリズム、音楽への緊張感の維持のためであります。既にパブリック・ドメインに至った往年の「ライト・クラシックス」(≒死語)の王者、アーサー・フィードラー(1894-1979)のRCA音源を偶然ネットより発見したもの。以前、駅売海賊盤(中古250円)にて、彼への懐かしい思いを掲載したこともありました。(そのCDは処分済。「くまばちは飛ぶ」ダブってますね)1960〜70年代辺りまで、文化的教養としての音楽、立派な家具調オーディオみたいなものが(誤解も含め)ステイタスとして残っていたと思います。フィードラーとかコステラネッツ(亜米利加勢)、フランク・プウルセル(仏蘭西)辺りもクラシック録音を残して、カマラータ(英国/Phase4録音)なんて誰も知らんやろなぁ、ここ数年ネットから音源入手可能になってきました。

 フィードラー/ボストン・ポップスは厚みのあるしっとりとした響き、中庸を得た表現はどれも満足度の高いもの。閑話休題(それはさておき)

 音質がウリの一枚といった趣旨だけど、我が貧者のオーディオではその真価を引き出せません。奥行き広がり迫力充分、でも鮮度が足りない?他往年のRCA録音に及ばぬ印象。交響詩「中央アジアの草原にて」は小学校教科書作品(「剣の舞」も)であって、学校で聴いたものはたいてい17cmLPで買ってもらったものです。なんの変哲もないシンプルなオリエンタル主題の執拗な繰り返しは、駱駝に乗った商隊が荒涼とした高原に接近し、やがて離れていく〜そんな風情を描写して・・・皆、軽視しがちな通俗名曲(≒死語)は虚心に耳を傾ければ、哲学的虚無の感銘に至る、かも。(母親に買ってもらったレコードはジョルジュ・プレートル/ロイヤル・フィル〜後年、CD再入手済)「ロシアの復活祭」序曲は(幾度繰り返すが)吉幾三「酒よ」クリソツな名曲。Rimsky-Korsakov って、オーケストレーションが華やかですね。

 「イーゴリ公」より 序曲/ダッタン人の踊りも血沸き肉踊るオリエンタルにクサい旋律満載!だけど、オペラ聴いているでしょ?合唱が入らないと、とても残念!物足りない、隔靴掻痒状態から抜け出せない。「ガイーヌ」は音楽室に鳴ったのがこのフィードラーだったと記憶します。(自宅のはロジェストヴェンスキー) Khachaturianって、猛烈にクサい旋律、リズムの複雑さ「クルド人たちの踊り」尋常じゃない爆発(「レズギンガ」「剣の舞」)〜当時の文部省のお役人は超・マニアックなヲタクであった!ことは間違いない。「レズギンガ」に於ける理想的な「リムショット」に未だ出会えず、但し、金管木管の驚異的アンサンブルはボストン・ポップスの技量を充分に発揮したもの。ロジェストヴェンスキーがけっこう印象強烈だったので、フィードラーのはややおとなしい?そんな記憶を否定するけっこうな迫力、勢いであります。

 木管の超絶技巧は「くまばちは飛ぶ」にも顕著。Tchaikovsky2曲は、彼のメロディ・メーカーとしての才能をたっぷり感じさせる名曲中の名曲。「ポロネーズ」には少々リズムのアクセントが(期待より)不足すると感じるのは、やはりオペラ全曲を聴いているからでしょうか。「ワルツ」は文句なしの優雅ゴージャスな風情漂います。ラスト Khachaturian「ギャロップ」って、ほんまに凄い!いわゆる幼稚園保育所の運動会音楽なんだけど、大衆的ユーモラスな衣をまとったフクザツかつ激しい前衛音楽でしょう。

written by wabisuke hayashi