Stravinsky バレエ音楽「春の祭典」/
Rachmaninov 交響的舞曲 作品45(リコ・サッカーニ/ブダペスト・フィル)
Stravinsky
バレエ音楽「春の祭典」
Rachmaninov
交響的舞曲 作品45
リコ・サッカーニ/ブダペスト・フィルハーモニー
BPOL1001 1998年ライヴ ブダペスト・フィル150周年記念ボックス22枚組 6,645円
お恥ずかしくも不遜な話題だけれど、特別にこの一枚に感銘があったわけじゃありません。但し、感慨はあるんです、いろいろと。@300というのは2005年入手としては、かなりの安価だったでしょう。当時、岡山に居住していて職場至近のタワーレコードでは9,000円ほどだった記憶有、HMV通販にて入手後数年、おそらくは売れ残り4,980円ほどで見掛けて悔しい思いをしたこともありました。それが人生ですよ。一枚1,500円ほどでバラ買いした人もいることでしょう。既に廃盤らしい。
CD購入にはキッカケというか、期待があるでしょ?当時のワタシはなにを求めておったのか〜直接のキッカケはBBSにて「Mahler の交響曲第1番/第3番が思いの外よかった」旨、書き込みがあったことでした。他、自分があまり好みではない、聴く機会の少ない作品も良好な音質で揃えておきたかった。例えば、このRachmaninov の交響的舞曲(ジョハノス盤は処分済/この作品は好きですよ)、Tchaikovskyのピアノ協奏曲第2/3番(デニス・マツエフ(p))、Lisztのファウスト交響曲など。もちろん興味ある演奏者も収録され、例えばクン・ウー・パイク(白建宇)(p)、ジャン・フィリップ・コラール(p)(Ravel の協奏曲)・・・
でもね、ほとんど大多数馴染みの著名作品ばかりであって、今となっては他に聴きたい素敵なCDは棚中に数多く存在します。わざわざリコ・サッカーニ/ブダペスト・フィルの個性を求めて聴く機会も減りました。オークションからは(いちおう)引退したけれど、このボックスも出すべきであったか〜閑話休題(それはさておき)
大人気の「春の祭典」、もちろんワタシも大好きで聴く頻度の高いもの。古今東西名盤犇(ひし)めいて、サッカーニはいかにも分がよろしくない。いえいえ、ライヴなのに意外と整ったアンサンブルであり、オーケストラの弱さを致命的なほど感じさせるものではないでしょう。これはこのボックス収録、ほとんどすべてに当てはまることであって、それなりの演奏水準は作品の味わいを損ねるものではない。音楽はまず、作品をちゃんと味わうのが基本だから、これからしっかり名曲を身につけようという方には福音のような存在だと思うんです。棚中すべて”究極の名演!”、”巨匠、最後の遺産!”で揃える必要はない。
でもね。
「春の祭典」でしょ。中学生だったワタシが初めて出会っちゃったのは、ピエール・ブーレーズ/クリーヴランド管弦楽団(1969年)でっせ。モウレツに緻密であり、細部クリア、オーケストラが滅茶苦茶上手く、迫力あるオーケストラの爆発に響きは濁らない。暴力的なのに洗練されている〜そんな演奏に刷り込みを受けると一生苦労するものです。リコ・サッカーニもブダペスト・フィルもずいぶん頑張ってますよ。冒頭のファゴットから良く歌って、アンサンブルも整って、けっして悪い演奏ではない・・・どころか、大善戦!・・・なフツウ。「春の祭典」に穏健中庸表現はありえません。さらさらと無難に、粛々と流して、上手くまとめて、ドキドキ感も迫力もちょっぴり足りない。スケールが小さい(かな?)。おそらくは会場の奥行き感を良くとらえた、やや(ほんの少々)オフ・マイクな音質印象も手伝っているかも知れません。
けっして「春の祭典」という作品を貶めるような演奏に非ず。しかし、すれっからしの中年ヴェテラン・リスナー(=ワシ)には他、沢山の愛聴盤があります。それは例えば、1950年エルネスト・アンセルメの録音にだって”ドキドキ感”はちゃんとあるんです。このCD(ボックス)を所有している意味合いは、ますますわからなくなる今日この頃。聴き手の謙虚さ不足である可能性が高い。
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Rachmaninov の交響的舞曲は、LP時代バルビローリの演奏で聴いていた?と記憶します(1957年〜ほんまにバルビローリだったかちょっと自信がない)。ちょっと自信はないんだけれど、おそらくは棚中にサッカーニの演奏しか残っていない。3楽章からなる交響的な旋律は、決然と構成され、露西亜風な濃厚甘美なテイストもちゃんとあります。LP時代のはずいぶんと音がよろしくなかったし、ドナルド・ジョハノス盤は少々表現が硬質というか、柔軟なアンサンブルではなかった記憶もあります。
こちら、音質もよろしいし、アンサンブルもバランスもよろしい立派な演奏でした。 (2010年11月19日)
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