Copland、Ives、Rachmaninov (ジョハノス/ダラス響)


VOX  CDX5035 Copland

市民のためのファンファーレ
バレエ組曲「ビリー・ザ・キッド」
バレエ音楽「ロデオ」から4つのダンス・エピソード

Ives

ホリディ・シンフォニー

Rachmaninov

交響的舞曲 作品45
ヴォカリーズ(管弦楽のための)作品34の14

ジョハノス/ダラス交響楽団

VOX CDX5035 1967年録音   2枚組1,550円

 2005年再聴、このCDはもっと安くなって現役です。表紙には「ダラス交響楽団のオリジナル録音」となっていて、これはどういう意味なんでしょうか。借り音源じゃないよ、ということか。それとも当時はまだ録音自体が少なかった、ダラス響の強い意向で自主録音されたものか。かなりドライで、残響奥行きもデリカシーも不足気味の音質だけれど、骨太で馬力ある響きが楽しめました。なにより選曲が贅沢で素敵ですよね。Donald Johanosは「ヨハノス」と呼ばれることもあるが、ま、英語読みでは「ジョハノス」でしょうか。1973年にはピッツバーグ響と来日しておりました。たしか、ラインスドルフの弟子でしたか。

 Coplandというのは、なんと言いますか旧き良き素朴なアメリカ、みたいな印象がありまして、ユーモラスでノリノリのリズム命!でしょ。とても不思議な演奏でして、生真面目だけど、もともとが変拍子の連続(弟子筋であるBernsteinを連想させる)だし、調子外れの旋律が出てきて、音は乾いていて、あんまり上手いオケじゃなくて、器用じゃなくて、でも妙に馬力があって、もちろんガサツで骨太で荒々しくて、盛り上がって・・・と、ここまで条件が揃うと好き嫌いが分かれるか?いえいえ、ほとんど評価されていないでしょう。

 でもワタシ、この演奏にずいぶんと馴染んでおりますから。少々リズムがもたついて、粋じゃなくても良いんです。時に静かに優しいところは、西部劇テイストですな、当たり前の印象だけど。三曲とも名曲です!Coplandはすべからく、全部好き。「ロデオ」の金管、打楽器はもの凄い迫力で喧(やかま)しいほど。録音もこちらのほうがベターでした。

 Ives 「ホリデイ・シンフォニー」(交響曲「祝日」と訳すべきか)は、CDそのものが珍しいでしょ。ほかではオーマンディくらいか(1974年)。George Washington's Birthday(冬)、 Decoration Day (春)、 The Fourth of July(夏)、 Thanksgiving Day(秋)の4楽章からなっていて、全曲で40分ほど。どうして「交響曲全集」に含まれないんでしょうか。混沌、静謐な不協和音から始まる第1楽章、やがて妙に楽しげな旋律に、馴染みの「草競馬」の旋律が絡み、全然関係ないリズムが木管・金管で乱入します。まるで開演前、オケの勝手な音出し練習みたい。第2楽章も怪しげな不協和音が静々と、徐々に盛り上がりそうで盛り上がらず、ラスト遊園地のマーチング・バンド大行列の喧噪に突入!

 第3楽章もいつもの手口というか、「怪しげ不協和音」まったりと充満+恐怖のいきなり大音量攻撃とか、調子外れの米国国歌も断片垣間見えて、なんか支離滅裂滅茶苦茶大爆笑になった「独立記念日」っぽい。ラスト「感謝祭」〜日本人はわからぬが大切なお祭りみたいですね。この楽章も、少なくとも前半はめでたい祭りには聞こえない、やはり混沌。出典はわからぬが有名らしい旋律がばらばら、途切れ途切れに出現してごちゃごちゃになります。やがて安らぎの(まるでCopland風の)旋律が登場し、シミジミとラストへ・・・と思ったら大間違い。

 期待通り、別旋律が合流していつの間にやら大音響へ。合唱も入って(これなんという曲ですか?まことに喜ばしい。合唱団の表記なし)エエ感じの大団円でした。全体としてジョハノスはきっちり、真面目におカタく演奏しよう、と意図しているようですな。でも、作品がそうじゃないですから。

   さて問題はRachmaninov 。このCD購入時点(10年以上前)ワタシは交響曲他種々作品未聴でして、知っていたのは、彼(か)の甘いピアノ協奏曲第2番ハ短調のみ。「ヴォカリーズ」(管弦楽版)の旋律は(その味わいに類似して)即気に入ったけれど、少々無骨で繊細さに不足します。録音がデッドで、大味なせいもあるでしょう。「交響的舞曲 作品45」って、じつは未だに他の演奏を聴く機会を得ません。

う  少々ネット検索で調べてみると、晩年の作品であり、「当初は各々”昼”、”たそがれ”、”深夜”と言う表題が付いていた」「オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団に捧げられた」(ぜひ聴いてみたい)とのこと。第3楽章には馴染みの「怒りの日」が引用されます。楽しそうな作品だと思うが、妙におカタく、骨太の演奏というか、無骨で色気が足りません。あちこちバラバラな印象もあって、時に甘美な世界もたまに顔を出して、座りがよろしくない。

 第2楽章のヴァイオリン・ソロが妖しい。この楽章全体にその雰囲気が漂うが、いまひとつ乾いた印象(ガサツ?)から離れられませんね。アンサンブルも緻密な集中力を欠いております。第3楽章は鐘が鳴って、ちょっと幻想交響曲を連想させる(「怒りの日」も出てくるし)が、もっと健康的・・・って、そんな演奏じゃいけなのかな。リズムのノリが悪い・・・かな、と感じつつ、ラスト、派手派手しい金管が圧倒的に、容赦なくデッド鳴り響いて終末を迎えました。

(2005年4月29日)

 


 このCDの魅力を理解していただけるでしょうか。

 まず、LP3枚分がCD2枚に収録され、しかもレギュラー1枚より安い価格。荒々しくパワフルなアメリカ音楽がタップリ堪能できる。最近、NAXOSでもその健在ぶりが聴けるジョハノス、ダラス響音楽監督時代のすばらしい指揮ぶりが聴けること。

 じつはワタシ、ダラス響はほとんどこのCDしか聴いたことがありません。先入観で考える「アメリカのローカル・オケ」のイメージが、まさにこれと思うんですよ。骨太で豪快、荒削り、下手な小細工一切なし、能天気。「細かいニュアンス」なんて期待しちゃいけません。ある意味真面目で、一本気です。じつにわかりやすい。元気いっぱい。
 こんな演奏嫌いですか?ややオン・マイクで、残響少な目な録音も明快。選曲も凝っているでしょう?

 「市民のためのファンファーレ」は、「料理の鉄人」の音楽です。ほんの短い曲ですが、ハラに響くように聴かせるのはけっこう難しい。コープランドの作品って、名曲ばかりですよね。「ビリー・ザ・キッド」も「ロデオ」も彼の代表作。わかりやすくて、安らぎがあって、明るくて。ダラス響は、垢抜けなくって、素朴で真面目一本槍の音色が楽しい。リズムもところどころ乱れるけど、とにかくオケがよく鳴っていて気持ちがいい。

 アイヴスは、難解な印象はいっさいありません。パワフルな不協和音の連続ですが、有名な旋律のコラージュがここかしこで聴こえ、最終楽章は遊園地の雑踏を感じさせます。思いがけない合唱の導入もあります。楽しさ溢れるにぎやかな音楽。

 この曲が気に入ったので、他の交響曲も買ってみたのですが(ファーバーマン/NPO)いまひとつ楽しめない。ジョハノスの指揮が明快なんでしょうね。そうとう楽しめます。

 ラフマニノフは、纏棉たるロシア・ロマンティシズム、とでも呼びたいような、甘い旋律があふれた33分に及ぶ大曲。ヴォカリーズは、なんとも田舎臭く洗練されない音色。ストレートで飾りはありませんが、力があります。甘い音色は期待できません。(1998年)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi