Ravel 弦楽四重奏曲(シャンペイユ弦楽四重奏団)
「ラ・ヴァルス」「ボレロ」(ロザンタール)/ピアノ協奏曲ト長調(サンカン(p))
Ravel
弦楽四重奏曲ヘ長調
シャンペイユ弦楽四重奏団(1954年)
「ラ・ヴァルス」「ボレロ」
マニュエル・ロザンタール/パリ・オペラ座管弦楽団(1957-59年)
ピアノ協奏曲ト長調
ピエール・サンカン(p)/ピエール・デルヴォー/南西ドイツ放送交響楽団(バーデン・バーデン)(1964年)
ACCORD 461 735-2 2枚組 1,680円のうちの一枚
音楽の嗜好は、粋で軽快方面〜これはフランス音楽かMozart か、またはゆったり激昂しない穏健派(イギリス音楽か)・・・ま、若い頃は肉が好きだったけど、最近は魚とか野菜専門ですよ、味付けは薄味に・・・的変化でしょうか。このCD2枚組は2003年に購入したもの。もともと、マニュエル・ロザンタールが聴きたかったんです。(Debussyも同時購入 ACCORD 472 000-2)それをメインとしつつ、いろいろ配慮ある作品、演奏を収録しております。
Quatuor Champeilは、きっと往年のフランスの団体だったんだろうが、詳細調べは付きまさせんでしたね。この弦楽四重奏曲は、たいていDebussyと組み合わされて収録されるが、遣る瀬ない、妖しげ夜の闇に漂うような、ほのかな官能漂って、酔うような作品であり、演奏であります。第2楽章の緊迫リズム感には、耐えられないほどの切なさを感じ〜これとて激昂した圧倒ではない。当然モノラルだけれど、濃霧の中を歩むような音質がむしろ雰囲気をもり立てます。第3楽章には、噎せ返るような幻想があり、最終楽章の切迫と疾走には、息を飲むばかり。
Ravel の管弦楽法は精緻を極めるので、鮮明なる録音、精密集中力あるアンサンブルが求められると思います。しかし、そこはフランス音楽、その条件を満たしても充分とは言えぬ場合もあるし、それが不足していても驚くほどの効果を生む可能性もある・・・ロザンタールの演奏は”後者”か。(アンセルメもそうかな?)Manuel Rosenthal(1904年〜 2003年)はRavel に直接学んだ人だけど、ディジタル時代まで存命だったんですね。LP時代から(咽から手が出そうなほど!ロンドン SL1225〜27)欲しかった音源!(Debussy/Ravel とも、かなりの録音が残っているはず)
音質(疑似ステレオか?)というより、管弦楽そのものの響きがやや薄く、軽く、華やいだ雰囲気〜いかにも、粋にハズんで、ラフな明るさ(トランペットの頼りないヴィヴラートの魅力)+セクシーな「ラ・ヴァルス」。さっくりと流れよく、優雅で、時に思わせぶりなテンポのタメもあって、こんな楽しげなる演奏は滅多に存在しないでしょ。
Pierre Sancan (1916〜?)は、パリの名ピアニスト、教育者として高名らしいが、ワタシは初耳でした。ピエール・デルヴォー(1917〜1992年)も、独墺系を評価基準とする日本ではまるで人気はなかったが、 小粋なフランス指揮者としてワタシは大好きな人です。(←ちょっと記事が旧いが。その後CD復刻され、購入済み。EMI 7243 5 85216 2 7)ああ、名曲ですね。Ravel のピアノ協奏曲がこんな馥郁たる味わい(細部神経質ではない)で、たっぷり歌われるのは初耳かも。浮ついたところのない、しっとり暖かい音色で魅了しますね。(楽器はスタインウェイとのこと)
技巧は前面に表出しないが、余裕の奥ゆかしさと軽快がちゃんとある。胸が痛むほど繊細であり(第2楽章)、最終楽章には華やかな粋が準備されておりました。バックは、ドイツの機能的なオーケストラだけれどデルヴォーの配慮で、ちゃんとフランスの香気も漂いました。(音質良好)
さて、Ravel には欠かせない「ボレロ」がラストです。これは、雰囲気ではない、明快正確なるリズムの刻み込みを基調として、朗々とエッチなヴィヴラートで金管を叫ばせます。薄い弦の響きはやはり”フランス”していて、クレッシェンドは威圧を目的としない。あくまで脂粉ただよう情感と陶酔の昂揚のために存在して、ラスト、小太鼓がいっそうの奮闘とややテンポのタメを見せて・・・味わい深い。
●
<一枚目のCD収録>
逝ける女王のためのパヴァーヌ
スペイン狂詩曲
ダフニスとクロエ第2組曲
以上、マニュエル・ロザンタール/パリ・オペラ座管弦楽団(1957-59年)
水の戯れ/スカルボ
ジャン・ドワイヤン(p)
マ・メール・ロワ
フェヴリエ/タッキーノ(p)
(2006年6月10日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
|