Mussorgsky/Ravel 編「展覧会の絵」
(セルゲイ・クーセヴィツキー)


History  205262-303   10枚組 2,290円で購入したウチの1枚 Mussorgsky

組曲「展覧会の絵」(Ravel 編/1930年)
交響詩「禿げ山の一夜」(1944年)

Scriabin

「法悦の詩」作品54(1946年)

セルゲイ・クーセヴィツキー/ボストン交響楽団

History 205262-303 10枚組 2,290円で購入したウチの1枚

   クーセヴィツキーは有名だし、録音も意外と残っているが、同世代の「巨匠」に比べると人気がありません。どうしてだろう?独墺系のBBB交響曲辺りがレパートリーの中心ではないせいかな?録音の主体がアメリカのオーケストラだからか。彼の演奏スタイルが大時代的でなくて、むしろ現代的でスタイリッシュなせいでしょうか。

 彼が現代コンサートのレパートリーに与えた影響や、若手を沢山育てたことを考えると、もっと評価されても良いはず・・・・ということで、彼がスポンサーとなって初演した作品中、もっと有名と思われる「展覧会の絵」聴いてみましょう。1930年録音ね。伝説的な初演大成功が1923年だし、まだRavel が健在な頃でしょ。ホカホカ湯気が出ている。

 冒頭のトランペットから自信に満ちて、颯爽とテンポが早い。やや、間が急いた印象もあるが、テンションが高くて、いやはやボストン交響楽団が上手いんっすよ。表現としてはまったく今風で、太古の歴史的録音!という雰囲気ではない。これでねぇ、音質がまともだったら文句ないが。ま、年代相応というところか。ぜひ、ヴォリュームを上げて聴いてくださいね。

 たっぷりゆったりの金持ちゴージャス・カラヤン、微に入り細に渡り神経質、かつていねいに各曲を描きわけるチェリビダッケ、まったりとバランンス良く余裕のアンセルメ〜などなど録音映えする作品だし、いろいろ楽しめます。クーセイヴィツキー盤は、もっと原点というかストレート系で、大がかりな仕掛けなどと縁が薄いもの。アンサンブルは優秀だし、細部の配慮もないわけじゃないが。

 もっと、時代の熱、というか、「この曲の魂はオレが呼び出したんだぜ」みたいな意気込みがあって、特有のアツさは感じさせます。リアルタイムの臨場感みたいなものか。

 但し、表現的には淡泊方面、というか、作曲者自身とか、初演の姿って、意外とサッパリしているものなのかもしれません。「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」のラスト、たいてい大げさにルバートするでしょ?クーセヴィツキーさんは、未練なくストンと終わります。「キーウの大門」は存分に盛り上げてくださるが、やはり表情に「大見得」は存在しない。


 あまり好きではない「禿げ山」(通常版)だけれど、襟を糺したような、これもストレート系の真面目、かつアツい演奏。ボストン・シンフォニー・ホールのライヴ。勢い充分だけれど、節度と上品さも感じます。オーケストラは現在より上なんじゃないかな?調子は。ま、ストコフスキー辺りのお下品さもタマんないが。

 「法悦の詩」〜名訳ですね。「エクスタシーの詩」ですからね、いやモロ。18歳未満禁止。お子さんはご両親に見つからないように聴きましょう。これもライヴ。うねうねと官能の波が寄せては返し〜って、これ、とてもわかりやすい演奏でした。古い録音だと、いかにも音響の悪い、場末の「それ専門」の映画館みたいでタマりません。いえ、ものの例えの話しですけど。もう20年くらい行っていないか。

 ソロ・ヴァイオリンの切なさ、過剰なるヴィヴラート付きトランペットのいやらしさ。全編に漂う退廃と欲望の混濁状態。ホルンの雄叫びは男性?漂う弦は女性ですか?それでもやはり節度と上品さが存在します。音の状態はともかく、マゼール盤(くらいしかまともに聴いたことがない・・・・ああ、ヴィンクラー盤ワタシのサイトに掲載済)より、ずっと楽しめました。クーセヴィツキーにはこういう曲が似合いそう。(2003年3月21日)


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written by wabisuke hayashi