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LPレコード〜ノスタルジー


 

●LP泣き別れの記〜こんな雑文を書いたのは1998年。ワタシがLPをあきらめ、一枚残らずすべて処分したのは結果として誤りだったかも知れません。当時(1990年代前半)の見込みでは、もうLPもプレーヤーも、もちろんカートリッジも消えてしまう、大好きな音楽を聴けなくなってしまう、媒体の流行り廃れ、変遷とは空しいものだ、と。それはある意味正しく、別な意味で間違っておりました。

 居住スペース(プレーヤー、LPレコード両方場所をとる)問題、レコードカートリッジ・針入手問題はそれなりにあるにせよ、たった今現在、HARD-OFFへ行けばそれなりの価格でいくらでもプレーヤーは入手可能です。それに、これほどパソコンやらインターネット、CDRの普及(べつにMDでもかまわないが)時代が来ることは予測もできず、あの3,000枚のLPが現在手許にあればまちがいなく「宝物」になっていたはず。だいたいCD購入の動機だって、ほとんどLP時代のレパートリーを回復しよう!という追想に過ぎない・・・と言う事実は、自分で否定できませんもの。

 そんなことを書き出したのも、ご近所HARD-OFFに大量のクラシックLPが放出されていて、正直涙出ます。最近一気に大量入荷したのは、1970年代中盤のERATO、VANGUARD辺りの「バロック廉価盤」(1,000円〜1,200円)でして、帯付きで状態も非常によろしい。以前の持ち主は、ワタシと同世代でしょうか。とうとう場所ふさぎで奥様辺りから「あんた、いい加減にして!」と叱られたり、転居になったりしてあきらめたのか、それとも音楽を愛したご主人が残念ながら他界されたのか・・・(こういうコレクターって絶対女性じゃないんです)

 ワタシ、どれも懐かしく手に取ったが「Bach 管弦楽組曲第2/3番〜サーストン・ダート/フィロムジカ・オブ・ロンドン」の一枚を見たときには痺れ、動揺しましたね。420円のLPと1,000円のプレーヤーをここで購入しようか、と。その衝動はなんとか抑制しました。「媒体ではない。問題は音楽だ」などと屁理屈こねても、LPには不思議な魔力がたしかにあります。(CDを見掛ければろちろん買うだろうが、それとは意味が異なります)

 誰の演奏だったっけ?Bach のオルガン曲4曲収録されたLPがありました。30cm四方のサイズでしょ?大きいんです。表ジャケットには麗々しくルネッサンスの名画がデザインされ、裏にはまず曲名+(当たりはずれは多かったが)詳細ライナー・ノーツ。LPというのは、そういう「質感」とともに音楽が存在していたんですね。CDは小さいし、曲名+トラック時間表示くらいで済ませているものもいっぱいあります。しかも、ほとんど9割方輸入盤だし。

 ジャケットの紙とインクの匂い、レコードを取り出すでしょ?ワザが要るんですよね。絶対に余人にはさわらせなかったし、貸し出すこともあり得なかった。盤面を見ていると、ああ、このウネウネは2曲目のサビの盛り上がりだなぁ、なんて目で見て理解できる。CDではこうはいかない。ブラック・ボックスなんです。なんせディジタル・データだし。だから、どうだ、ということでもないが。

 LPは欲しい。しかし買いません。アツい想い出だけにしておきましょ。手軽に買えるようになったCDを、もっとありがたく、たいせつに聴きましょう。やがて時代は、音源すべてネットでダウンロード、データだけの世界になるかも知れません。「お爺ちゃんが若い頃は、CDといって板みたいなものを買ってたんだぞ」みたいな時代はすぐそこかも知れません。(2004年6月12日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi