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NAXOSの件


 今朝の新聞を見たら、DVDの出庫枚数がCDを抜いた、とのこと。クラシック系音楽は全体の売り上げのごく一部に過ぎないだろうし、POP系は既にダウンロードが主流(楽曲が短いから)と想像されます。我らがクラシック音楽だって”データ・ダウンロードしてパソコンで聴く”という方がいらっしゃるから、CDは落日の憂き目かも知れません。せめてLP程度に生き残って、ワタシの寿命中愉しませてくださることを祈ります。

 1980年代後半だったか、NAXOSの登場は衝撃でした。まず「ゴールド・フェディリティ」というレーベル名で1,500円スタート(当時はこれでも充分安かった)、やがて外資系大型CDショップ(タワーレコードが嚆矢)にて「一枚千円/5枚購入したら一枚無料」という驚異的な輸入盤でライン・アップされたものです。演奏家知名度気にしなければ、すべてディジタル録音(録音がよろしいこととイコールではない)だったし、狂喜乱舞して購入したものです。当時ワタシはLP3,000枚を諦めて処分、その作品レパートリーを快復せん!と必死でした。メジャーレーベルでは入手しにくい珍しい作品取り揃えも嬉しかった。

 やがて20年。我が一人息子は坊主頭の赤ちゃんだったはずが、いつの間にか社会人に。ご存じのように21世紀は”廉価盤の時代”となり、2007年秋NAXOSは日本でのディストリビューターの変更を行いました。NAXOSはずっと価格相場を変更しなかったが、ここへきてやや実勢売価を上げたようですね。継続的な新録音には意欲的であり、有名無名興味ある新録音を続けていることは敬服に値するが、ワタシのKechiKechi価格相場では手が出にくい・・・1,000円より上。でも、これほど安定して新譜を出す会社って、滅多にないでしょう。データ・ダウンロード(ストリーミング?)・サイトの運営にも熱心ですね。最近は歴史的録音の良心的復刻が大きな柱になりつつあります。ワタシもけっこう入手しております。

 この原稿執筆現在、「NAXOS」で58本の原稿更新があり、じつはそのうち既に26本28枚分のCDを処分済み〜かつてはBOOK・OFF/最近ではオークションにて。ここ数年BOOK・OFFでの@250入手の機会も増えました。「安いし、一般教養として」購入したものが流出したのか、それとも珍しい作品に冒険してみたけれど嗜好に合わなかったのか・・・後者はワタシの標的となって、偶然の出会いを楽しみにしております。

 ワタシのCD棚はほぼレーベル別になっているが、NAXOSがかなりの幅を取っております(枚数が一番多いのかは比較カウントしていないが)。228枚也。延べで同数は処分したかも。知名度のない演奏家、馴染み薄き作品〜これはワタシの音楽聴取スタイルの基本であります。「NAXOS、よくやっているぞ」と誉めてあげたい。でも、1,000円越えちゃいけないよ。

NAXOS 8.554173 1996年録音 中古@250入手 Dvora'k

管楽セレナード ニ短調 作品44

Enescu

十重奏曲 作品14

Janacek

木管楽器のための「青春」

オスロ・フィルハーモニック管楽アンサンブル

NAXOS 8.554173 1996年録音 中古@250入手

 マリス・ヤンソンスとの録音で名を上げたオスロ・フィルだけれど、その管楽アンサンブルとは目の付け所がNAXOS。指揮者なし、Dvora'kは著名なる名曲(終楽章で第1楽章主題が回帰するとほっとする)だけれど、Enescu/Janacek(滅多に聴けない作品)と続けるところもこのレーベルの姿勢でしょう。演奏は派手ではないが、しっかりとした技巧が着実なもの。

 Enescuは信じられぬほど、牧歌的かつスケールの大きな(しかも美しい!)作品であり、Janacekは例の如し、不安定かつ素っ頓狂なる(やや前衛的)旋律がすこぶる楽しく、魅力です。こんなコンピレーション・センスを絶賛したい。

 「中古@250入手」(BOOK・OFF)というのは値札を残してあるせいで、じつは入手記憶はまったくありません・・・というか、購入した記憶も消え失せていて、ある日棚中に存在を発見したもの。音楽は幅広く、様々なものを聴いてこそ受容の範囲が広がるものなんです。(2007年11月23日)

 


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi