Mozart ピアノ協奏曲第1/2/3/4番
(バレンボイム(p)/イギリス室内管弦楽団)


Mozart  ピアノ協奏曲第1/2/3/4番(バレンボイム(p)/イギリス室内管弦楽団) Mozart

ピアノ協奏曲

第1番ヘ長調 K.37
第2番 変ロ長調 K.39
第3番 ニ長調 K.40
第4番 ト長調 K.41

バレンボイム(p)/イギリス室内管弦楽団

EMI 7243 5 72931 2 9  1967-1974年録音 10枚組2,500円(中古)にて購入したウチの一枚(紙パック入り)

 バレンボイムの旧全集を買ったのは2002年も押し迫った年末でしたか。ワタシは彼の佳き聴き手とは言いかねるが、愛するMozart が中古屋で放置されるを見るに忍びなく、喜んで購入した記憶もあります。第21/27番のコメントを少々したこともありましたね。それはそれでけっこう楽しんできました。「Mozart の初期作品など、ガキの戯れ言に過ぎない」という手厳しいご意見も存在するようだけれど、ワタシはどれも大好き。

 でもね、若書きの作品を清潔に、溌剌ノビノビと表現するのって、けっこう難しいかも知れない。さすがに第1〜4番の協奏曲は、あちこち多様に聴く機会は少なくてエラそうなコメントはできないが、馴染みのアンダ全集が(馴染んでいるせいか)とても奥床しく、陰影と細部配慮を感じさせ、美しく躍動してました。で、件(くだん)のバレンボイムは?

 ワタシは彼のピアノを「考えすぎ」、「少々雄弁すぎ」と聞こえることが多いんです。ここではテンポも適度で(弾き振りのバックが少々前のめりながら)、しっとりと流れるように瑞々しいピアノが楽しめました。時にテンポも音量もゆったりと落として、そっと柔らかい表現は、まさに夢見るように浪漫的。若者らしい溌剌とした表情もあって、後期演奏に聴かれるような「Beethoven 方面の劇的」方向ではない。

 この短い4作品、どれも第2楽章「アンダンテ」が聴きものでした。とつとつと清廉であって、ほんのこどもの作品とは思えぬ(シンプルだけれど)愉悦感溢れる旋律を浮き立たせる〜浪漫的な表現。ほんのわずか歌い口に粘性があって、それはこの作品へ新たな魅力の生命(いのち)を与えました。第2番 変ロ長調協奏曲は落ち着いたテンポだから、一歩間違えれば雄弁に過ぎる可能性もあるけれど、リキみがなくて抑制を失わない。(この作品の哀しみ横溢の「アンダンテ」を聴いてちょうだいな)

 華やかですね。既に「暗転する主旋律」〜Mozart の世界がちゃんと広がって、「ガキの戯れ言」とは言わせぬ魅力ある世界が広がります。EMIの録音は、ワタシの嗜好やら(ヘロ)オーディオとの相性がよろしくなくて、もう少し録音会場全体の空間と、ピアノの明快なる位置関係は欲しいところ。イギリス室内管は、アンダ盤のバック(カメラータ・アカデミカ・ザルツブルク・モーツァルテウム)より、響きのコクが不足するような気もします。

 ま、それはワタシの贅沢なる望みでして、日常聴きになんの不足も感じられない録音・演奏水準・・・どころか、ちょっと甘美な世界も楽しめちゃいました。(2004年12月10日)

 

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written by wabisuke hayashi