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CLASSIC ちょろ聴き(29)
●Mozart ピアノ協奏曲全集〜第21/27番 バレンボイム(p、指揮)/イギリス室内管弦楽団(1968/67年録音)
全集にかつて少々コメントしたが、バレンボイム弾き振りの旧盤です。BBSに「第27番は演奏録音ともに素晴らしい」というコメントが出たので再聴。ワタシがもっとも愛するヴォルフガング、取り分けてお気に入りのピアノ協奏曲に無条件なる感動になんらの疑念もない名作。バレンボイムは慈しむように、ていねいに表情を付けていて、細かいテンポの揺れもあります。短調の作品など、時にBeethoven 寄りの劇的な表情を見せるバレンボイムだけれど、ここでは静謐な抑制が利いていました。(以上を前提に)ワタシはちょっと考えすぎの演奏だと思うのです。Mozart に対する天衣無縫で無垢なアプローチではなく、計算され、効果を狙った美しい演奏。自在な愉悦感がもっと欲しい。テンポがゆったりめなのは問題ないが、やや雄弁で時にバックが少々重い〜これはワタシの勝手な思い入れです。録音のことはわかりませんが、ワタシは奥行き、深みがもう少し欲しい・・・との感想を持ちました。(とくに第21番)状態のよろしいLPでは極上のサウンドらしいから、これはワタシの好み、及び(安物)オーディオ環境の問題でしょう。
(2004年5月15日)
●Faure レクイエム/パヴァーヌ〜フルネ/ロッテルダム・フィル/オランダ放送合唱団/アメリンク(s)クリュイセン(br)コルゼンパ(or)(1975年録音)
この作品は有名だけれど、いろいろややこしい版の問題有。これは(いちおう)大編成オーケストラによる第3稿による。フルネは1950年のラムルー管盤、1998年日本録音である第2稿盤は有名で入手可能だけれど、なぜかこの1975年ステレオ盤は入手難らしい。ウワサによると合唱パートが滅茶苦茶ムズかしいそうで、定評ある録音でも合唱水準に問題があるものが多い・・・と、いうのは他サイトの受け売りです。ここでの完成度は驚くべきもので、しっとり瑞々しい器楽アンサンブル+合唱団(この水準が高い!)も完全に溶け合って(録音も素晴らしい。オルガンがホールに響いて明晰)、アメリンク、クリュイセンのソロは宗教的敬虔さに溢れ、雄弁になりすぎません。「ああ、イエズスよ」「アニュス・デイ」辺りはココロ洗われ、懺悔の念に涙さえ出ます。フィル・アップは「ペレアスとメリサンド」(5曲)〜ジンマン/ロッテルダム・フィル(1979年)はずいぶんとクールな演奏でした。1989年に出た国内盤で、ワタシは(珍しく)定価で購入。もう中古でしか探せないでしょうか。
(2004年5月15日)
●Haydn ディヴェルティメント全集〜エミール・クライン/ハンブルク・ソロイスツ(1995年録音・・・だったかな?)●6つの弦楽四重奏曲 作品1(ディヴェルティメント)
第1番変ロ長調「狩り」 作品1-1,Hob.III-1
第2番変ホ長調 作品1-2,Hob.III-2
第3番ニ長調 作品1-3,Hob.III-3
第4番ト長調 作品1-4,Hob.III-4
第5番変ホ長調 作品5-0,Hob.II-6(交響曲の改作)
第6番ハ長調 作品1-6,Hob.III-6●6つの弦楽四重奏曲 作品2(ディヴェルティメントまたはカッサシオン)
第7番イ長調 作品2-1,Hob.III-7
第8番ホ長調 作品2-2,Hob.III-8
第9番変ホ長調 作品2-3,Hob.III-9
第10番ヘ長調 作品2-4,Hob.III-10
第11番ニ長調 作品2-5,Hob.III-11
第12番変ロ長調 作品2-6,Hob.III-12以上1757〜62頃の作品で、一般に弦楽四重奏として知られるもの。原題はディヴェルティメント/カッサシオンになっているそう(以上サイトで調べて勝手に引用)で、エミール・クラインが(弦楽四重奏としてではなく)弦楽合奏で4枚組に仕上げて下さいました。ちょうどMozart の「ザルツブルク・シンフォニー」を弦楽合奏で演奏してみたり、弦楽四重奏で演ったりするのとパターンが似ているでしょうか。
正直「ハイドン・ディヴェルティメント集4枚組!」で、いくら安いCDとは言え触手が伸びにくいところ。ワタシは以前から気になっていて、こうして図書館で貸していただけるとありがたい。単なる知識とか、情報ということではなく、ちゃんと音として確認できるわけですから。
クライン/ハンブルク・ソロイスツはARTE-NOVAの看板演奏家の一人だけれど、Boccheriniのチェロ協奏曲集(74321 85094-2)は予想外に立派で、瑞々しいアンサンブルでした。今更ながら、知名度で演奏水準を推し量っちゃあきまへんな。豊かな残響も魅力的で、ここ最近の新録音は、古楽器風ムダをそぎ落とした演奏ばかりもてはやされているようだけれど、現代楽器のたっぷりとした存在感も日常聴きには欠かせないものでしょう。
で、このHaydnは如何?優しく、平易な旋律がず〜っと流れて、それはそれとして魅力的で、もの凄く気持ちヨロシ。弦楽四重奏に比べて、融通が利かないというか、変化に乏しいというか、延々と(ややワン・パターン的)耳当たりの良いサウンドを聴かされると、気持ちよく眠くなります。正直、4枚連続して聴き通すには少々根性が必要でしょ。
交響曲とか、オペラではないから、全部全部続けて聴く必要はないと思います。例えば第4番ト長調の優雅な味わいは、とても気に入りました。各々自分の好みを見つけて、あちこち「摘み聴き」するのに相応しいセットでしょうか。大爆発は存在しない「癒やし系」音楽。
こんな録音を格安で残して下さったARTE-NOVAに感謝。但し、罰当たりなリスナー(=ワタシ)はこうして図書館貸与CDで楽しみました。もし、手が届きそうな価格で見かけたら”買い”だと思います。でも、もうなかなか売っていないかな?
(2004年5月9日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】
●愉しく、とことん味わって音楽を●
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