Mozart 初期交響曲集(アレッサンドロ・アリゴーニ/
トリノ・イタリア・フィルハーモニー)
Mozart
交響曲第1番 変ホ長調 K.16
交響曲第4番ニ長調K.19
交響曲ヘ長調 K.Anh.223 K.19a
交響曲第5番 変ロ長調 K.22
交響曲第6番ヘ長調 K.43
交響曲第43番ヘ長調 K.76
交響曲第7番ニ長調 K.45
交響曲第7番aト長調 K.45a「旧ランバッハ」
アレッサンドロ・アリゴーニ/トリノ・イタリア・フィルハーモニー
TIM 203301-205 1988年以降録音 10枚組2,360円で購入したウチの一枚
交響曲第1番 変ホ長調 K.16
交響曲第2番 変ロ長調 K.17
交響曲第3番 変ホ長調 K.18
交響曲第4番ニ長調K.19
交響曲第5番 変ロ長調 K.22
交響曲第6番ヘ長調 K.43
交響曲第7番ニ長調 K.45
交響曲第8番ニ長調 K.48
ラインスドルフ/フィルハーモニック・シンフォニー・オーケストラ・オブ・ロンドン
MAC(Westminster) MCAD2-9808-A 1950年代録音 1,000円で購入
なんと言われてもMozart は大好き。「初期作品など、ガキの戯れ言」等と貶されても、ワタシは天才のワザを愛します。「どうしようもなくヘタクソ」と酷評されたアレッサンドロ・アリゴーニの「全集」だって、どうしても欲しかったんです。(一枚236円!でっせ)じつは、密かに購入しておりました。いままで隠していましたが。
ラインスドルフの全集は、旧Mozart 全集による由緒正しい録音が貴重です。10年ほど前に「8枚8,000円で全集!」というのも衝撃だったのに、時代は移り変わりました。交響曲の第2・3番はどこに行ったのか?さっそくインターネットで検索してみると、第2番K.17はAnh.C11.02となっており、親父の作品とのこと。第3番K.18はAnh.A51で、アーベルの作品を加筆しつつ写譜したものらしい。(かえって貴重ではないか)
で、ウワサのアレッサンドロ・アリゴーニさんの演奏は如何?って、さすがラインスドルフ盤を聴き慣れているせいか、優雅で余裕じゃないですか。これ、ここ最近のMozart 演奏って、古楽器の影響を受けて、スリムでハズむようなリズム感に溢れたスタイルとか、まったく逆に、豊満な現代管弦楽の粋を集めた豪勢な演奏が好まれるみたいだけれど、そのどちらにもあてはまらない。
「後期の演奏になるほど酷い」といった評もありましたので、後期から聴いてみたんですよね。(天の邪鬼)〜べつに酷いこともなくて、ただユルんで締まりがないだけなんです。オーケストラの響きそのものは、残響豊かな録音もあってか、別にスカスカでもなんともない。ま、解釈的に見るべきものなし、なのかもしれないが、不快な演奏ではない。小編成だけれど、薄さも感じません。
この最初期の一枚の楽しさは出色です。ゆったりと肩のチカラが抜けていて、やや焦点の定まらない録音ではあるが、弦のゆるやかな響きも良好、管楽器だって破綻はなにもなし。10歳〜13歳の作品だけれど、嬉遊曲のような楽しさと希望に溢れて、よく似ているJ.C.Bach のシンフォニアより陰影に富んで、ワタシは好き。
曲ごとに個性が明確だし、旋律に才気を感じさせます。9歳のときの第1番/第4番でも、たとえばアンダンテを聴いてください。このしっとりとした味わいには、天才の道筋がちゃんと示されていています。K.19aのヘ長調交響曲は1981年新発見だそうで、もちろん初耳。アンダンテにおける短調への暗転がこの時点で発見できます。転調は鮮やか。(この辺りがロンドンで作曲されたもの)
これが交響曲第5番 変ロ長調 K.22になると(先の作品より約1年後)旋律に多彩さと変化が加わって、第1楽章からこどもの作品とは思われません。アンダンテ楽章の暗鬱な表情、終楽章の堂々たる貫禄に驚くばかり。交響曲第6番ヘ長調 K.43は11歳の作品で、第2楽章のフルートがとても効果的で美しい。終楽章のリズムが少々複雑で面白い。
K.42a (76) 交響曲(第43番!?) ヘ長調も初耳で、疑作。(終楽章にラモーの引用があるそうです)〜、続けて聴いてくるとこの辺りで、少々飽きが来ちゃうのも事実だけれど、なんとなくこの作品雰囲気がほかとちゃいます。当たり前だけれど、ツマらん曲。ファゴットなんかも入っているし。
交響曲第7番ニ長調 K.45〜12歳の時の作品。颯爽とした冒頭からカッコ良い曲だけれど、演奏のもたつきが少々気に食わない。ああ、トランペットとティンパニ入ってますね。ここから。(これがリズム悪い)メヌエットも、終楽章も、もっさり気味。怪しげな第43番を除けば4楽章は初登場か。
「旧ランバッハ」は真贋論争がオモロイので、一度関係書類を読んでみてください。どうやら最近は「真」作に落ち着いたようで、この多彩な転調と優雅な旋律はたしかにMozart (!で、あってほしい)。この辺りは、こどもの作品とは俄に信じがたいほどに美しくて、アレッサンドロ・アリゴーニさんのまったり風演奏がその雰囲気をいっそう助長します。アンダンテは良い味だしているが、速いテンポの部分ではゆるフン気味でした。
ワタシは存分に楽しんだけれど、演奏は(じつはずっと)ワン・パターン。どれもノンビリ・ユルリとしたもので、「曲ごとに微細な作品の個性を描き分けよう」といった意欲はないみたいです。本音で書けば、A.フィッシャーのHaydn全集より楽しめますっ、って書いたら叱られますね?
どれだけボロカスに言われようと、ラインスドルフ盤は見捨てません。録音は鮮明だけれど平板で、残響なく乾いた音質。怒りに充ちた荒々しい勢いと、叩きつけるようなやや乱暴なアンサンブル。彼は何を表現したかったんでしょうか。
交響曲第2番 変ロ長調 K.17は、父レオポルドの作か?とも類推されていて、4楽章で成り立っています。これはこれで完成度の高い「いかにもマンハイム楽派」みたいな雰囲気で魅力があります。第43番の比ではない楽しさ。
交響曲第3番 変ホ長調 K.18は、細かい音型が弾むようで、いかにも当時ロンドンで流行ったシンフォニアの味わいそのもので、これはMozart ではありません。でも、ファゴットのユーモラスで複雑な音型など凝った作りになっていて、これはMozart が加筆(クラリネットも)したものだそう。(2002年10月18日)
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