Mozart バレエ音楽「レ・プティ・リアン」K.299b/嬉遊曲ニ長調K.131
(アルトゥール・ゴールドシュミット/パリ音楽院管弦楽団)
Mozart
バレエ音楽「レ・プティ・リアン」(ささいなこと)K.299b(Anh.10)((p)1949)
嬉遊曲第2番ニ長調K.131((p)1947)
アルトゥール・ゴールドシュミット/パリ音楽院管弦楽団
フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299(297c)
ガストン・クリュネル(fl)/ピエール・ジャメ(hp) /ギュスターヴ・クロエ/管弦楽団((p)1944)
Ad'es 14.185-2 Disque 2 5枚組8,000円(税抜!)で購入
CD出始めの1980年代は高価であって、それは傷つきやすいLPに比べ”非接触式”のCDは永遠の命であるといった対価の意味もあったのでしょう。針音=ノイズが皆無であることも賞賛されていたと思います。これはおそらく1990年頃購入したセットであって、目的はコンサートホール音源だったと思います。
やがて幾星霜〜ワタシは記憶力の減退に悩まされ、いっぽうで幅広く音楽を楽しめる耳と心を得たものです。例えば、バレエ音楽「レ・プティ・リアン」(ささいなこと)K.299b(Anh.10)((p)1949)はLP時代からお気に入りでした。ったかな?/PHILIPSの全集にも含まれていた記憶有)が、棚中、どこにあったか、どれに収録されていたかも検索困難に・・・これは偶然に発見したもの。(後、「パリのMozart 」(ウーブラドゥ4枚組)中に含まれることを発見)
フランスAd'esの音源もぼちぼち復活しているようだけれど、このフランス太古録音でのアルトゥール・ゴールドシュミット、ギュスターヴ・クロエ辺りの情報はほとんど探せない。ガストン・クリュネル(1898-1990)/ピエール・ジャメはかなり著名なるソリストでしょう。どれも時代を勘案すると、かなり聴きやすい音質だと思います。懐古趣味じゃなくて、ちゃんと音楽を愉しむに足る水準でした。
「レ・プティ・リアン」と「フルートとハープ」は1778年パリでの作品であり、嬉遊曲第2番ニ長調K.131は1772年ザルツブルク時代だから、組み合わせの意味合いはちょっとわからない。ま、シロウトにはそんなこと気にせず素直に楽しめばよろしいのでしょう。
「レ・プティ・リアン」(ささいなこと)は、現在の研究結果ではいくつかはMozart の真作ではない、とされているようです。(全21曲収録された音源はないのでしょうか)いきなり元気良い序曲が始まって、文句なく優雅なるヴォルフガング・サウンド3分。あとは陰影に充ちた世界がゆったり、時にはハズむように次々と広がって、これは第1級の作品に間違いなし。パリ音楽院管弦楽団は管楽器が美しく、アンサンブルはややラフだけれど、各楽曲の性格の描き分けをしっかり行っておりました。
フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299は、フランス系演奏の十八番(おはこ)でしょう。解説によると「嫌いなフルート、不完全な楽器だったハープ、素人演奏家のために易しく+レッスン料も屈辱的に少なかった」奇跡の名曲!とのこと。(ウヒヒ)およそ、この名曲の録音機会を与えられる芸術家に愚演などあり得ません。ピエール・ジャメは(高名なる)リリー・ラスキーヌと同世代らしいが、教育者としてはともかく(ステレオ時代の)録音はあまり見掛けません。ガストン・クリュネル(fl)ともども精気と自信に充ちた、盤石の演奏(ソロ部分でテンポを少々落とすんです)であって、華やかなこと限りなし。両端楽章カデンツァで、ゆったりと絡み合うソロ二人の優雅な雰囲気に聴き惚れました。数多く聴いたこの録音中、ヴェリ・ベストの可能性大。
一番最後に収録される嬉遊曲第2番ニ長調K.131は、愉悦感に充ちて明るい表情が幸せでした。第3楽章「第1メヌエット」には勇壮なるホルンの絡み合い、小鳥のような木管の歌がたっぷり含まれます。ここが白眉か。
歴史的録音をことさらに称揚するつもりもなし、できれば音楽は音質状態がよろしいことが望ましいが、こうして出会った音源は大切に愉しみましょう。思わぬ発見があって、ほかの演奏との比較も音楽聴取の幅を広げて下さるんです。
(2007年6月15日)