Mozart クラリネット五重奏曲イ長調K.581/
Weber クラリネット五重奏曲 変ロ長調
(ハインリヒ・ゴイザー(cl)/ドロルツ弦楽四重奏団)


Columbia STC 80 750 Mozart

クラリネット五重奏曲イ長調 K.581

Weber

クラリネット五重奏曲 変ロ長調

ハインリヒ・ゴイザー(cl)/ドロルツ弦楽四重奏団

Columbia STC 80 750 1962年録音

 Heinrich Geuser(1910ー1996独逸)はシュータカペレ・ベルリン、RIAS交響楽団(ベルリン放送交響楽団)に在籍した名手、カール・ライスターの先生でもあります。ドロルツ四重奏団はベルリン・フィルのメンバーを中心に1950年創立とか。この1962年ステレオ録音は自分が探した限りCDにはなっていない(?)これはLP復刻音源をネットより入手したものです。クラリネットの線が太くて表情豊か、弦楽四重奏もしっとり瑞々しく、ノスタルジーに充ちて最近聴けぬ濃い、大きな味わい。LP復刻の音質は優秀です。それが演奏印象に影響を与えてるのかも。

 Mozartのクラリネット五重奏曲イ長調K.581は古今東西この編成の最高傑作、クラリネット協奏曲も文句なし天才の技でした。Mozart33歳の熟達した作品はいつもの軽快な愉悦に充ちた風情とは、打って変わって達観、深く沈溺するような静謐漂う名曲中の名曲!第1楽章「Allegro」冒頭の弦の和音から意味深く、自然にそっとクラリネットが滑り込んで夢心地。ソロと弦の旋律掛け合いも美しく、もの哀しく崩れるのはMozartらしい世界。緩急、緊張と緩和のみごとな対比は、表層を流さぬしっかりとした足取りであります。第2楽章「Larghetto」は深呼吸する沈思黙考な緩徐楽章でしょう。クラリネットの旋律は天国的に無垢、そこにドロルツのヴァイオリンが天上からそっと絡み合う・・・絶品でっせ。第3楽章「Menuetto」このシンプル清明なリズムはロココなやぁ(3/4拍子)すぐに弦が不安な旋律が陰影を対比して、哀愁も漂うこれも名旋律続きます。第4楽章「Allegretto con variazioni」は青空のように軽快な主題が第6変奏まで変幻自在に、軽快に色彩を変えても、どこか妙に寂しげなのは先入観でしょうか。クラリネットも弦も力強くリズムを刻んで楷書の表現、表情豊かに歌って名残惜しく大団円を迎えました。(全29:42)

 Weberのクラリネット五重奏曲 変ロ長調も大好きな作品、Mozartに負けぬ名曲でっせ。カールマン・ベールケッシュヘンク・デ・グラーフなど好んで聴いておりました。こちらのほうが明るく、庶民的な旋律が躍動していかにもWeberの魅力爆発!第1楽章「Allegro」から高音を多用して快活、親しみやすい旋律が多彩に歌って、クラリネットは陰影深く自在。第2楽章「Fantasia,Adagio ma non troppo」は弦楽器の低い暗鬱な風情に始まって、Mozartとは異なる浪漫の香りが漂いました。たっぷりとした弦のヴィヴラート、骨太のクラリネットは時代の色なのでしょう。第3楽章「Menuetto-Cappricio、Prest」は剽軽なメヌエット。この辺り、いかにも古典的な雰囲気にリズミカル、細かい音形のクラリネットに弦が繊細に呼応します。この屈託のなさはWeberの個性。第4楽章「Rondo,Allegro-giocoso」は平明牧歌的な風情に溢れて、子馬が草原を駆け抜けるような爽快さでした。(全24:31)

(2020年12月12日)

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written by wabisuke hayashi