Mozart セレナード第8番ニ長調K.286 (269a)「4つのオーケストラのためのノットゥルノ」/
音楽の冗談 ヘ長調K.522「村の音楽家の六重奏曲」/
セレナード第13番ト長調 K.525「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」
(フローリアン・ヘイエリック/マンハイム・プファルツ選帝候室内管弦楽団)


BRILLIANT 92627/3 Mozart

セレナード第8番ニ長調K.286 (269a)「4つのオーケストラのためのノットゥルノ」
音楽の冗談 ヘ長調K.522「村の音楽家の六重奏曲」
セレナード第13番ト長調 K.525「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」

フローリアン・ヘイエリック/マンハイム・プファルツ選帝候室内管弦楽団

BRILLIANT 92627/3 2002年録音

 作品勢揃い、演奏の質と価格に於いて文句なし!BRILLIANTの全集より。前回関連更新から類推して2006年ころの入手と記憶します。Mozart のセレナーデ、ディヴェルティメント、舞曲集まとめて23枚分オークションにて入手して、嗚呼一生聴けないかも、そんなことを思っていた美しい作品を時々、折に触れ拝聴できるようになった幸せを噛み締めておりました。2014年に入り、毎週ごとテーマを決めて集中聴き、それは苦手系と感じて敬遠していた音楽もちゃんと、系統的に幅広く聴きましょう、音楽への真摯な気持ちの快復せん、といった趣旨でした。

 Shostakovich交響曲全15曲、超苦手系作品しっかり頑張って聴了後、Mozart のシンプルかつ豊かな世界を味わいたくなる・・・セレナード第8番ニ長調K.286 (269a)は3楽章、わずか13分ほどの名曲。成立経緯不明、自筆譜も行方不明、もしかしたら紛失楽章あるかも(K.525だって然り)そんな説もあります。これがなんとも典雅な、ゆったり味わいに充ちた第1楽章「Andante」が順々と語るように始まって、4つのオーケストラ(2つのホルン、ヴァイオリン2、ヴィオラ1、バス1)が順繰りにエコー(次々と最初の旋律を追いかけていく)といった珍しい趣向。所謂、静かな緩徐楽章の雰囲気、この前に快活な楽章があったんじゃないの?シロウト考えも頭をもたげました。5:18。

 第2楽章「Allegretto grazioso」も晴れやかな表情にややテンポ・アップ、典雅な風情は崩れません。わずか2:20。第3楽章「Menuetto」は快活な舞曲(5:08)であって、いずれどの楽章もノンビリ、なんとも云えぬ牧歌的なテイストにホルンの勇壮な呼応がおみごと。マンハイム・プファルツ選帝候室内管弦楽団は現代楽器、最近の古楽器系団体ほど先鋭なリズムでもなく、颯爽とスリムなサウンドを聴かせて下さいました。

 音楽の冗談 ヘ長調K.522は、最高の知的ジョーク抱腹絶倒音楽。基本生真面目に、しっかりしっとり演奏してこそ、その”オモロさ”を実感できるけど、一度思いっきり大破綻、大崩れ演奏も聴いてみたいもの。第1楽章「Allegro」は型にはまった旋律リズム、妙な転調が妙におかしく、それでもけっこう美しいのがさすがヴァルフガング。第2楽章「Menuetto : Maestoso」〜荘厳なメヌエットってなんだ?ホルンが揃って音程がズレて前衛音楽風、この作品の大ファンであるワタシは、妙に単調に繰り返されるこの楽章の怪しさに心奪われます。

 第3楽章「Adagio cantabile」ヴァイオリン・ソロは(どんな演奏でも)美しく纏綿と奏されるけれど、どなたか大破綻してみせてくれんか。最高音での技術破綻描写は秀逸です。作品そのものが”失敗風”にか描かれているだけなので。でもやっぱりMozart 、ほんまに美しく遊んでおります。終楽章「Presto」は快活な躍動に溢れ・・・ラスト滅茶苦茶な結末に至る・・・相変わらず、引き締まった飾りの少ないアンサンブル続きます。この一文を認(したた)めるにあたり。ネット上の資料を拝見したら、父レオポルト逝去直後、ある種の屈折した追悼ではなかったか、との説もあるらしい。なるほど。

 さて「アイネ・ク」。小学校4年生、わずか10歳のガキが友人宅(大学教授の立派な家であった)にて拝聴した、この作品に陶然とした記憶も鮮明。すぐに17cmLP買ってもらいました。(カール・ミュンヒンガー/シュトゥットガルト室内管弦楽団)子供の頃って、音楽ジャンル分けもクソもない、親しいご近所のお兄ちゃんが洋楽好きだったし、両親は演歌、分け隔てなく”素敵な音楽”として、素直に受け止めておりました。そこから「運命」「田園」「ジュピター」「プラハ」(そしていきなり)「春の祭典」への道は近かった・・・ローティーンのノーミソは柔軟でしたよ。ここでの演奏は颯爽と快速テンポ、さっぱり風味にややタメ、ちょっぴり思わせぶりな間も上手い、躍動する快速”古楽器テイスト”演奏であります。

 先日、ブルーノ・ワルターのぽってりとした演奏CDをオークション処分しました。既に耳が現代風スリム・サウンドに馴染んでいて、昔馴染みの豊満スタイルに付いていけません。ヘイエリック/マンハイム・プファルツの音楽を拝聴しつつ、オトマール・スウィトナーのボックスオークション出品したものです。第1楽章「Allegro」の繰り返しなしは残念。(2014年3月30日)


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written by wabisuke hayashi