Mozart 嬉遊曲ニ長調K136/変ロ長調K.137/ヘ長調K.138/ニ長調K.334
(フローリアン・ヘイエリック/マンハイム・プファルツ選帝候室内管弦楽団)
Mozart
嬉遊曲
ニ長調K136/変ロ長調K.137/ヘ長調K.138
第17番ニ長調K.334
フローリアン・ヘイエリック/マンハイム・プファルツ選帝候室内管弦楽団/オルガ・ノーデル(v)
BRILLIANT 92627/1 2002年録音 23枚諸経費込みで3,750円で購入(オークション入札)したウチの1枚
飾りがないというか、素っ気ないくらいの淡々とした演奏です。星の数ほどある著名な演奏に慣れていると、肩すかしを喰わされたような、そんな気持ちになるかも知れませんなぁ。Mozart の”天衣無縫の天才”を実感させる前3曲は、さっくりとさっぱり薄味に仕上げられ、著名なるK.334「メヌエット」も快速テンポが快い、というか、潔し。
アンダンテのヴァイオリン・ソロは古楽器かなぁ?ずいぶんと纏綿と、美しく歌って、そこはかとないヴィヴラートもセクシーだけれど。 とは、2006年6月の「音楽日誌」からの引用だけれど、その翌月、
「古楽器か?」と数枚聴いて判断していたけれど、これは現代楽器ですね。但し、演奏スタイルは”古楽器系”に間違いなし。だから「マンハイム楽派」CDでのイメージと大幅に異なっても、演奏スタイル(指揮者の指示)の変化で不思議はない。
いずれ、ワタシの大お気に入り作品ばかりでして、やや素っ気なくも色気薄いさっぱり系演奏だけれど、その虚飾のなさもヴォルフガングの音楽には相応しい。作品の素の味わいをそのまま表出して、軽快なる喜びが真摯に伝わりました。 との修正情報も掲載。BRILLIANTのMozart 全集は、その求めやすい価格で貴重なる存在だけれど、様々な演奏スタイル(音質個性も)が混在するのは少々閉口気味ではあります。
嬉遊曲ニ長調K136/変ロ長調K.137/ヘ長調K.138は「ザルツブルク・シンフォニー」と俗称される、ヴォルフガング16歳の名曲です。ほとんど「イタリア風序曲」(いわゆるシンフォニア)風作品であって、弦楽4部(弦楽四重奏)でありながら交響曲として演奏可能なスケールを誇る名作。いえいえ、そんな蘊蓄抜きにして、なんたる天衣無縫なる快活旋律の美しさ、躍動。元気出ます。大好きな作品。
「素っ気ないくらいの淡々とした演奏」との上記コメントだけれど、ヴィヴラート少な目、すっきりとした表現が生き生きとして、清潔快活であります。おそらくワタシの刷り込みはバリリ弦楽四重奏団(1955/56年)であって、もっとしっとり甘やかなる表現であった記憶有。(だから、この演奏が”素っ気なく”感じるのか)おそらくは各パート一人ではなくて、小編成のアンサンブルが古楽器風クールであります。
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嬉遊曲第17番ニ長調K.334〜これはもう”嬉遊曲”という概念を越え、崇高優雅なる旋律連続の悦びであります。弦楽4部にホルン2本が加わることにより、音楽のスケール、陰影、奥行きが格段と広がりを見せております。ここでは35分ほどだから、ずいぶんとテンポ設定が速いのか、それとも繰り返し問題か。いずれ、濃厚なる表現ではありません。
第2楽章「アンダンテ」は、哀愁の甘美な旋律(こんな音楽、ヴォルフガング以外には出会えない!)がヴァイオリン・ソロ(オルガ・ノーデル)によって、纏綿と、しかし清潔に、親密に歌われました。そして、ホルンの呼応がまるで高原の風を想起させるように、響き渡ります。録音の自然体なことも特筆すべきか。誰でも知っている第3楽章「メヌエット」(単独で演奏されることも多い)は、それこそさっくりと、淡々と表現されるが、素っ気ないことなくて、じゅうぶんに細部ニュアンスに充ちております。
第4楽章「アダージョ」には、再びソロ・ヴァイオリンが登場〜こんどは含羞の微笑ましい旋律が静かに流れて・・・至福のひととき。ワタシはこの楽章が一番お気に入りです。オルガ・ノーデル(v)は、コクのある暖かい音色で深みに不足はない。第5楽章第2「メヌエット」はサラリと速めのテンポで流して、あまりタメを作らない表現が好ましい。
終楽章は、にこやかなる舞曲であって、さて、みなさんごきげんよう、とご挨拶を下さっているような愉しさ。
(2006年10月20日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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