Mahler 交響曲第4番ト長調(ジュゼッペ・シノーポリ/
フィルハーモニア管弦楽団/エディタ・グルベローヴァ(s))


DG 471415-2/15枚組 総経費込8,400円 Mahler

交響曲第4番ト長調

ジュゼッペ・シノーポリ/フィルハーモニア管弦楽団/エディタ・グルベローヴァ(s)

DG 471457-2  1991年録音

 ここ数年、Mahler 三昧。種々様々、なんせお気に入り作品ばかりだけれど、相対的な好き嫌いというのはあって、第4番はやや苦手・・・というのはちょっとした勘違い、思い込みなのでしょう。なんでもそうだけれど、有無を言わせぬ演奏というのは存在するんです。エドゥアルド・ヴァン・ベイヌム(1951年)はかなりエエ感じだったが、最終楽章のソプラノが(あまりに表情が硬質、声質にも柔軟性を欠いて〜との印象)残念でした。もちろん時代による音質的な制約もあるしね。

 第1楽章 「中庸の速さで、速すぎずに」。イヤホンで聴くと鮮明な音質に、やや奥行き不足?これがコンポにて再確認すると録音会場の空間、空気感が良く出ていて極上であります。フィルハーモニア管弦楽団は清涼清潔繊細クリアなサウンド、重量感やら分厚い響きより、そちらの個性が魅力なのでしょう。シノーポリは肌理細かく歌っており、テンポの微妙な伸び縮み、強弱のメリハリは自然、入念そのもの。彼の演奏を聴くといつもバルビローリを連想するんだけれど、彼(か)のクサい節回しではない、もっと細部描き込みが徹底され、流れはスムースであります。

 第2楽章「落ち着いたテンポで、慌ただしくなく」。ユーモラスなスケルツォ楽章ですね。「友ハイン(死神)は演奏する」ヴァイオリン・ソロにも怪しさは強調されない。弦のポルタメントも清潔そのもの、ホルンも木管も流麗で上手いですね。この楽章もテンポはかなり揺れて(入念に歌って)いるのに、不快なる不自然さ皆無、印象に残るのは、さらさらとして清潔静謐なるオケの響きばかり。わずかな不安感も音楽の彩りでしかありません。

 ここまで聴いてきて、思い付いた言葉は「極楽浄土」。

 第3楽章「静かに、少しゆるやかに」。弦が静謐平静に主題を歌って木管、ホルンがしっとり参入〜天国の情景か(先ほどの”極楽浄土”でもかまわぬが)。やがてオーボエ中心に哀しげ不安な旋律を歌うが、それを否定し宥める弦、そして金管の強奏は強い説得力。遠雷のように響くティンパニ(なんせ「アルプス交響曲」聴いたばかりなので)〜そんな情景が広がります。フィルハーモニア管弦楽団アンサンブルの洗練、シノーポリの繊細な歌心、ここに極まった感じ。やがて軽快な足取りから、不安の影(オーボエに+ホルン)が再びよぎり、それも弦の詠嘆に癒され、力強く否定されます。ラストだめ押しの大爆発にも響きは濁らぬ余裕有。

 第4楽章 「非常に心地よく」。ここのソプラノにいつも(おおかれ少なかれ)不満があったんです。前楽章の酔い覚めやらぬままオーボエの優しい旋律開始。ソプラノのなんと優しい、しっとりとした、表情豊かなのにむしろ知的とさえ感じる包容力〜グルベローヴァと知ったのは全曲聴き終えてからでした。ここで第1楽章冒頭の「鈴」喧しく切迫して再登場。それを押し止めるのはこの楽章の主役グルベローヴァでしょう。テンポの揺れ、繊細な仕上げは前3楽章通りだけれど、彼女によって画竜点睛なった、との満足感溢れました。

(2011年11月13日)


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written by wabisuke hayashi